中編5
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ユースホステル

短大時代、学習旅行との名目で2泊3日の宿泊学習があった。

山中の道路沿いにあり、湖が一望できる静かな場所。

到着してバスから降り、湖を振り返る。

「うぁ~~~気持ちいいなぁ~」

「ホント!ホント!」

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みんな、それぞれに狭いバスで固まりかけた体を伸ばしながら景観を楽しんでいた。

無表情で上目遣いに建物を見つめる私には誰も気付いてなかったようだ。

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・・・ここも黒い紗が掛かって見える・・・

けれど、約200人が集まってるのだ。

大丈夫だろう・・。

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そのユースホステルは、いかにも古臭い。

・・取って付けた様な新館が渡り廊下で繋がっている。

(コレ、うちらが来てなかったら、ただの廃墟だな・・)

そんな風貌だった。

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よ~沙羅。少し荷物持ってやるよ。

うんにゃ。重いから自分で持つ。

例外なのかもしれないが・・

女同士のみ。って意外と口が悪かったりする。

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※補足ですが・・もう遅いかもですが。。

(私の言葉遣いが悪い時は、男友達といる時か親友と居るときのみです。

因みに、短大時代はヤサグレていたので、普通に口悪いです。)

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荷物を持ってやる。と言ったMは私が断る前に勝手に私のバッグを持とうとした。

!なんだコレ?なんでこんな重いワケ?

私はニヤリと笑ってバッグを振って見せた。

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<チャポン・チャポン>

MもHも、その音を聞いて察したようだった。

夜は宴会だなww

そのつもりで大量に持ってきたww

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それにしても、一体何本持ってきたん?

3本。それと割る用の炭酸もあるし~~

バッグ、軽そうに持ってるから気付んかった。

あ~10キロまでなら片手楽勝~ついでに、M位なら肩に担げるぞ~

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そんな、『夜のお楽しみ』を話しながら部屋割りを見た。

(・・・・・旧館だし・・)

(・・おまけにセンセの部屋の近所だし・・)

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なぁ?これじゃ、騒げないよな?

しゃ~ない。静かに宴会すんべさ~

おぅ。。

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そして、待ちに待った『お楽しみタイム』

じゃじゃ~~ん♪と取り出す焼酎やバーボン。

各自に紙コップを手渡し、注いでいく。

静かに静かに。を合言葉に、お喋りに花が咲く。

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22時を過ぎた頃だろうか。

廊下を走ってくる足音がした。

ドダダダダダダダダ・・・・・

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新館との渡り廊下からセンセの部屋の前を通り過ぎ、私達の集まってる部屋の前も通過していく。

なんだよ~センセ起きちゃうじゃんよ~?

・・だなぁ~。

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こっちへ来る時だけ走っているのか、それとも数人で一人ずつ走ってきているのか、足音は一方通行だ。

ちと、迷惑だな。と私。

MもHも、他の子もウンウンと頷く。

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何度目かの足音の際に、注意することにした。

今度走ってきたら、同時に部屋のドア開けよう。

簡単な打合せ?をしてる最中に、また走ってきた。

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ドダダダダダダダダ・・・・・

私とMでドアの両サイドに立ち、勢い良くドアを開けた。

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・・・・・。

・・・・・。

ビチャッ!ビチャッ!と水溜りの足跡が通り過ぎていった。

二人が見ている前を。

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エンジ色のカーペットの上に、水溜りの足跡。

すぐに水は染み込んで、裸足の足跡と判る。

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私:(・・・見た?)

M:(・・・見た。)

私:(・・・見えなかったな?)

M:(・・・うん。見えなかった。)

ドアを背に閉めながら、呟く。

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(ウチら、何も見なかった。な?)

他のメンバーが口々に言う。

誰だった~?注意したん~?

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いやぁ~誰も走ってねぇわ(^^

どっかの反響音だろな(^^

マ~ジ~?ま~それならいっかぁ~!

さ!飲みなおそうぜぃ♪

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私もMも気を取り直して、輪の中に入ろうとした。

・・・その時。

キャァァァァァァァァァ~~~~!!

