長編8
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蝕むモノ3~父の死~

実は7~8年前?に、とある神社へ『視て』もらいに行ってきた。

地元では、知る人ぞ知る『当たる』人が居るのだ。

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現在なら、ホットリーディングとか

コールドリーディングとか叩かれるのだろうが、その人はコールドに近いのだが、決定的に『お告げが聴こえる』ようだ。

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・・私の相談内容は・・

実家のことではなく、姑との問題だったが・・

そこはザックリとアドバイスを受けただけ。

少し残念な気持ちでいたのだが・・

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『では、神様の声を聴いてみましょうね』と私に背を向け、祭壇に向かい何やら呟いては頷いていた。

貴女のご実家が大変なことになってますね。

・・・・・は???

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(・・え~と・・今回の相談とは違うな~)

と思いつつ、その言葉の意味を聞いてみることにした。

沙羅「・・実家が大変。とは?」

女性「・・邪悪なものが1体。それが色々呼んでます」

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・・・・どっかで聞いた台詞。

そう。

「蝕むモノ」で叔母が<先生>から言われた言葉。

全く同じ台詞を、年月を経て全く違う人から言われたのだ。

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ふくよかで温厚な顔立ちと相反する厳しい口調だった。

「邪悪。というより、今は怨霊化してますよ。」

私は、素直に「えぇ・・居るんです。判るモノなんですね」

と答えるほかなかった。

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ふっと表情を和らげると、女性は言った。

・・波長が合えば、見えてしまうでしょうね

あなたも見たことがあるのですね?

それならば、詳しくお話いたしましょう。

~~以下、彼女のお話です~~

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この怨霊は、かれこれ2~300年ほど昔のモノです。

この場所で、正に、この場所で亡くなった男性。

怪我をしていたのね。。追っ手から逃れながら、全てに対して、恨みを持ちながら死んでいった。

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畜生!!畜生!!

俺をこんな目に遭わせて、只では済ませない。

ここは、俺の場所だ。俺だけの場所だ。

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誰にも渡さないぞ。誰も許さないぞ。

・・そんな気持ちで死んでいったんです。

餓え、乾きながらもその強い気持ちだけが残っている。

あなたには・・心当たりがあるはずですよ?

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私は・・戦慄した。

何故なら、その女性は「詳しく話す」と言いながら、描き始めたのだ。

沙羅宅の・・敷地図を・・・

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~この場所で、正に、この場所で~

そう言いながら、グリグリと印をつけながら指した場所・・

365日、24時間。私も兄もイヤだと思っていた場所。

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1週間、お清めをしていたのに全く効果が無かったんだと思い知った。

そして、その当時の事も私は打ち明けることになる。

私の話を聞いていた彼女は

「・・逆効果でしたね。怒らせただけの結末」

と言った。

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実家は、異常なほどの執着心で死んだ男により

様々なモノ達を呼び集め、あなた方全員を追い出そうとしています。

逆らえば、取り込まれます。

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あなたも、お兄さんも、幸いなことに

早々に家を出て行っているので、まだ大丈夫。

ご実家に身を置くのは危険です。

知らずに土地に執着させられ、最終的には命を奪われた事でしょうね。

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私は、そこで疑問を口にした。

「誰にも渡したくないのに、何故執着させるのでしょう?追い出したいのなら、執着させずとも良いのでは?」と。

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その答えは・・

執着心を煽り、諍いを招き、破綻させる。

それが目的なのです。

誰一人として幸せになど、させてたまるかって事ですね。

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残念なことに、お父様は、もう・・

どうすることも出来ません。

男の姿と、お父様が重なって見えるのです。

ご自分の力を、過信されたのですねぇ・・

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・・・え?過信????

小さく手に息をフッと吹きかけて

(この動作に意味があるのかは不明)

お父様、自ら対抗して行った節がありますよ。

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・・・マジか・・・

何となく、本当に何となくそんな気がしていた。

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私が嫁いで数年後、初めて帰省した時のこと。

「こんばんわ」と玄関を開けたとき、空気が軽くなってるのに気がついた。

部屋に上がりベッドで横になっている父に向かい

「オヤジ。。だいぶ空気が軽くなったんじゃね?」

「お~~分るか?あの辺のは、片付けたんだ」

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「ほぅ~。あそこだけでもスッキリするもんだな」

「そうだろ?」と満面の笑みを浮かべてみせた父。

その時の事が、フラッシュバックのように思い返された。

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尤も、家中を歩いてきて

「まだまだ片付いてねぇしww」と言う私もひどいのだが。

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~~~

そして年月が経ち、3年前の春先に父が死んだ。

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病院関係の仕事をしている兄から連絡が入った。

血を吐いて倒れたらしい。お前、すぐに病院へ行けるか?俺は用事があるから、終わり次第に行く。

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・・今まで危篤になっては、持ち直す父だったので、あまり心配はしていなかった。

