短編2
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真夜中のドライブ

ある蒸し暑い晩、

友人と2人でドライブをしていた時の話だ。

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僕は助手席に座り、友人が運転する横でぼんやりと流れていく景色を眺めていた。

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「あっ」

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shake

友人が何かに気付いたように声をあげ、急にハンドルを右に切った。

道路上の何かを避けるように。

そして友人は側道に車を止め、後ろを振り返った。僕もつられて振り返った。

しかし何もない。

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友人はまだ不安げに後ろをにらんでいる。

「おい、どうしたんだ?」

と僕は聞いた。「何か落ちてたか?」

「え? お前気づかなかったのかよ。女の人が倒れてたじゃないか」と友人が答えた。

「本当か」あわててもう一度後ろを見てみる。

…やはり誰も倒れているようには見えない。

だが、もしも本当に人が倒れていたら大変だ。

友人と一緒に車を出て、女性が倒れていたという所を確かめに行くことにした。

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「誰もいないじゃないか」

僕が話しかけると、友人は、なるほどといった表情で、

「戻ろう」と僕に言った。

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車は再び発進し、友人はまた黙ってハンドルを握っている。

納得がいかない僕は、「何なんだよ?」と聞いた。

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「俺は幽霊が見えるんだよ。日常的にね」

友人は平然とした顔で答えた。

「普通の人に紛れて、当たり前のようにそこにいるからね。違いがわからないんだよ。

幽霊だって昼間の公園のベンチに座ってるし、電車にも乗る。中には倒れたまま動かないやつもいる。

今のだってそうさ。多分あれもずーっとあそこで倒れたままのやつなんだろう。あそこで死んじゃったのかもな」

僕は何も答えられないまま、目的地に着いた。

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それからもその友人の車に乗ることがあったが、

友人はたびたび、僕の見えない何かを避けている。

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