中編4
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まだ居たの・・

高校3年。初夏の土曜日。

当時は、『ゆとり』では無かったため、土曜は半日で全てが終わる。

部活でさえ、平日よりもずっと早く終わるのだ。

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・・

少し蒸し暑くなってきた、ある土曜日。

普段は、特別仲が良い訳でもないクラスの委員長と机を挟んで、二人向かい合って雑談をしていた。

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廊下側2列目、真ん中の席。

もうすぐ部活も引退なんでしょう?

・・私は2年になってから全部辞めたから関係ない。

そっかぁ~~

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ホント、ただの雑談だった。

吹奏楽部の練習の音が遠くから聞こえる。

のどかな土曜の昼下がりだった。

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急に踵のあるサンダルの足音がした。

・・・

カツン・・コツン・・カツン・・

この教室は西側の端っこ。

足音は、東側から唐突に聞こえた。

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東側の端の階段はおろか、中央階段、隣の教室から来た訳じゃない。

いきなり・・

この教室の外側。廊下から始まった足音。

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「担任?」と声を潜め、話しながら足元を見る。

廊下側の壁には、天井付近と足元に細長い窓があるからだ。

担任は、いつも踵の高いサンダルを履いている。

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二人して足元の窓を見ると・・・・

歩いている足は角度的に見えないものの、影が移動している。

教室の前後の引き戸は開けっぱなしになっていたが、後方の引き戸側を見ていた私には人の確認は出来なかった。

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影は、普通に人の影にしか見えなかった。

サンダルの真下に出来る濃い影から上に伸びている部分がグラデーション。

どう見ても、『本物の人』の足の影なんだが・・

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どうにも解せない・・

委員長も首を傾げている。

どうやら委員長も不思議に思っているのだろう。

『コレ・・どこから・・?』って。

開け放たれた前の戸を通り過ぎる『誰か』もいなかったのだ。

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「インチョー。このまま後の戸から廊下確認して。私は前の戸から確認する」

影は、前の戸に差し掛かる処で途絶え、足音も消えたからだ。

『イる』なら、前の戸の辺り・・

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声には出さず、首のジェスチャーだけで「せーの!」で確認。

・・・・

誰も居なかった。

後の戸から顔を出した委員長と目が合っただけ。

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一度視線を外せば見えるものも見えないので、私はそのまま教室脇の階段まで確認しに行った。

・・が、誰もいない。

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私:・・いなかったね。

委:・・ん。なんか昨年から立て続けだね。

私:・・そだね。

委:一度聞いてみたかったんだけど、いい?

私:・・プリーズ・・

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沙羅ってさ、霊感あんの?結構、ソッチ系でも有名になってんだけど。

(陸上の方で、有名だったので)

私は返答に詰まった。。。

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・・正直、霊感って実は判らないんだ。

ただ、不自然な事が良く起きて、それを頻繁に目撃しちゃうことを霊感って云うなら、そうなんだろうね?

うまく答えられなくてスマン。。

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そっか。災難ったら災難だねぇ?沙羅?ww

二人で苦笑いをしながら、ふと天井付近の窓に目がいった。

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前の戸の真上。に、『居た』

また顔だけだ。下半身などドコにもない

昨年の『目も鼻もない、唇だけが赤いオンナ』

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・・・まだ居やがった・・・

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委員長には黙っておくことにして「帰ろう」と促した。

委員長は、まだ連れを待ってるから。と言っていたが、部室のトコで待てばいい。と急かして教室を連れて出る。

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目の端で、オンナが付いてきてない事を確認しながら、途中まで一緒に部室方面へと向かった。

忘れ物に気付いた振りで、委員長を先に行かせ私は教室へ舞い戻る。

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何をしたかった訳でもない。

ただ、戻らなきゃいけない気がしただけだ。

教室へ戻ると・・私の席にオンナが座っていた。

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ニヤニヤ笑いながら、まるで私が戻ってくるのを待っていたかのように、こちらを向いて座っていた。

「アンタね、マジでしつこいよ?だから嫌われるんだよ。」

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教室、後の開け放たれた戸口から、そう言うと『オンナ』のニヤニヤ顔は一変した。

真顔になって(?)

