長編7
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アミューズメントパーク

段取りの都合上、平日2日続けて夫の仕事が休みの日の事。

唐突に夫が言った。

「あのさ、遊園地行かない?」

・・・なんか、また悪さしてきたか?

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突然の申し出に、疑問を持ちながらも出かけることにした。

娘を幼稚園まで迎えに行き、車内で着替え。

どこの遊園地?と聞いてもなかなか言わない。

娘のお出かけ着が整ったところで、行き先を言ってきた。

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・・・

このサイトでも広告してるのだから載せてもいいだろう。

行き先は「富士急ハイランド」だった。

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数時間かけて辿り着いたソコは、意外なほど人が少なかった。

平日。というのも差引いて・・。

あっさりと乗りたいものに乗り、見たい所を見て周り。。

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散歩がてら、テクテク歩いているときに見つけたのが

今の『絶望要塞』に使われている建物だ。

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私は・・こういう場所は好まない。

憑いてきちゃったら・・見えちゃったら・・

だから好まないし、近寄らないのが一番とも考えていた。

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怖いものが大っ嫌いな筈の夫がいう。

「お前さ~こういうの好きっしょ(^^)」

・・・好きじゃねぇし・・

「だって、いつも怖いの見てるじゃん?」

・・TVとかだけだろが・・

「まぁまぁ。いいから入ろう?(^^」

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コヤツ。絶対、何か悪さしてきての罪滅ぼしだ。

(内心、確定)

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・・

けれど、ふと思い立った。

『娘には、体験させた方が良いのかもしれない』と。

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少し話が逸れます。

私は、中学2年で始めての煙草を経験した。

兄が私を共犯者にして口止めをするために勧められたのだ。

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手放せなくなったのは、高校2年。

何度と無く煙草もZIPPOも捨てたのだが、

その頃には既に『苛立つ感情』を一時的に凌ぐトランキライザーでもあった。

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娘の妊娠初期、所謂つわりの時に禁煙開始。

順調に禁煙は進んでいた。

・・が、結婚当初、同居していた姑さんがヘビースモーカーだった。

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それも、チェーンスモーカー。

私が煙を避けて(あくまでも自然に部屋から退室)行動してるのが、癇に障ったらしく

「アンタが吸わないと、アタシが吸いずらいんだよっ」

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1本の煙草に火をつけて、私の口元へと押し付ける。

・・さぁ。吸え。と・・・。

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若さゆえ、反抗できなかった。。

『姑が、カラスは白いと言ったら、そうですね。と言うほど従順に』

それは、結婚を機に沙羅宅と決別するときに祖母からの言葉だった。

『おばあちゃんが沙羅に贈れる言葉。遺言だと思って忘れないように』

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そう言われていたので、、、

結婚してから姑さんの言うなりになっていた。まるで下僕のような扱いだった。

一応、「妊娠中だけでも禁煙しないと子供に悪影響が」

とは言ってみたものの、しつこいほど口元に押し付ける姑の気が済むなら。と手を出してしまった。

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既に安定期だったことも手を出した要因かもしれない。

ともかくまた喫煙者に戻ってしまったのだ。

そして、『やめられなくなる』ことの怖さを知った私は、まだ幼い娘がタバコに興味を持ったタイミングで与えたことがあるのだ。

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・・ねぇママ?それ、美味しいの?

・・うん。とっても美味しいよ~~

・・瑠奈も欲しいな~

・・そう?じゃぁ1本だけあげるね

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火を点けるのは危ないから、ママが火をつけてあげるね。

正座してニコニコと素直に頷く娘。

最初の一口を吸い込み、娘に悪魔的極上の笑みで手渡した。

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・・この火の処は、すっごく熱いから気をつけて持つのよ?

私から煙草を受け取った娘は嬉しそうにしばらく眺めていた。

これ、どうやってママみたいにするの?

