中編2
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「固定電話」

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 電話が鳴っている。

枕元の目覚まし時計は、午前2時15分を指していた。

重い身体を起こし、電話のある居間へと足を早める。

初夏とはいえ、夜明け前に漂う空気は、硬く冷たい。

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(誰かの急を知らせる電話かもしれない。)

ドクドクドク・・胸の動悸を抑えながら、

すぅと深呼吸し受話器を取る。

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「はい。もしもしMです。・・・・。」

ザザ・・ザザ・・ザザザ・・・・・・・・

「もしもし・・・」

ザザ・・ザザザ・・・ザザザザ・・・・

「あの、もしもし・・どちら様でしょうか。」

ザザ・・ザザザ・・・ザザザザ・・・・・ザザザザザーン

一定の間隔で、繰り返される音。

受話器から漏れ聞こえる音が、さっきより若干高くなったような気がした。

ザザザザザーン ピチャピチャピチャ

耳をそばだてると、微かに泡立つ音がする。

(たしか、この音は。)

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そうか、これは波の音。

砂浜に打ち寄せる波の音だ。

(こんな時間に間違い電話だなんて。)

「もしもし・・どちらにおかけでしょうか。」

「・・・・・」

それから、しばらくして

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「・・・・・くっ、くくっ。。」

受含み笑いが聞こえてきた。

波の音が、いつの間にか くぐもった男の声に変わっている。

ひとり世帯と知っての嫌がらせか。

もしくは、ストーカー。

これ以上相手にするのは危険だ。

電話を切ろうと手をかけた瞬間

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「・・・待てぃ!切るなや。」

しゃがれたドスの効いた男の声がした。

「なぁ、ひさしぶりぃ。」

全身に悪寒が走る。

「あなた誰ですか。」

「・・・くっくくっ・・なぁ、お前。アレなくしただろ。」

「アレ?」

「そうだよ。アレだよ。わかるだろうが。」

「何のことだか、さっぱり。」

「大事なアレだよ。忘れたとはいわさんぞ。どあほ!」

「・・・・・・・」

「やっぱりなくしたんだな。あはっ、あはっ、ははははははは・・・ぶわっははは・・・・」

ありったけの罵詈雑言を吐き続けた男は、 おぞましい哄笑と嘲りを浴びせ満足したのか、

ガチャン!!

受話器を置いた。

ツーツーツー

やがて、電話は、無機質な音を立て、ぷつりと切れた。

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朝になって気づく。

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数年前から 我が家に固定電話はない。

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あんみつ姫さま(*^^*)
お忙しい中、有難うございます。

長らくご無沙汰しておりましたm(_ _)m

やっと自分の時間を持てる様になり、少しずつのペースですが投稿を再開致しました(*^^*)

あんみつ姫様も投稿を再開されていたのですね♫

とても穏やかで優しく情感溢れる文章は、お会いした事はございませんが、あんみつ姫様らしく、優しい面立ちのお姿を想像されるものです(*^^*)

あんみつ姫様こそ、この暑さですから…

お身体ご自愛下さいませ(*^^*)

コメントが、とても嬉しかったです。

どうも有難うございました(o^^o)

鏡水花様

お久しぶりです。
「固定電話」②と併せ、
「怖い」ありがとうございました。
多忙につき、お礼遅くなり申し訳ございませんでした。
暑い日が続いております。お身体ご大切になさってください。

midnight様

「怖い」ありがとうございました。

カヲル様

「怖い」ありがとうございます。
最近は、あまり使用されなくなった「固定電話」ですが、
結構、不可思議な出来事が起こるようです。

また、短編も間にアップいたしますので。これからもよろしくお願いいたします。

裂久夜様
machida様
潤燐朶様
時雨様
「怖い」ありがとうございました。
とっても嬉しいです。
御礼遅くなり申し訳ございませんでした。
励まされます。
これからもよろしくお付き合いくださいね。

深雪様

「怖い」ありがとうございます。
とっても嬉しいです。
楽しんでいただけるよう頑張ります。