唇を一文字に結び、悔しそうな表情になった。

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「嫌がらせばっか。ソレ楽しいん?私はアンタなんて嫌い。大っ嫌い」

吐き捨てるように言うと、ふぃっと消えた。

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自席に近寄りながらも文句を言う。

「消えてみせたってダメ。どうせ居るんでしょ。いい加減、マジ消えなよ。この学校から出てけ。アンタなんかの場所は、もうここにはナイの。」

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ドカッと勢いよく自分の椅子に座ると声がした。

頭の中に直接。

「傷ついたなぁ。嫌われてんなら出てくわ」

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まだ、その声が聞こえた時は怒っていたので

「あ~出てけっ」って言った。

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・・

帰宅途中で、言い過ぎたかも。とか

傷つけちゃったな。とか思ってはみたものの、同情は禁物だと思い直した。

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あれ以来、私は見ていないが

本当に出て行ったんだろうか・・・

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鏡水花さん
いつもありがとうございます(^^ ←最早、定型文ですww

確かに、優しさは強さだと思います。
とある友人に『沙羅みたいのを、イケメン女子。って言うんだ』って言われ・・
ビミョーなオーラを撒き散らしてしまいましたww

私自身は、優しいとは認識してなくて『お人よし』と思っちゃいます^^;
なんせ娘にも「このお人好しがぁぁぁぁ!」と言われる位なのでww
それも私の一部だと思って生きてます(^^

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マコさん
いつもありがとうございます(^^

『生きてるから全うできる可能性』
納得の一言です。
マコさんの言葉には、説得力ありますね♪

でも・・大賞は、いらにゃいかな~~(^^;

沙羅さん

いやー、真似できないな。そんなことは。

怖くて、オッカナイですよ!

ただ、弱い所につけ込む点で言えば 人間も一緒じゃないかと思いますね。
私達は まだ後悔はしていないんです。生きてるから。全うできる可能性が有りますもんね。

あちらの方は、後悔は出来ても人生は 全うも出来ないんですよ。でも、違いはそれだけだと私は思いますが。
光道さんと同意見、「あんた、見え過ぎ!」
大賞に認定します。笑

牡丹さん
いつもありがとうございます(^^

委員長にも、「あそこに・・」って言ったら見えたのかもしれません。
ですが、不要なものは見なくていいんです。
何をきっかけに「あれ以来、見えるようになった」の状態になるかもしれませんし。
なので、彼女には見せないために教室から連れ出したんです。

アチラの世界の方々に共通するのは、あくまでも経験則なんで申し訳ないんですが
『見える人に、構って欲しい。何とかして欲しい』が主のような気がするんですよね。

本人自身が、非常に強い方・後ろの守りが強い方は、恐らく見ずに済むのだとも思うのです。
ただ、本人が何かしらの特技・・
そうですね・・例えば私のように、つい話しかけてしまうとか、
または、とても心が優しくて慰霊してくれる・浄化してくれる・導いてくれる等の
力のある方には、見えるし聴こえるんだと・・・。(憶測です)

今回の件は、恐らく「構ってチャン」だったんだと思います。
怖がることもなく、話してくれる人。を探していたのだと。
どちらにしても、迷惑なんですけどね~^^;

光道さん
いつもありがとうございます。

『血筋』の中で、少々端折った「大僧正」の言葉なんですが・・
「恐れてはいけない。」の後に、生きているものの方が強い。とも言われていたんです。
恐れれば、恐れるほど、付け込まれるのだと。

なので、極力、『私の方が強い!』と思ってる節はあります。

また、直感的に「ヤバい!マズい!」と思ったら、速攻逃げます。

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