中編4
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今までありがとう

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私は猫を飼っていた

過去形になるが

一人暮らしのアパートで白黒のメスの猫、シュシュを飼っていた

当時付き合っていた、彼との結婚が決まり

シュシュを手放さなくてはならなくなった

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結婚後は彼氏の両親と同居

義両親は犬は好きだけど、猫は嫌いな人

散々悩んだ挙句、シュシュは私の実家で面倒を見てもらう事に…

先住猫もいたが、多分大丈夫だろうと

そのまま実母に預ける事にした

職場が近かった事もあり、仕事帰り実家に寄り、シュシュを愛でて帰宅する

私のほんの少しの息抜き

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家に戻ったら、嫁としての仕事が山積み

義母は嫁がいるからと、炊事や洗濯を一切しなくなった

義父は、そんな私の事を気遣い手伝おうとする

すると、義母がヤキモチを妬く

「私の事は手伝わなかったのに嫁は手伝うんだね?」とこんな具合で…。

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全てを一人で、鬼のように終わらせ

朝食の準備、お弁当の準備、義両親のお昼の準備、お風呂等を済ませ、一息つけるのは夜の10時過ぎ

その時間になると、朝が早い主人は寝室に行ってしまい、夫婦の会話はまるでなし

これで子供なんて持ったら、息抜きも出来なくなるのではと、不安でたまらなかった

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同居生活も二年を迎え、嫁を目の敵にしていた姑も、ほとぼりが冷めたのか、私の事を認めたのか、色々と手伝ってくれるようになり

「そろそろ孫の顔が見たいわね」

なんて、言ってくるようになってきた

主人とも話し合い、半年後に子供を作る約束をした

その間も、実家への訪問は欠かさなかった

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そんなある日だった

仕事が忙しくなり、実家へ寄る時間が無くなっていた

シュシュの顔を見たい気持ちもあるが、今の生活の方を優先してしまい、3ヶ月も実家に行けなかった

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そんな時だった

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実母からシュシュが車に轢かれたと、連絡が入ったた

話を聞くと、家猫なので外へ出る事はまずなかった

いつもは玄関を閉めて、玄関の上がり口で話をする実母が、その日に限って玄関を開けたまま、近所のオバさんと話しをしていたらしい

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そこで実家前の道路に、ピンクの車が停車

シュシュはその車に向かって、突進していったらしい

そのピンクの車は、私の車と同じ車種で同じピンクの色

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シュシュが私が実家に来たと勘違いをして、運転席側の道路に座り、私と思い出迎えようとしていたところ、反対車線を走っていた別の車に、骨盤を轢かれた

命に別状はないが、骨格も小さく細いので、長くは持たないとの事

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義両親に事情を話した。

お昼前にもかかわらず

「お昼ごはんは作らなくていいから早く行きなさい」と背中を押してくれて

シュシュが入院している動物病院へ、車を走らせた

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動物病院へ行くと、実母と妹が入り口に立っていて、私を迎えてくれた

そしてシュシュが入院している病室へ…

病室というよりかは、透明な四角の箱が、幾重にも重なり、その中に入院中の猫や犬が横たわっている

小さな窓があった。

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看護師さんが開けてくれて「お声を掛けてあげて下さい」と話してくれた

横たわるシュシュの名前を呼びながら「シュシュ?3ヶ月も来れなくてゴメンね?」と頭を撫でた。

すると、苦しそうな息遣いの中、私の声に反応して、目を開けて私の事を見てくれた。

そして、か細く聴き慣れた鳴き声で「にゃぁー」と一言…

その姿に、我慢していた涙が溢れてきた。

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忙しいを理由に、シュシュに会いに行けなかった自分を責めた。

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それから2日後の早朝

シュシュは、病院で息を引き取った

その日のお昼、動物病院でシュシュを引き取り、その足でペット霊園へ行った

シュシュのお葬式をしたかったから…

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迷い猫を保護したのが、推定3ヶ月の時

アパートは、ペットが禁止だった

それを、大家さんに泣きついて、頼み飼い始めたシュシュ

とても良い子で、無駄鳴きは一度も無かった

爪研ぎも、室内ではせず、専用の爪研ぎで研いでくれて

とても頭のいい子だった

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3年間一緒に住み、結婚をした後、実家で2年半…

約6年間の短い命だったけど

私には、シュシュとの思い出が沢山ある…

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火葬場で、神主さんがシュシュの気持ちを代弁してくれて、その言葉にまた涙した

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納骨する時、分骨を提案してくれて、小さなペンダント式のカプセルの中に分骨をして肌身離さず持っている。

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そんなシュシュが亡くなって3ヶ月の月命日の日

身体に違和感があり、産婦人科へ行くと妊娠2ヶ月目だった

私は咄嗟に、シュシュの生まれ変わりかもしれないと直感的に思った

そう感じるしかなかったのだ

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産婦人科へ行く前の夜、夢にシュシュが出てきて

「今度は長生きするよ」

こう言ったのだ

しかも、人間の言葉で

それに女の子の声だった

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女の子が産まれるんだと、そこで勝手に想像して名前まで決めている自分がいる

シュシュとは名前に付けられないので

産まれたらポニーテールに、白黒のシュシュをつけよう…

色々と想像しながら、出産を待つ妊婦のお話でした

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お礼が遅くなりました。

コメントありがとうございました。
自分で書いておきながら、新たに読み返すと良い話です♪
お褒めの言葉、ありがとうございました

ゆ様。
コメントありがとうございました。
読まれた方、涙腺が崩壊される方が多かったです。
このアプリを教えてくれた長男も、このお話は感動して泣いたと言っておりました。
ありがとうございました♪

返信

涙腺崩壊。・゜・(ノД`)・゜・。
きっと生まれ変わりですよ、いや、絶対。
娘さんのこと、ずっと守ってくれてると思います!

返信

紗羅さん。コメントありがとうございます。

私も実家で猫を飼っていて何度も猫の死を見てきました。
本当に生まれ変わりってあるんだなと実感しているところです。

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初めまして。
昔、愛猫を亡くしたことを思い出しました。。

生まれ変わってくれたなら、本当に良かった。

返信

みけさん。

コメントありがとうございます。
シュシュとは何度か遊んだ経験があり、亡くなった事を知ったのは知人が娘さんを産んだ後でした。
その娘さんも3歳で、メッチャ可愛いですよ♪

返信

こんばんは。

私も猫飼っているので、泣きそうになりながら読みました。
短い間だったかもしれませんが、大事にしてくれた思いはきちんと伝わっていたんですよね。

今度はずっと一緒にいられますように、、、

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