短編2
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となり町の廃墟

中学2年のときだったかな、

じゃんけんで負けたやつがとなり町にある心霊スポットに行ってくるっていうゲームをしたんだ。

俺は昔から運が悪くて案の定このじゃんけんでも負けた。

でも俺は怖い話とかそういう類が大好きで、そんな体験を実際にできたら、霊をみることができたらどんなにいいだろうといつも思っていた。

だから内心楽しみにして一人でその心霊スポットに向かったんだ。

その心霊スポットっていうのは10年くらい前に廃校になった高校で、

今も取り壊されずに廃墟になっている。

なんでも生徒の一人が教室で首吊り自殺したとかで

その生徒の霊を目撃した人が何人もいるという。

もちろん立入禁止になっているのだが、フェンスなどがあるわけではなく、

立入禁止の看板が立っているだけで簡単に入ることができるそうだ。

となり町って言ってもかなりの田舎で電車はもちろん通っておらず、

バスも2時間に1本程度しかない。

だから俺はタクシーを呼んだ。

どうやら運転手のおっちゃんも暇つぶしにそこへ入ったことがあるらしかった。

おっちゃんによると霊とかは出なくて面白くなかったらしい

こんな田舎でタクシーに乗るやつなんて滅多にいないらしく、運転手のおっちゃんは廃墟の入り口で待っていてくれた。

「まぁ何もないと思うけど、気をつけて行けよー。

なんか出たら走ってきてすぐ乗れよ、すぐ出してやるから。」

「おっちゃんありがとー、早めに済ませてくるわー」

そんな感じでおっちゃんと一旦別れ、廃墟へ入っていった。

その廃墟は木造で、かなり老朽化が進んでいるようで、どうして取り壊さないのか不思議に思ったほどだった。

歩くと床がギシギシして抜けそうで慎重に歩いた。

なにか出ることを期待しながら教室を一つ一つ見ていった。

と言っても教室の数は俺の中学校よりも少なく、10くらいだったと思う。

入口から7つ目の教室を出て、あーこりゃ何も出ないやつかーと思いながら8つめのきょうしつにはいった。

そこに入った瞬間鳥肌が立った、

大塚友樹死ね大塚友樹死ね大塚友樹死ね大塚友樹死ね

壁を埋め尽くすように赤いペンで書かれていた。

霊をみたわけでもないのに怖いと思った。

もう探索するのをやめておっちゃんのタクシーに乗ろうと思って早足でタクシーに向かった。

おっちゃんのタクシーに乗ってほっとした。

「おー、どうしたそんな顔して、霊に会えなかったのか?」

おっちゃんはからかうようにきいてきた

「うんまあ、会えなかったは会えなかったんだけど、ほら、例の壁の文字あるじゃん、あんなの見たらさー、教えてくれりゃよかったのに」

「ありゃ?あの文字は残しとくのまずいってことで先月くらい市役所の職員が消したはずなんだけどなー」

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裂久夜さん
親切にありがとうございます!
ゾワッときましたか!それめっちゃうれしい!

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空白はスペースを押せば出来ますよ。

〆のおっちゃんの言葉にゾワっとしました。

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