今回は、どうなん?と問う私に、兄は様子見てみないと何とも言えないが、恐らく重篤には間違いないだろう。とだけ答えて、電話が切れた。

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・・この電話のブッチからしてマズそうだ。

すぐに病院へ駆けつけた。

意識がない。

私は・・「これが死の床だ」と感じた。

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母は、疲れきった様子で父の手を握っていた。

声をかけ、廊下で休んでくるように勧めた。

母が病室を出てから私は父に呼びかけた。

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「オヤジ!オヤジ!!」

薄っすらと意識が戻ったらしい。

父の右手が微かに持ち上がった。

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私は、その手を掴み尚も呼びかける。

「私が誰だか判るか?」

父は、小さく。。だが、しっかりと頷いた。

「お前の娘だぞ?名前、呼んでみろ!!」

「・・・・・・さ・・ら・・」

声になっていない。口パクだが、確かに私の名を呼んだ。

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・・数十年にも及んで、頑なに『娘』と認めなかった父が、『娘の名は沙羅』だと認めた。

私には、それだけで・・もう十分だった。

兄も到着した。それと一緒に母も戻った。

!意識が戻った!喜んで父の手を取る母。

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兄も父の左側に立ち、父に呼びかける。

「俺が判るか?」

「お前の息子だ。判るか?」

「息子の名前、言ってみろ」

・・さすが兄妹。聞くことが一緒だ・・

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やはり、父はしっかりと頷き兄の名を呼ぶ。

母の手を振り払い、彷徨うように私の方へ手が伸ばされる。

私は、幼い頃の父の手を思い出していた。

大きくて暖かな手。そして、その手によって苦しめられた日々。枯れ枝のようになってしまった手。

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私の手を離した父は、兄の方へと手を伸べる。

兄もその手を握り返す。力強く。

そして医者に全員が呼ばれた。

「逢わせたい人が居たら呼べ」と。

・・・ドラマの中のようだった。

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死の床で、父は誰かを相手に、話をしていた。

小さく頷きながら、口が動く。

「・・あぁ。そう。・・あぁ。そう。」と。

兄と二人、その様子を見ながら話した。

・・誰が迎えに来てるんだろうね?

・・さぁな・・

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父の兄弟たちが全員揃った。

母も居る。兄も居る。私も。。

全員に見守られ、安心しきったように・・

この上なく満足そうな顔で・・

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・・父は逝った。

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通夜の夜、来てくれた親戚の話を聞いて、私は泣き崩れた。

中学校からの大親友が、丁度1週間前に亡くなっていたことを報らされたのだ。

『真夜中の訪問者』に出てくる友人だ。

癌と闘ってるのは、聞いていた。

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私よか、先に死んだら許さないよ?

つーか、先に逝くつもりなら、罰としてウチのオヤジ連れてかないとww

・・なんて、冗談で話していた矢先だった。

容体が急変して、そのまま・・旅立ったのだそうだ。

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何となく思う。

本当の癌の名を私に明かすことなく、最後に会った時も元気よくガハハと豪快に笑っていた彼女が、父を迎えに来たんじゃないかと。

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彼女と最後に会ったとき、「父ちゃんは、相変わらずなの?」と聞いてきた。

「まぁ~~ね~~」と答える私に、彼女は言ったのだ。

「こう言っちゃ悪いんだけど、そんなに長くないよ?沙羅も辛い思いするのあと少しだ」と。

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通夜の晩に、彼女の言葉も思い出していた。

そのくだりを、母と兄に話していたとき

唐突に、鈴がなった。

・・・チィーーーーーーン・・

まるで、返事をしたかのようだった。

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決して実家へ帰らずに済むよう遠くへ嫁いだ私だったが、数年前、娘の独り立ちを見送り、バツイチになった。

帰らないようにしていたのだが、父も祖母も寝たきりになり、

一人で世話をする母を手伝うため10年間ほど毎月帰省していた。

毎月の往復は、かなりしんどいものだ。

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そして一緒に住む気になれずアパート暮らしをしている。

そんな私に、法事の際、叔父が話しかけてきた。

「なぁ沙羅。なんでお母ちゃんと暮らさないんだ?」

・・ここは住んじゃいけない場所だから。

私の言葉に、一同が沈黙する。

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沈黙を破るように叔母が明るく言った。

・・私だったら、家賃も光熱費も掛からないように、一緒に住むなぁ~。

沙羅、あんたなら追い払えるんじゃないの?