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・・

私は答えた。

見本のように自分も煙草に火をつけ、口にくわえる。

・・いい?こうやって咥えたらね、ヒューーーーって息を吸うんだよ

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本来の吸い方は、喫煙者なら判るだろう。

こんな吸い方をする人なんていないコト。

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娘は素直にヒューーーと吸い込んで、そのまま咳き込み嘔吐して泣いた。

以来、ずっと嫌煙家だったりする。

かなり手荒だが、将来喫煙者になって欲しくない。

トラウマ植え付け成功。だった。

(横道、以上です)

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『体験させるのも無駄ではないかも』

お化け屋敷を前に、そう思い直して入る。

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あまりに昔のことなので定かではないが・・

確か、入る人達は、ある程度の人数でまとめられガイドの男性から注意事項などを受けた。

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「中にいる、幽霊その他は、アクターもしくはアクトレスの方です。くれぐれも暴力等はしないように」

恐いがあまり、殴ったり蹴っちゃったりする人が多いんだろう。

何度もそこを強調していたのだけは覚えている。

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・・まぁ・・

私達の他は、一組しかいなかったんだけど。

子供が一緒ということで、先の一組に入ってもらい、時間差を考えて私達の番となった。

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廃病院だろう。

古ぼけ汚れたナース服の女優さん(?)が車椅子を押している。

オペ室なんだろう。

布を被せられ、手術台から手がプラ~ンとしている患者もいる。

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作られた世界とはいえ、薄気味悪かった。

特に廊下が・・通路が・・堪らなく恐い。

娘と夫が私の先を歩いていく。

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・・

ここはリネン室?

布団が山積みにされている部屋を通る。

山積みの真ん中付近。

本物の布団を使ってるなら、圧死してもおかしくないような場所から、不意に手が伸びてきた。

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『!アレ、違う!』私の直感が勝手に体を動かす。

手は娘の方へ伸びてきたが、そこに割って入った。

・・案の定というか・・

私は難なくその手をすり抜け、娘の脇に立てた。

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瑠奈?恐くない?大丈夫?

パパと手ぇ繋いでるから大丈夫。でもコワイよー。

うん。怖いねぇ?早く帰ろうね(^^

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夫に口早に告げる。

「・・ここ、マジ出る。早く出よう。帰ろう」

普段、怖いの嫌いなくせに最後まで回るといって聞かない。

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そして、最上階まで行き、今度は降りる側へと向かう。

途中には「非常口」と書かれた、本当の<非常口>がある。

耐えられなくなった人は、ここから脱出しろと書いてある。

それも、至るところに設置されている。

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何度、夫を<非常口>まで連れて行っても聞かない。

仕方なく・・着いて行った。

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狭い通路で、向こうから歩いてくる人がいる。

オペの執刀医だろうか。。

ブルーの手術用着衣にはメスが数本刺さり、頭に被っている同じブルーの帽子(?)からも血を滴らせている。

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役になりきっている男優さんには申し訳ないが、私の目はその背後に釘付けになった。

両腕を伸ばして、こちらに向かってくる男優さん。

その背後のT字型通路の角から壁を伝うように這って来るモノ。

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「・・パパ?瑠奈連れて先に行って。出来るだけ早く」

夫は何事?って顔をして、こちらを見ている。

男優さんが唸り声と共に私の目の前まで来た。

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アレは、音こそ聞こえないが壁を這ってまだ近づいてくる。。。。

男優さんの両腕は私の口から悲鳴が出るのを待ちきれないのか、首を絞めるような振りをしてきた。

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私は、壁を這うモノから目を逸らさないまま、彼に聞いた。

「お仕事中すいません。アレも演出なんですか?」

まだ幽霊役になりきっている彼。

もう一度、今度はちゃんと指をさして聞いた。

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「アレも演出なんですかっ!?」

彼の目が、虚ろな目から普通の目に変わった。

「え?どれですか?」

後を振り返る男優さん。

「あの壁を這いずってきてるアレの事。」

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明らかに、ガタガタと彼は震えだした。

声も震えている。「早く逃げてっ!」

そう言うが早いか、私の腕を引っ張り階段を駆け下りようとする。

「パパ!!瑠奈を早くっ!!」

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状況は掴めていないらしいが、とにかく緊迫してるのだけは伝わったんだろう。

夫は娘を小脇に抱え、私達の後を走ってきた。

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スタッフしか通らないのであろう場所を駆け抜け、あっという間に外に出た。

