中編4
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シャンプー

皆さんの記憶にも新しいと思う、大震災。

水道が復旧するまで、かなりの時間がかかった。

断水され、困るのはトイレと風呂。

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私のアパートでは、なかなか復旧せず、仕方なく実家へ風呂を借りに行った。

ガソリンでさえ、手に入らなかった頃だ。

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当たり前に沙羅宅の風呂場は、出るのだが。

・・パーツが多いのだが・・

あの時は、違った。

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・・出ませんように~~~

と願いながら、風呂に入る。

沙羅宅の造りは古いため、シャワーなんて気が利いたものはナイ。

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泡々の髪をモシュモシュ洗う。

腰までロングのストレート。当時の髪型。

そして違和感。

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どこからかの視線。場所の特定が出来ない。

いつもなら鏡の中にソレはある筈なのだが。

今日は、鏡の中に異変はナイ。

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私の髪に異変がある。

ロングの為、髪を手櫛で解くようにしていたとき、私のとは明らかに違う髪が指に纏わりついた。

クルクルにカールしてある・・抜け毛?

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・・え~~私、クセっ毛じゃないのに~・・

指に絡みついたソレを泡と一緒に指から外す。

後頭部に自分の手を当てた時。。

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乾いた髪が手に触れた。

・・モジャ・・

(・・・・・・っ!!!・・・)

(気付かない振り作戦決行だな。コレ。。)

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乾いた何者かの髪も自分のと一緒に泡立てる。

(・・気持ち悪りぃ~~よぅ~・・)

(でも、知らんぷりが一番)

そう自分に言い聞かせて続ける。

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何度も絡んだ髪が指に引っ掛かるが、引っ張っても痛くない。

・・視線は、まだ何処からか続いている。

(・・そりゃ引っ張っても痛くないよな。私のじゃないんだから・・・・・)

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出来るだけ。出来るだけ手早く髪を洗い流してしまいたい。

湯桶に汲んだ湯を何度も頭から被る。

最後に、汲んだ湯で顔を洗い上げた。

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・・プハ~ッ・・

一瞬の気の緩みで、いつもの癖で上を向いてしまった。

・・ソレは天井から逆さまにぶら下っていた。

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ゴワゴワのカールしまくった髪をしたソレ。

白目部分は、血溜りのように真っ赤。

爪楊枝の頭位の小さな黒い点。

恐らく黒目の部分なんだろう。

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無言で見つめあってしまった。

肌には、紫色の小さな斑点と毛細血管が浮き出たような跡もある。

ソレは、イヤ~~~な笑みを浮かべた。

・・ニタ~~~~~ッ・・っと。

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浴室のイスから勝手に体がずれて、尻餅をついた。

目が逸らせない。喉もカラカラになっている。

思考能力、停止。。。

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一瞬だったのか、数分だったのか・・

見つめあったままの腰抜け私は、見上げている自分の首が痛いことに気付く。

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・・・あ・・あ・・・・・

(ダメだ。悲鳴も出せない。)

・・ソレが言った。

(・・あらったねぇぇぇぇ~~)

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目が逸らせないまま、小さく頷く。

コクコク・・

痙攣するように私は全身が震えていた。

私:(・・あ・洗いました・・)心の声。

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ニタ~~~~~っと笑った口が更に横に広がる。

目は、全く笑ってなどいない。

口だけが笑っている感じ。

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ケタケタケタケタ・・

乾いた笑い声が浴室に響く。

(・・また・・あらってねぇぇぇ~~)

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そのまま、ソレは唐突に消えた。

チャンネルがずれたのだろうか?

どの位、私は呆けていたのだろう。

気付けば、体が冷え切っている。

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とにかく、もう見えない。

見えないのだから、早く風呂から出たい。

冷え切った体を素早く湯船に浸す。

私はまだ震えていた。

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熱めの湯に浸かったことで、少しずつ自分を取り戻す。

・・また、洗ってね。って言ってたな。ん~。

・・確かにそう聞こえたな。

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ってコトは、また出てくるからってコトだよな~

そうだろうなぁ~そうに違いないよなぁ~

・・・・・・。

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「母~~~?塩持ってきてくれる~?」

「なんで~~?」

「アトピー対策~~」

「はいよ~」

風呂場と台所の会話を済ませる。

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母から受け取った塩で、まんべんなく体を擦る。

口も塩水で漱ぐ。

今度は、真水を頭から被る。

何度も。。

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浴室の床にも塩を撒いて、洗い流す。

さすがに天井は無理だけど、風呂場を綺麗にしておいた。

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何事も無かったような顔で風呂から出る私。

「お風呂、借りました。お邪魔様~」

ドライヤーも使うことなく、そのまま帰宅しようとする私。

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そんな私を呼び止める父。

「沙羅、首、どうしたんだ?」

「・・え?首??」

「・・ん。」手鏡を渡される。

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父から渡された手鏡で自分の首を見ると、赤紫に変色した皮膚があった。

「・・首、絞められたのか?」

「・・いや。知らない誰かの髪を洗っただけ」

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「・・・。で?」促される私。

「・・ぃゃぁ。また洗ってくれって言うから、風呂場だけ掃除してきた」

「そうか。無理するなよ?」

「ん。もう、風呂借りに来ないよ。」

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・・そして夜中に帰宅した私。

まだアパートの断水が続いているか確認するため蛇口を捻る。

バシュッ!ブシュッ!バビュビュビュッ!