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・・・私では、力不足。何も出来ない。

静かに告げると、もう誰も口を開こうとしなかった。

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~~

私がまだ自宅から実家までの往復をしている頃に、土地のお祓いをしてもらったことがある。

実家のある付近では有名な大きな神社。

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たまたま、父が入院することになったため、急きょ決行したのだ。その数年前から『お祓いしたい』と何度も祖母にも母にも訴えていたのだが、相手にしてもらえなかった。

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依り代にされているのが明白な父。

父が居ない間じゃないとダメだったのだ。

入院してる間に、土地さえキレイになっていれば、退院してくるときも入ってこれないだろう。

・・・そう思っていた。

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宮司様を迎えに行った時の道すがら尋ねてみた。

宮司様は視えるのですか?と。

その問いに苦笑いをしながらも答えてくれた。

視えませんし、感じません。ですが、昔からの作法に則って神事を行いますから、それなりのお役には立てると思いますよ?

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・・つつがなく、無事にお祓いもお浄めも終了。

宮司様を送って帰宅。

~~

・・・納得いかねぇ・・・

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帰宅するなり、祖母が「これで気が済んだかい?」と声をかけてきたが、スルーした。

母にも同じことを言われたので納得できない旨を伝えた。

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・・もっと邪魔が入るはずなんだけど。

あまりにもスムーズに事が済んだことが納得できない原因なんだ。

例えば、タイヤがパンクして時間に間に合わないとか、誰かが怪我をするとか、何かしらの妨害があって然るべきだと思っていたのに、速やか過ぎるのだ。と。

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母は、とりあえずの事はしたんだから、もういい。という。

私の頭の中では。。

前出の<男の姿と父の姿が重なって見える>が、グルグルと渦を巻いていた。

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結局のところ、父が退院してきても状況は変わることがなかった。やはり<手遅れ>だったのだ。

もう・・なす術がない。

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恐らく、本当に一体化していたのだろう。。

お祓い云々も、叔父たちに話した。

・・だから、私はここに住むことが出来ないのだと。

一同の沈黙は続く。

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~~

次は、母の番。。。

・・・・・え???

自分で言っておいて、驚いた。勝手に口から飛び出した言葉だったからだ。

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・・・・・。

・・・・・。

・・・・・。

きっと、そうなんだろう。。。

この土地に執着するものは、喰われるんだ。

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・・次は、母の番じゃないことを祈るしかない。

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マガたん♪
ありまと~~~(*^^*)

そうねぇ。。この土地じゃなかったなら、普通だったんでしょうねぇ~
貧乏でも、それなりに笑顔のある家だったのかもしれない。。

ノンフィク専門なんで、体験した事ばかりだけど、ここで吐き出すことで
どんどん自分が抱えていたものが軽くなってきてるの(^^)
それは、温かいコメだったり、コワイのポチだったり。
マガたんみたいに、遡って読んでくれる方々もいてね、すごく心が救われていくの♡

だから、何も言えない。なんて言わないでちょ♪
読んでくれた。評価(共感)してくれたことだけでもありがたいの(*^^*)
コメ貰うのも、舞い上がるほど嬉しいのよ!
時には疑問を投げかけてくれる方もいるから、それに応えたくて続編書いてみたりね~
すごく嬉しいんだよ~~♪

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ネタバレ注意

リュミエールさま
(^^)どうぞお気になさらずに♪
離婚後は生活面とかで苦労しますからね~ある意味、不幸でもありますよね~

確かに離婚したから不幸ってゆうのは偏った考え方でしたね。申し訳ありませんでした。m(._.)m 

リュミエールさま
いつもありがとうございます(^^
私は、幸せですよ♪ 離婚=不幸とは限らないものです。
日々、小さくても幸せは落ちているもので、見つけられるかどうかだなぁ~と思います。
まぁ・・会社の人間関係に悩む位でww

兄の家庭も幸せに暮らしています。
あの家に固執しないのが一番の対策だと・・
触らぬものにも祟るのが、沙羅家なんですけどね^^;
殆ど八つ当たりに近いことをヤラかしてくれるので、困ったもんです。

誰も幸せになれない、なっていないのが凄く辛いです。元々念が強く怨霊化しているのに、さらに周りの霊を取り込んでより強力になったら人の力では太刀打ち出来ないでしょうね。やはり思った通り沙羅さんとお兄さんは蝕まれる前に家を出られたのですね。前のお話でご結婚されて娘さんも授かって、やっと沙羅さんに幸せな日々が来たと思ったら離婚(でいいんですかね?)されてて読んでて救いがなくて泣きそうになりました。