中編6
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娘との絆

※怖い話ではありません。不思議な話です。

いつも、死の世界からの事ばかり書いてるので、今回は「生」に関してUPします。

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私の娘は、予定日を1ヶ月過ぎても産まれてこなかった。

余程、お腹の中が居心地良かったのだろう。

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その為、促進剤を使用しての自然分娩だった。

今は、点滴等で促進剤を使うようだが、当時は違った。

『ひまし油』という名の油を約1リットルも飲まされた。

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(ぐうぇぇぇ~~マズ~イ~~)

普通のサラダオイルを飲んでいるような感じ。

だが、出産の為と言い聞かせ全部飲み切る。

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『いいか、ワタシ?こんなんでメゲてたら、次に進めないぞ?』

ホント、その一心。

やっと最後の一口を何とか飲み終えた時、ナースさんが通り掛った。

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「あらヤダ!ジュースとかで割らなかったの?」

・・・

・・・え?・・聞いてません・・。

「ゴメンなさいねぇ~説明不足だったのねぇ」

・・それで、片付けられてしまうのかい?・・

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全部飲んだら、まず便意が来るからね~

そしたら、出なくなるまで出してね~

その後で陣痛来るから~

・・・・・

それ以外、聞かされていなかった。

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油でギトギトになってる筈の食道と胃を少しでも軽くしたくて、サッパリ系のジュースで誤魔化す。

出すべきものは、もうない。

あと、出てくるものは待ちに待った赤ちゃんだけだ。

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しかし、噂の陣痛・・なかなか来ない。

地元の仲間と、部屋で長電話をして時間を潰す。

夜中の2時。

そろそろ眠いから。と言って電話を置く。

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さてっと!寝よう!

コロンとしたお腹を撫でて、横になったときにソレは来た。

・・・イ・タ・イ・・・

どっちを向いても痛い。

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!お~!これかっ!これが陣痛かっ!少し感動。

が、気付いたときには、既に1分間隔だった。

すぐにナースコールを押す。

「じゃぁ、準備済まして降りてきてね♪」

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・・え~~~~~~~こんな痛いのに?

つーか、イキナリの1分間隔ですよ?

突然のコトに驚きながらも準備をする。

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痛みと痛みの僅かな隙間に、擦り足で分娩室へ向かう。『ダルマさんが転んだ』状態。

痛い間は、動けない。片足上げた状態で痛みが来たら、下ろせないほど痛い。

(男性の皆さん、しっかり想像して下さいね)

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私の部屋は5階だった。

分娩室は、3階ナースセンターの隣の隣。

・・・やっと到着。

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分娩台が、まだ塞がってるので、しばらく待ちベッドで横になってるようにと言われた。

う・・マズい。。産まれる。。

あの違和感は、女性にしか解らないだろう。

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やっと通りすがりのナースさんを捉まえる。

初産なんだから、まだまだなのに~と言いながらも、必死で「産まれる」を連呼する私のために下半身を覗いてくれた。

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「あらっっ!!」恐らく反射的になんだろうが、お腹の中に押し戻そうとする、天然なナースさん。

ヤダ~。戻さないで~~!と反抗する私。

我に返ったのだろう。分娩台を空けてくると告げて、行ってしまった。

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そんな色々な経過を経て、陣痛開始から2時間後。

娘はツルンと産まれてきてくれた。

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おめでとう女の子よ(^^)

・・五体満足ですかっ!(私)

え?えぇ・・特に問題はないけど?

・・よかったぁぁぁぁぁ(涙)

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妊娠中の、色んな避けられない要因があり、障害があったらどうしようかと、そればかり考えていたのだ。

無事に私の腕の中に納まった、小さな命。

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しばし胸の上に抱かせてくれとお願いをして

無理矢理、抱かせてもらったのだ。

さっきまで、親子一緒に動いていた筈の心臓が、今や別々の鼓動を打っている。

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さ、産湯に入れてキレイにしたら、また抱っこさせたげるから。

そう言って娘は別室へと連れて行かれた。

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若さとは、素晴しいものだ。

出産から3時間後には、「産まれたよ」報告を自分であちこち掛け捲っていた。

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そして訪れる、恐怖の時間。

その名も『乳房マッサージ』

(にゅうぼうマッサージ です)

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その産婦人科では母乳を推奨しており、マッサージ専門のお婆ちゃんまで居る。

乳腺が硬いため、マッサージをして母乳が出易くさせるのだが、涙が出るほど痛い。

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外的な痛みに関しては、バイオレンスな青春時代で感じなくなっていたのだが、コレはマジ辛い。