緊迫した同級生の金切り声。

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反射的に全員が立ち上がる。

「声は、トイレ付近だ」

全員で駆けつける。

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その子は、洗面台の下にしゃがみ込んで口を押さえて震えていた。

「・・・何があったの?誰が来たの?」

興奮している酔った仲間を後に追いやり、努めて静かに聞いた。

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以下、その子の話

私がトイレに来たとき、誰も居なかったの。

で、個室に入った途端に水を流す音がして・・。

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『アレ?誰か居たっけ?でも電気点けたの私だし』なんて不思議に思いながら個室から出たの。

でも、どの個室もドア開いてるし・・

変だな~?って手を洗ってたら、一番奥の個室のドアが、ゆっくり閉まっていくのが見えた。

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振り返ったら、勢いよくドアがバンっ!って閉まって、また勢いよく開いて・・

目の前で、バンバンってドアが勝手に動いてて・・

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泣きじゃくりながら、事の次第を説明してくれた。

言い終わる頃。

・・・ジャーーーーーゴポゴポ。。

その場に居た全員が流れる水の音を聞いた。

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また金切り声を上げた彼女を、なだめて立たせ、仲間に部屋へ送るように伝えた。

怯えている仲間も、全員部屋に帰した。

残ったのは、私とM。

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先程の<足音&足跡>と関係があるのかも?

トイレの個室も二人で見て歩く。

水が流れた形跡、なし。乾いているのだ。

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・・だが、床だけは・・

濡れていた。丁度両足があたる部分だけ。

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トイレは、旧館の一番奥。T字路左側。

右は、廊下側の部屋の壁沿いに一部屋分の長さがあるだけで突き当たりは、嵌め殺しの窓だ。

窓に向かって歩く。

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丁度、目の高さに『手』の跡が付いていた。

Mと顔を見合わせた。

『手』の脇に自分の手を置いてみる。

大きさは、1回り小さい。

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Mも同じように手を置いてみる。

大体、Mと同じ位の大きさだ。

・・・・・。

黙ったまま、私は『手跡』の端っこを擦る。

内側からじゃないことが判った。

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Mと同時に呟く。

「外側だな」

・・そして私は付け加えた。

「ここ3階だぞ・・・。」

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結局、足跡とトイレ、手跡の因果関係は判らず仕舞いだったが、このユースホステルに宿泊し、見事に眼下へと広がる湖で命を絶ったものが多くいたという。

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あのユースホステル、まだあるのかな・・。

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光道 進さま
コメント、ありがとうございます(^^

本当に、途中で止めることが出来ますか?
私には・・出来ないですねぇ(ーー;)
妄想力がありすぎて、もっとコワくなっちゃいますもんww

私なら、途中で止めます。
着いて来られるの怖いから

仲間さま
はじめまして(^^ コメントありがとうございます♪

・・なんか・・こう『肝っ玉』を連続でくらうと、(そなのかな?)とか
思っちゃいますww

主人公・・はい。その通りです!
基本、自分自身の五感と行動をベースに書いているので、そうなっちゃいますぅ(*-∀-)ゞ

マコさま
いつもありがとうございます(^^
・・マコさんまで、そゆこと言っちゃいます?(涙)

こちらに対して、危害を加えてこないモノに対しては、案外冷静ですね~
・・と、突っ込まれてから気付きましたww

外出先でそのような経験に遭遇した事がないので、分かりませんが…
もし、沙羅さんと似たような場面に遭遇したら、私自身どのような行動に出るかが不明な分
肝っ玉が据わってると感じます(笑)

気のせいか、沙羅さんの行動が小説等の主人公といった感じがしました

列久夜さんと同意見!

本当に肝っ玉デカイですねー。

でも、案外そういう場面に出くわすと落ち着き過ぎる自分が有ったりしますね。

裂久夜さま
いつもありがとうございます(^^
肝・・据わってないです(涙)え~かっこしぃ。と云いますか何といいますか・・。
集団ヒステリーみたいには、したくないし・・。
かといって、怖いままじゃ余計に怖いので、いつも原因探しをしていまいます。
科学的根拠みたいなのが、あって欲しいと毎度思います^^;

毎回、思ってしまいますが、
肝が据わってらっしゃいますね~('-^*)ok