酷い音と飛び散る茶色の水。。

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(・・・やっと断水が終了したんだな・・)

そう思って、すごく。すごく。安心した。

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その後、一度も実家の風呂は借りてない。

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マガだ~ん♪
ほんとだよねぇ~~
人に頼るなってwww
要介護者じゃないんだからさぁ~~~~(--;

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Takayuki Ohishiさん♪
いらしゃいませ~<(_ _)>
このような書き散らかしたもので、お恥ずかしい限りですが、ありがとうございます♪

抜け毛・・・Σ(--; そ・・それは・・季節の変わり目ですから!!!
冬毛に変わるんですよぅ~~ww

投稿し始めた頃は、毎日の日課のようにUPしてましたので、駄文のクセに数だけアル。。
ある意味、恐ろしいことになっております(笑)
今後ともよろしくお付き合い下さると、相当喜びます(*^^*)
モミアゲも・・・サッパリ洗って差し上げましょうとも!

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宵闇さん
遡ってのコワイと、そしてコメをいつもありがとうございます(^^)

旅先では、避けようがないですねぇ(><;)
やはり<気付かない作戦>やりましたか!!
同じ手段を使う方がいて、内心ホッとしました~~

目を閉じても大丈夫ですよ(^^
自分の体の一部だけを(腕とか足)に視線を持っていけば、見ないで済むと思いますので

・・・たぶん・・・

私も同じような体験があるんです(>_<)
家ではなく旅行先の温泉でしたが、私は濃いめの茶色で腰までのゆるウェーブの髪だったのですが、あきらかに黒髪ストレートロングが私の髪に混ざっていました!
気付かない作戦で事なきを得ましたが、それ以来シャンプーの時は目が閉じられなくなり、結構不便です(笑)

光道さん
ありがとうございます(^^

自力で洗って行ってくれるなら、風呂場も貸しますけど・・
洗ってくれって・・・普通にイヤです(^^;

きっと頭だけじゃなく体も洗って欲しかったのかも、津波にあった仙台では泥だらけの
人が仮設の風呂を借りに来てたらしい
夜中になるとザ、ザ、ザ泥を落とす音と泥が
下に落ちて、ピタ、ピタ、ピタ、と言う音が
何日も聞こえいたそうです。

仲間さま
いつもありがとうございます(^^

何と言ってもホラースポットですから・・風呂場も。
あんな露骨に出てくるなんて、それまでには無かったんで・・。
侮るもんじゃないですねぇ~

でも、視線の先を探るのは止めた方が賢明だと悟りました~

実際に私自身が沙羅さんと同じ体験をしたと思うと、トラウマになる感じが否めません(汗)
ほんと、余り見える人でなくて良かった~~~~~(全く見えないと言っても過言ではない)
沙羅さんのお宅の風呂って、住処になっている感じですよね~~
沙羅さんには申し訳ないですが・・・
なにかあれば、又癒されに彼女の実家のお風呂で洗っても~~らぉ♪(キャッ)
っていう、感じが伝わってしまいました。

大体出ると分かってて、お風呂に入いるしかない感じが嫌ですね

マコさま
いつもありがとうございます(^^

慣れませんって!!!
超ビビリなんですってばwww

そういえば。先日友人に言われました。
私の事を「イケメン女子」と・・・。
男ぢゃ~ん(T T)

裂久夜さま
いつもありがとうございます(^^
私の【知らん振り作戦】は、相手を喜ばせないため、致し方なくです(T T)
じゃないと、毎回出没して心臓もちません・・・(泣)

あの頃の父は、だいぶ弱っていましてね。。
ウイスキーに、変なものをゴチャ混ぜにして、チビチビやってましたよ。
あの飲み物は、既に『酒』ではない代物でしたww
父は、家族の中で一番凄い<力>を持ってましたので・・
障子戸を開けずに挨拶したのに呼び止められたんです。

沙羅さん、またこえーな!

でも不思議ですよね。慣れてくるもんね。こういうの。

あー、イヤイヤ!

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小夜子さん
こんばんわ(^^)
私もpcからですが、怖いの目玉マークの処ではなく、Twitterロゴ&Facebookロゴの上部にある、腐った赤色の【怖い】をポチですよ🎵

沙羅さん。
こちらにポチットしたくて戻ったのですが、PCのためか、ポチットがカウントされないようなのです。
PCから投票するにはどうすればいいのでしょうかしら