数名が一緒にマッサージを受けるのだけれど、中には号泣してるお母さんも居る。

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そして私は・・一番最初に母乳が飛び出した。

ラッキーママだ。

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初乳。

これは、母体から免疫やら重要な栄養素などが含まれているため、一番重要とされていた。

母乳の出ないお母さんは、泣きながら「お願い。出て。」と言いながら一生懸命、母乳を与えようとする。

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けれど、出ないものは、出ないのだ。

本人がいくら努力をしても・・だ。

私の母乳は、片方の半分も飲まないうちに満腹になるらしい。

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『余った母乳は搾乳して哺乳瓶に入れて下さい。冷凍しておいて、夜間のミルクの時間に与えます』

そう言われていたが、新鮮な母乳をあげたいに決まってる。

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授乳室に居たお母さん方に声を掛ける。

あのぅ。。私、余ってるんですが、、、

出ないお母さんで私のでも良いと思ってくださる方、いらっしゃいますか?

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一斉に視線が集まる。少し緊張した。

自分の緊張を和らげるために、更に続ける。

「初乳は大事だって聞いてますし。今回だけでも貰って頂ける方いないですか?」

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号泣しながらマッサージを受けていたお母さんの母親だろう。

真っ先に、「宜しいんですか?」と遠慮がちに尋ねてきた。

勿論です。満面の笑みで、赤ちゃんを預かる。

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結局、両方が空っぽになるまで3人の赤ちゃんの乳母となった。

出産2日目。

夜中、赤ちゃんの泣き声で目が覚めた。

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『あぁ。。私の赤ちゃんだ。お腹空いたんだな』

『しっかし、元気な泣き声だ』

そんなことを思いつつ、授乳室へ行くための支度を始めた。

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そこへ、タイミングよくナースさん登場。

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「沙羅さ~ん。あら、起きてました?」

「えぇ。スミマセン。ウチの子があんなに泣いたら、他の赤ちゃん起きちゃいますね^^;」

「え??」

「今、泣いてるの、ウチの子ですよね?」

「えぇ・・・そうなんですけど・・」

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『怪訝』というより、気持ち悪いものでも見るかのような顔をしているナースさん。

「あの・・沙羅さん?赤ちゃん泣いてるの聞こえたの?」

「はい。それで目が覚めてww まだ泣いてるし早く行かなきゃ」

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そのナースさんの表情が気になったものの、手早く支度を続ける。

「・・じゃ、じゃぁ先に授乳室へ行ってますね」

そそくさと出て行ってしまった。

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準備を済ませ、部屋を後にする。

鼻歌交じりに3階の授乳室へ向かう。

・・・アレ?・・・え?・・・

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私の部屋は、旧館5階。北側の日当たりが悪いけど安い個室だ。

授乳室は、新館3階。

ナースセンターの正面だが・・

南側にあるため、階段を下りたら回りこまないといけない。

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それも、階段からは長い廊下があって、新館へ向かうのだ。

新生児室で泣いてる筈の声が、どうやって聞こえるというのだろう。

そもそも、廊下側からみる新生児室には、防音のガラスが嵌めてあるのだ。

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赤ちゃんが、ギャン泣きしても、そうそう聞こえないのだ。

・・・あ~。だからか。納得。

だから、あの看護婦さんは気味悪がってたんだ。

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つい昨日まで、お腹の中で繋がっていたんだから、変な事なんかじゃない。

聞こえたって、おかしくないんだ。

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母と子の『絆』の第一歩を進んだ証なんだ。

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宵闇さん
いつもありがとうございます(*^^*)

なんと!お姉様が同じ体験を!\(◎o◎)/
というより先に、心から「おめでとうございます。とお疲れ様でした」を♪

何といっても繋がってましたからね~
お姉様、仰ってなかったですか?『これは絶対に自分の子って確信があった」って。
不思議と『絶対、わが子』って思うんですよね~~~

私自身は出産の経験がありませんが、つい昨日姉が無事に出産を終え、今日病院へお見舞いに行ってきました。
そしたらなんとびっくり、沙羅さんと同じように、離れた所にいる自分の赤ちゃんの泣き声が聞こえたと言っていました!
絆ってやっぱりあるんですね(๑•̀ㅂ•́)و✧
親子の絆に感動しました!

