中編3
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トマレ・・・

初投稿です。

自身の実体験をそのまま記載しています。

怖い話というほどのものではありませんが、投稿させていただきます。

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私が学生の頃のお話です。

私はバイクに乗るのが好きで、溜めたバイト代で購入したカ○サキのバリ○スに当時乗っていました。

学校の通学にもバイクで通学していましたし、長期休みになると実家までバイクで帰ることもやっていました。

(高校から地元を離れて他県の学校に進学してました。)

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私は基本的には高速を走らず、下道を主として走り、走っているときの周りの風景を楽しみながら走っていました。

私が体験した話というのは、O県からH県の県境にある細い筋で事故が多い道があるのですが、そこに入る前になぜか不思議な声が聞こえたんです。

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「トマレ・・・」

と・・・

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私はバイクのサイレンサーを少々細工しており、音量が少しばかり純正バイクのサイレンサーの音より大きく、しかもフルフェイスのヘルメットをかぶっていたため普通なら人の声がはっきり聞こえるはずがありません。

何だろうと思い、少し周りを見回しましたが大型トラックが前と後ろに走っているだけで、歩道にも人はおらずただの空耳だろうと思い、停止せずにそのまま走行を続けました。

ちなみにその声はたしか3回ほど聞こえていたと思います。

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結構なスピードを出しており、規定速度より30km程度速い速度で走行していたのですが、その細い筋に入って少ししたところに信号があり、遠くから確認できていたためエンジンブレーキをかけながらゆっくりと停止動作を行っているときに異変がありました。

タイヤがまだエンジンブレーキしかかけていないのにいきなりスリップし始めたんです。

速度もまだ少ししか落ちていないときにです。

そのときは夏の暑い盛りで梅雨も明けており、雨は1週間以上降っておらず、地面もまったく濡れていませんでした。

なのにいきなりスリップし始め、ハンドルも何も効かない状態に陥りました。

「あっ、事故る・・・どうしよ・・・?」

と少しパニックになりかけたのですが、また声がしました。

「ヒダリニトベ・・・」

なぜかそのときは何も不思議に思わず、声のするままに、ハンドルだけ左に切って、まわりも確認せずにバイクを捨てて左に飛びました。

当然バイクは転び、30mほど先のガードレールにぶつかり、道路の真ん中で横たわっていました。

ちなみに私はというと、運よく草木のある箇所に転がることができ、骨も折ることなく全身に軽い打ち身を作る程度で済みました。

その後はロードサービスを頼み、バイクを実家まで運んでもらいなんとか無事に帰ることができました。

ちなみにこの話を家族にしたところ、父母は

「それって誘われたんと違うか?」

と言っていました。

事故が多いところだということは皆知っており、また死者もかなり出ているところでしたからそう思ったのでしょうが、祖母だけは違うことを言ってました。

「たぶんご先祖さんが助けてくれたんやろな。助けてもうてよかったな。」

と言いました。

どちらが正しいのか、それはわかりませんが、私は多分ご先祖さんが助けてくれたんじゃないかと思っています。

そうじゃないと、トマレとかトベとか言わないでしょうしね。

後日、仏壇やお墓を尋ねて、お礼を述べておきました。

助けてくれてありがとう。ご先祖様。

また、同じ話をした際、叔父が私に言ったのですが

「自分が事故をしたところは毎回一度停車して、しっかりと状況を確認してそして手をあわせておけ。」

と言われました。

私がなぜ?と聞くと

「事故をした箇所を確認して自分の運転の悪さや欠点を見つめなおすのは当然」

「それ以上に助かったとはいえ、下手したら死んでいた。今回の場所みたいに事故が多いところでは手を合わせて助かったことへの感謝の気持ちとそこでなくなった人の供養をやったほうがいい」

と言われました。

それ以来、私はその道を通る際は必ず一度停車し、自分の事故のあった場所を確認し、毎回手を合わせて感謝となくなられた方のご冥福を祈るようにしています。

そんな怖い話ではありませんが、私の体験を述べさせていただきました。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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