短編2
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FMラジオ

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僕の持っているウォークマンは、今時珍しくもないが、FMラジオが聞ける。

・・・と言っても、音質はかなり悪く、音が綺麗に聞こえるポイントも日々変化するため、殆ど使ったことはない。

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ポケットから何か声のようなものが聞こえた。

探ると、ウォークマンが手に触った。

これか。

何時の間にかボタンを操作してしまい、知らない内にラジオや音楽が流れていたりするのだ。

耳にイヤホンを突っ込んでみると、女性の話し声がする。ラジオのようだった。

ノイズが時折入るが、今日は何時もよりは比較的マシに聞こえる。

どうやら怪談を話しているらしい。

若い女性が語り部で、まだ話は冒頭部分のようだ。

僕は何となく、其のまま放送を聞いてみることにした。

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主人公の女性がマンションの自室で寛いでいると、部屋のドアをノックする音が聞こえた。

来客かと思いインターホンを見たが、誰も居ない。

悪戯かと顔を背けると、またノックの音。

インターホンには、やはり誰も映っていない。

死角に隠れているのかも知れない。

そう思った彼女は、玄関から直に確認しに行くことにした。

また、ノックの音。

怒った彼女は勢い良くドアを開けてーーーーーー

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ザザザザッと、突然ラジオにノイズが入った。

電波の来るポイントが変わったのだろう。

部屋の中を歩き回りながら音が聞こえる場所を探す。

然し、一向に直る気配は無い。

どうしたんだろう。電波の通り道に、何か障害物でも来たのだろうか。

僕は残念に思いながら、イヤホンを耳から外した。

・・・そろそろ寝るか。

ベッドへと上がり、布団の中に潜り込む。

其の時だった。

shake

窓から、コツン、コツン、と音が聞こえた。

ハッとして跳ね起き、窓の方を見る。

カーテンを閉め忘れていたので、ガラス戸と網戸を通して外が見えるが、誰も居ない。

気の所為か・・・?

もう一度気を取り直して布団を被り、今度は壁の方を向いて横になる。

コツン、コツン、

また音がした。

寝返りを打って窓を見る。やはり誰も居ない。

もしかして、あの話の通りに・・・

思わず窓に駆け寄った。カーテンを閉めなければ。

鍵の掛かったガラス戸。其の外側には目の細かい網戸が・・・・・・

「・・・・・・あ。」

網戸。

音がした時、網戸はずっと閉まっていた。

閉められた網戸越しでノックは出来ない。

じゃあ、あの音は・・・

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コン、コン、

自分の直ぐ隣から、ノックの音がした。

Concrete
コメント怖い
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沙羅さんへ
コメントありがとうございます。

感想の他にも、質問やリクエスト等も出来る範囲でお答えしていますので、此れからも気軽にどうぞ。

お気に召して頂けたようで何よりです。
連日の猛暑ですからね。沙羅さんに後輩さんも、御仕事もあまり根を詰め過ぎず、くれぐれも御自愛ください。僕の話が息抜きとなるのなら、光栄です。

書きました。久々の本編です。
よろしければ、お付き合いください。

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紺野様、お返事ありがとうございます(^^

一人で挙動不審になるのがイヤで、後輩にも教えたところ
やはりハマったようで、上司が出払っている時に時折「ぶふっ!」とか「クッ・・!」とか
堪えながら、時折ティッシュで目頭を拭きながら私をチラ見してきたりと、私の思う壺の反応がww

お互いに、この話のココが~とか話せて、仕事の合間に楽しんでいました♪

紺野様に触発されて、私も自分のコトをUPしてみる気になりました(^^
比較にならないほど、大したコトは無いんですけどねw

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沙羅さんへ
コメントありがとうございます。

あれ全部読んだんですか・・・。
自分でもゴチャゴチャして何が何だか分からないのに・・・・・・。
凄いです!!
有り難う御座います!!

寧ろ個性しかない人達な気もしますけどね(笑)
気に入って頂けたなら何よりです。
次回からはまた本編に戻ります。
よろしければ、お付き合いください。

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裂久夜さんへ
コメントありがとうございます。

何だか宣伝効果が・・・(笑)
軽はずみなことを口走るものではないですね。

何故に・・・・・・あ、不便だからですか?
其処まで嫌悪されている理由知りたくもありますが、御気分を害してしまわない内に、口を閉じますね。

正統派を書こうとしてこうなりました。レトリックが甚だ貧弱・・・・・・。

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紫月花夜さんへ
コメントありがとうございます。

パトカーにタクシー、航空機なんかも入って来てしまうみたいですね。
最近はネットに隠語の一覧表があるんですよ。警察の秘密な会話も丸聞こえですね!

次回はそんな暴力御姉様がメインの話ですよ。
よろしければ、お付き合いください。

スタンプは、色々とバージョンがあるみたいです。
・・・って、何だか宣伝みたいです。

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mamiさんへ
コメントありがとうございます。

そうですよ。今回の、僕の考えた話では。

何でしょうね。変態や駄目人間にばかり関わっていると、何だか今一《怖い話》の定義が分からなくなって焦ってしまいます(笑)
仰る通り、普通に怖い怪談は心が和みますね。ホッとすると言うか・・・。

スタンプは滅多に購入しないので、少し浮かれていてあの様です。あんまり送り過ぎてしまうと、貴女も胸ぐら掴まれてしまうかもですよ。
・・・いや、まずmamiさんの周りにそんな野蛮人居なさそうですね。失言でした。

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はるさんへ
コメントありがとうございます。

ああ、分かります。季節もそう何ですけど、時間帯とかでもやっぱり微妙に違くて・・・。
と言っても、僕が聞くのって殆どカーラジオなので、ウォークマンは使わないんですけどね。前に東京へ行った時、あまりに音がクリアで驚きました(笑)

偶にはオーソドックスな怪談も良いかなと思いまして。次回からはまた怖さの欠片もない本編へと戻ります。
よろしければ、お付き合いください。

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やっと、紺野様のUPしたお話を読破できました~

登場される方々の個性が、みんな素敵で楽しく読ませて頂きました(^^
紺野様には苦痛な屈辱的なコトも多々あるようですが、それすら面白くて!!
(ゴメンなさい)

仕事中に、うっかり大笑いしてしまう事もあり、挙動不審者になりつつありますww
次作も楽しみにしております(^^)b

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皆様同様にスタンプ、気になる(笑)

個人的にはFMラジオが大っ嫌いですが、
つい読んでしまったのは主様の作品だから。
さり気なさすぎな怖さに背筋がゾワゾワしました。

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私の若い時分には深夜ラジオが主流でした。 懐かしいですね。 ウォークマンは無かったですがσ(^_^;) あるあるでしたね、私の田舎では季節でも違いがありましたよ。
油断して読んでたら…怖かったです。
紺野さんの作品はどれも素晴らしい文章力で、毎回楽しみに拝読させていただいております。 ありがとうございます。
次回も楽しみにお待ちしております。

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