中編3
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アプリ

新しいアプリを見つけたと友人のナミ(仮名)が眼を輝かせて見せてくれたのは、“呪”という何とも嫌なネーミングのモノだった。

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「呪いたい人を書き込むとバーチャルでその人を呪えるの!」

何それ、そんなアプリ聞いた事ない。

ナミが変わり者なのは前から知っていたしホラーや怪談系が大好きな子だという事も知っている。

実際、この“怖話”を勧めてきたのもナミだ。

私も怖話のアプリを取得したばかりの頃は毎日必ず眼を通していたし、お気に入りのアプリとなっていた。

ただ、今回の“呪い”というカテゴリーは流石に好きにはなれない。

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「ナミ、誰か呪いたい相手でもいるの?」

その質問に、彼女の顔は笑顔からほんの一瞬だけ真顔になったのを私は見逃さなかった。

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「そんな人い無いよ〜」

そう頬をあげながら答えて、もう一人の友人、マナミにもそのアプリを見せていた。

きゃっきゃと笑いながら話す彼女に呪いたい相手がいるなんて想像もつかないし、いて欲しくもない。

ただ、数日後に彼女の勤めていたアルバイト先のKさんが自動車事故で大怪我を負ったのを聞いた時に、何となく嫌な予感が頭をかすめていた。

まさかね。

アプリで呪いたい相手を指定した事で、実際、本当に相手を不幸にできるなんて、あるわけがない。

と、スマホを取り出す。

あのアプリ、どんなだっけ…と、App storeを開く。

呪いの項目にはゲームや占い系などのモノしかなくナミが見せてくれたアプリは無かった。

何処で手に入れたのか…?

気になり、直接ナミに尋ねる事にした。

コーヒーショップに誘い出し、たわいのない会話をして何気にアプリの事を聞き出す。

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「え?誰か呪いたいの?ウケるwwww」

はぐらかすだけで教えてくれず少しムカついた。

でも、何となく気持ち悪くって深くは聞かなかった。

ナミがお手洗いに行っている間マナミに電話する。

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「マナさ…ナミになんか聞いてない?ほら、あの子の勤め先のKさん事故ってけがしたじゃん?」

『ああ…私もそれ聞いた時、気持ち悪かったんだよね。あの子Kさん嫌いだとか話してた時あったから…。確かイジメにあってるとか言ってたな…』

うそ…

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「じゃ…アプリにKさんの名前書き込んだのかな…?」

『ありうるね〜』

トイレに行ったナミが帰ってくるかもしれないので、お手洗いの方を見やると目の前に真顔で立つナミが居た。

shake

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「誰に電話?」

「ま…マナミだよ…?代わる?」

「なんだそっか…」

その時の表情があまりに怖くて声が震えてしまった。

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「あっ…マナ?また掛け直すね。」

スマホを切りバックにしまう。

ナミは何も無かったかのように向かいの席に着き、紅茶を口にしてスーっと目を閉じて、再び目を見開くと次のような事を話し始めた。

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「本当はKさんには死んでもらう予定だったの…あの人本当嫌い、大っ嫌い!

今も生きてると思うとはらわたが煮えくり返りそうなくらい嫌いなの…

ビックリした?私がこんな事するなんて…でもね、許せなかったの…Kが」

その後、Kさんからどんな仕打ちを受けたのかを話していた。

付き合う寸前までいっていた彼を奪われた話や、大切にしていた鞄にマスタードを入れられた話など…etc

再度、アプリは何処で手に入れたのかを聞くが、貴方には使って欲しくないと教えてくれなかった。

ならば、もう一度、あのアプリを見せてくれとお願いしたけど、もう破棄したから無いと首を振った。

その日はそのコーヒーショップで別れた。

こんな馬鹿な話があるわけが無い。

アプリを開き、呪いたい相手の名前を書き込むと実際にその人を呪いが襲うなんて。

ただ、確かにナミはKさんの名前を書き込んだと話した。

たしか、漫画?アニメ?地獄なんたらって漫画があったけど、実際にあるの?

でも、無い無い…ありえ無い。

そんな馬鹿なアプリ。

でも、ナミが会話の最後に言った言葉が気になった。

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「あっ!今日、お母さんが入院してる病院に行かなきゃいけないんだった」

「へえ…何処の病院?」

「○◇総合病院…」

…その病院にはKさんも入院しているのだ。

しかも、ナミの母親は入院などしていない、前の日にスーパーで元気にご近所さんと話している姿を見たし。。

ただ、ナミのその時の表情が忘れられ無い…

何をしに○◇総合病院に行くの?

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