中編4
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迷い込んだモノ

私がアパートを借りた時、兄にも見てもらった。

(どうかな?)

(うん。キレイなんじゃね?)

私達の云う<キレイ>とは、変な感じがしないということ。

安心して、入居したのだった。

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ところが・・今から2年ほど前の話。

当時の仕事は、表向き9時17時の超勤なし。完全週休二日だった。

実際は残業しちゃいけないが、持ち帰りの多々ある仕事で、土日も無いような有様だった。

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疲労困憊。。

この歳にして正社員になったはラッキーだったが、ド新人。

上司とパートさん含め、私との3人体制だ。

激務で毎日がヘビーだった。

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新人なので、誰よりも早く出勤して、掃除から何から済ませ、9時にはキッチリ仕事モードにしなくてはいけない。

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とある朝。

私はいつもより20分も寝坊をしてしまった。

超高速でベッドルーム内で着替え、バッグとUSBメモリを引っ掴んで、リビングに行った時。

・・・いるし・・・。

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リビングには大きな窓があり、女性一人暮らしの防犯都合上、遮光カーテン常時締め切り。

そのカーテンの手前。室内に佇む二人。

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片方は、今時な服装の長い茶髪を緩くカールした20代女性。

袖だけクロッシェの黒いレースワンピに、スキニー。

連れは、緑色のTシャツに半ズボンの7~8歳位の男の子。

・・・若い親子??

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親子だろうが、幽霊だろうが、仕事には引き換えられない。

「ゴメン!私、仕事なの!急いでるの。17時半には戻るけど、その前に帰ってね~ゴメンね~!!」

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口早に告げて、急いで仕事に向かう。

何とか、皆より先に到着。

無事、一日が終了し、持ち帰りの書類を抱え溜息を吐きながら帰宅。

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玄関を開ければ、今朝の場所が丸見えだ。

(仕切戸は全て換気のため年中開放状態)

・・いないや。良かった~・・

靴を片付け、部屋に上がる。

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キッチンを抜けリビングへ。

ベッドルームとの境で、固まる。

・・・移動しただけじゃん・・・

疲労感倍増・・。

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ベッドの上で、二人とも座っていた。

女性は、何故自分がココに居るのか分らない様な顔をして正座している。

男の子はニコニコしながら体育座り。

『・・・・ん~もぅ~~・・・』

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私は、普段から「俺さ、霊感強くてさ~視えるんだよね~」と豪語する友人に連絡をした。

なぜなら・・。

その友人は、葬儀屋に勤めているからだ。

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しかも、毎日のように沙羅アパートへ出入りしてくるため、玄関には常にお清め用の塩と水まで用意してあった。

『・・・・・という訳で、すぐ来い』

概要を説明し、命令する。

だって、連れて来たに違いないんだから。。

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友人が到着するまでの間に、デジカメでベッド上の二人を撮影してみた。

しかし、陽炎のように空気が揺れている影しか動画には写らなかった。

数十分後、困惑顔の友人到着。

ベッド上には、まだ二人とも居る。

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「彼女~?足、痺れるから崩していいよ?」

と言ったせいか、彼女は横座りになっている。

男の子の方は、相変わらずだ。モゾモゾしながら体育座りのまま。

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友人に突き付ける私の言葉は、酷いもんだ。

なんで、連れてくるかな~。連れてくんなって言ってんのに!

自分、視えるって言ってたっしょ?コレどうしてくれんだよ?

何とかしろ。いいか?マジいい加減にしろ!!

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ほぼ、ヒステリック。ついでに八当たる。

何とか出来ないなら、出禁だかんなっ!!

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・・・

どうやら、彼には見えないらしい。

「どこら辺?」とか言いながら、掛け布団をパタパタしてみたりしてる。

・・虫じゃねぇんだから、バサバサすんじゃねぇ。喘息出たら責任取れよ?

(怒りMAX)

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なん?視えねぇの?つか、いっつも豪語してたクセに?(嫌味満面)

・・うん。なんも視えない~え~ドコ~?

フザケロよ?

・・ふざけてないけど、視えないんだもん(泣)

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じゃぁ~~~もぅいい。ここへ正座しろ。

・・・ハイ・・・

友人を彼女の真正面に座らせ、念珠を取り出す。

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見えてない友人に聞こえるように、はっきり言葉に出す。

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私は何も出来ないの。でも、彼に付いてけば、他の仏様と一緒になるけど、ご供養してもらえるから、彼にくっついて行ってくれないかな?

行き先が判らないだけなんだよね?

彼が道案内するからさ。大丈夫だよ多分。

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そこまで言って合掌し、黙祷を捧げる。

静かに目を開けると、ベッドから居なくなっている。

大人しく私の真似をして合掌してる友人の方へ視線を向ける。

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彼女は、既に行く気満々。リビングの柱の所に移動している。

男の子は、(早く行こうよ?)と言わんばかりの様子で、彼の顔を覗き込んでいる。

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ホレ。彼女、もう出れるらしいし、男の子も急かしてんぞ?

行けよ。早く。

・・追い出すように友人を外へ放り出す。

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念のため、勤め先の葬儀屋まで行って来い。

そこで、待ってるようにお願いしてから帰れ。

じ~た~く~に~なぁ~~?

ついでに、もう来んな!

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以来、肉体を持たないものはアパートに来ない。

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仲間 さま
コメントありがとうございます(^^
楽しんで頂けたようで・・・何より・・
って。。私の発する罵詈雑言にですよね?(T_T)

口だけ番長な友人に、いい加減ウンザリして絶交に至ってますので、会ってもシカトですね^^;

仲間さんに、ついてきちゃうなら『頼れそう』な雰囲気をお持ちなのでは?
どうやら、優しい人とか何とかしてくれそうな人の処に来るらしいですよ~
どちらにしても、有難迷惑でしょうけど(汗)

ハイ、楽しめました(笑)

怖いというより、失礼ながら色々と笑えました
そして、友人の職業上致し方ないと思えます
別の職業についていれば、交友関係も続いていたかのように感じます
私の場合は、大抵誰かが連れてくるではなく私についてくるケースが多いですけど(汗)

マコさま
いつもありがとうございます(^^

親子なのか姉弟なのか判りませんが、言葉が通じて良かったです♪
書いていて思ったのは・・・
あの方達より、私の方が怖くないかい?って事ですねぇ(´・ω・`)

むむ、そう言う行いは良いですね!

道案内してくれて、その親子は安心したでしょうね。

親子さんのご冥福をお祈りします。

mamiさま
いつもありがとうございます(^^

焦ってる時って、疲労感満載ですよ~~
帰宅して、まだ居たのを知ったときには、肩が床に落ちそうでしたww

友人絶交、えぇ。この話とは無関係な部分ですが、コリゴリですねぇ^^;

急いでいるときに『…いるし…』は、零感の私も気持ちが分かる気がしました。と、言うか笑っちゃいました。
今回のお話しとは関係ないのでしょうが…何となく、このご友人と絶交された気持ちも分かる気がしました。