ゆ さん
コメントありがとうございます(^^

無陣痛とは!!驚きましたww

お誕生日と、命日。
なんだか複雑な気持ちになるのは、私も・・です(^^;;

また、お付き合いくださるとうれしいです(^^

陣痛、1分間隔になるまで気づかなかったの、解りますよ〜(^-^)
私は無陣痛の自然分娩、超安産でした(^O^)
真夜中の授乳、懐かしいです(^-^)
必死でお乳を探す小さな我が子が愛おしくて。
昨日、22歳の誕生日を迎えた我が子。
そして今日は愛犬の命日。
生と死。
1日違いの日にちに不思議な思いがあります。
これからもお互い家族を大切に過ごしたいですね(^-^)

ひなを さま
いつもありがとうございます(^^

現場をご存知であろう、ひなをさんだから余計笑えたでしょうねww
私もあの時の事ばかりは、笑い話として友人達に話しています。

子供の『何か』に反応できるって素晴らしいことですよね(*^^*)

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hikaさま
いつもありがとうございます(^^

えぇ。下剤なんです。浣腸と下剤の二者択一でしたwww
そりゃもう~下剤を選びますよね(^^;

今回は娘さんとの素敵なお話ですね(*˙︶˙*)
目に見えない絆って凄いですねぇ…

それにしても、ヒマシ油って下剤だと学校で習っていたのですが、分娩時にも使われることがあったんですね…原液1リットルは…おつかれさまです(´・ω・`)

仲間 さま
いつもありがとうございます(^^

恐らく、その悶絶の方が楽ですよwww
少し休んだらピョンピョンして落とせますもんね?( ̄ー ̄)ニヤリ

陣痛での悶絶は、呼吸が出来なくなります。
1分間隔から出産終了までには、もっと長い時間、苦しみます。
数日も苦しむ妊婦さんさえ居ます。

私は、本当に楽な方だったと思いますが、「二人目はパパが産んでね!!」と言っちゃいました~
バチが当たったのか、第二子・第三子共に、産んであげられませんでした(凹)

烏賊サマ師 さま
いつもありがとうございます(^^

何かで見た情報で恐縮ですが・・
男性は、出産時の苦痛に耐えきれず、死んでしまうだろう。との事。

世の中、男と女。陰と陽。生と死、等々、数えきれない程の真逆が存在します。
補い合って、初めて一つだとも思うんですよ。
なので、実感することは出来なくても、想像し励ましあえるのなら、それで良いのだと。。
どうぞ、奥様の心情を想像して手助けしてあげてください(^^

マコさま
いつもありがとうございます(^^

きっと、いつの世も<女性特有の>事は男性には理解しきれないモノなのでしょうね。
逆に<男性特有の>事は、大概女性には想像つくモンです(^^

生まれてから、旅立つまで、親には頭が上がらないですよね~

裂久夜さま
いつもありがとうございます(^^

出産の日は、まるで昨日の事のように思い出します♪
母乳神話は未だ続いていますが、周りの人からの「出ないの?」というプレッシャーは
相当だったと思います。
乗り越えられた事こそ素晴らしいですね(^^

はな さま
コメ&コワイありがとうございます(^^

そして、ご出産お疲れ様でした!!
おめでとうございます(*´∀`)o∠☆゚+。*゚゚+。*゚

そうですね!正に奇跡です♪そして、私たちもその『奇跡』の一員ですね。
臍の緒で繋がっていたのだから、不思議な事も多々起きるものだと思います。
はなさんの、子供さん!元気に育て~~!!

妊娠・・・
男という性に生まれた瞬間から、生きている間は理解しえない痛み
その逆に、男性の場合だと、きっと○玉を思いっきり蹴り上げられた感じの悶絶状態なんでしょうね
経験はありませんが…
(と、言いますか経験がある方が稀でしょうけど)
それが、一分間隔で襲ってくると考慮する事を考えると・・・なんて、恐ろしい

男には永遠にわからない痛みと苦労ですよね!
嫁にぶちギレられた事を思い出しました…

ふーむ、何度見てもわかりませんね…

女性の産みの痛みというものは!

男性にとっては、一生掛かってもわからないでしょうね!頭が下がる思いです。

産んでくれた母と、きっかけを作ってくれた父に感謝です!

その場に居たら、間違い無く初乳をいただいたであろう事を懐かしさと共に思いました(笑)

この前帝王切開にて出産しました…
どんな形であれ、無事元気で産まれてくるということは奇跡ですよね。゚(゚´ω`゚)゚。
私も、家族には聞こえない赤ちゃんの声が聞こえたことがありました。
お母さんの血液や栄養で身体を創られ、心を持って産まれてくるのですから、きっと想像出来ないような不思議な事もあるのでしょうね(*´▽`*)