短編2
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じんじまえ

あるところに「しんちゃん」と呼ばれる男の子がいました。

しんちゃんは一人っ子で、両親にとても可愛がられていました。

しかし、そんなしんちゃんにも弟ができました。

両親はしんちゃんよりも弟を可愛がり、そのことをしんちゃんはとても憎みました。

いつしかしんちゃんは弟をいじめるようになりました。

それでも弟にとってしんちゃんは、頼りになるお兄ちゃんでした。

そんなある日…

しんちゃんが5年生の時、弟が交通事故で亡くなってしまいました。

そのことをしんちゃんはとても喜びました。

「これで僕もお父さん、お母さんに可愛がってもらえる!よっしゃ!」

その後しんちゃんの思惑通り、両親はしんちゃんを以前のように可愛がるようになりました。

それから一週間が経ち…

しんちゃんにある声が聞こえてくるようになりました。

「し………ち……ぇ」

「し………ち……ぇ」

最初それを何を言っているのかしんちゃんは分かりませんでした。

ですが、その声は日に日に大きくなっていました。

「しんちゃん……ぇ」

「しんちゃん……ぇ」

しんちゃんは気づきました。

この声は弟のものだ。

そして、その声は

「しんちゃんまえ」

「しんちゃんまえ」

と言っている。と。

生活している中、学校へ行っている時も、お風呂に入っている時も、寝ている時もその声はずっと聞こえていました。

そんな生活が2ヶ月ほど経ったある日…

しんちゃんは携帯を見ながら横断歩道を渡ろうとしていて、その声が今までで一番大きく聞こえました。

「しんちゃんまえ!」

その声に前を見ると、

「ブーン……」

と、一台の大型ダンプが横切りました。

弟はこのことをずっと教えてくれていたのかと、しんちゃんは泣きました。

そして、今までの行動をとても悔やみました。

しかし…

その声はなくなるどころかむしろ大きくなる一方でした。

それだけでなく、しんちゃんの名前「しんじ」に変わっていました。

「しんじ、まえ」

「しんじまえ」

「死んじまえ」

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