肩で息をしながら、震える膝を押さえつつ言う。

「お客さん、すいません。まさか、まさか・・」

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そのアクターさんが言うには、

あのフロアで、あのエリアには自分以外はいない。

でも、何人も有り得ないものをみてるって話は聞いてた。

自分は、そんなの気にしなかった。

だって自給が破格に良いんだ。

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だから、アレ見たとき、マジヤベェと思って・・

乱暴に腕掴んで、すいませんした。

もう、あのエリア行けないっす。

このまま事務所行って辞めるって言って来ますから。

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でも、ここのスタッフの一員であるうちに言わせて下さい。

「どうか、この事はご内密に・・そして、帰り道、お気をつけて」

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「ありがとう。適切に誘導して下さって。。貴方も、気をつけて」

恐怖で涙目になってる彼に礼を告げて、見送った。

帰り道、夫に一部始終を話した。

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「え~~?俺にはただの壁にしか見えなかったよ」

その後、リベンジと称して再度行くことになるのだが。

その話は、また・・いずれ。

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マガたん♪
いつもありがちゅ~(*^^*)

あーゆー処には、なんかワサワサ居そうだよね~~(((( ̄∀ ̄;)
全部見えなくて良かった~~w

煙草の吸い始めって、クラリンするよね~~ww
私のデビューは、プレイボーイだったけど、直後から父のハイライトになり(盗んで吸う)
白キャビンが出てからは、ずーーーーーーっとそれw
で、一時減煙したら、リバウンドしちゃって、今はラッキーを一日1箱半くらい??

結構な勢いで金を煙に替えてる大馬鹿野郎ですw
ま~でも、1日2箱時代に比べたらちょっとはマシかな(どこが?)

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裂久夜さん♪

チョイチョイ、『見える振り』するヤツが周辺に居るんですが、、、
ドツきたくなりますww

「あ!沙羅!!そっちイるから!!」
「・・へぇ~?(いねぇよ・・バカが・・)」とかねww
一番イラっとしたのは
「俺が傍に居れば、沙羅を守れるから( • ̀ω•́ )✧」とヌカした時。
「・・・なら、その肩に乗っかってるのを何とかしてから出直せ」とww

TV、安全だと思ってると・・コワイ事起きますよんよ~~ん♪

見えない感じない私の推測は的外れでしたね(汗
確かに、見えるフリする方には近寄りたくないです!

が…見分け自体が付かないのでテレビやサイトで楽しむのが一番です(笑)

mamiさん
(^^;
ひとつ言い忘れてました~

夫の様子。
そうなんですよ~~。この時だけ積極的だったんです。
絶対、最後まで行く。って聞かなかったのは。。
これ以降、積極的になったことは無いですね~。

裂久夜さん
いつもありがとうございます(*^^*)

一番恐いのは、「見えない方・感じない方」ではないですよぅ~(^^
私が恐ろしいと思うのは、『見える振り』をする人。
あとは、人の心を思いやれない輩ですかねぇ~

自分のキャパが(ここまで)だから、相手も(ここまで)は大丈夫。
そんな思い込みの物差しを持ってる方は怖いです。

な~~んてエラそうにwwwwww<(_ _)>

mamiさん
いつもありがとうございます(*^^*)

1日1個、載せようと時間の確保してましたww
思いがけず1日抜けましたが、ペースは早いかと思うので、暇なときにでもお楽しみ頂けたら
と思います(^^)

読んで下さる方が居る。コメント下さる方が居る。
おまけにコワイまで付けて下さる方が居る。
幸せモノですワタシ。(*^^*)

見える・感じる方からすれば、一番怖いのは「見えない・感じない人」なのかもしれませんね(^_^;)

お久しぶりです。
普段、怖がるご主人が吸い寄せられる(?)ように進んで行くのが、何か怖かったです…

最近、ちょっと忙しく、こちらを読む時間が限られていまして…サラさんのお話は、まとめて読もうと思っているうちに、どんどん増えていって…
のんびり読ませていたくことにしました。

鏡水花さん
いつもありがとうございます(^^

絶叫系・・リベンジでもう一度行った時に乗りましたが、、、、
ストッパーが中途半端なところでロックされて、座席とストッパーの間から体がすり抜けていって
本当に死ぬかと思いましたwww
以来、苦手です(^^;

フロアには、数名居て、それぞれエリアが決まっていたらしいですよ~
恐がらせるのが目的だから、お化け役も苦ではなかったんじゃないでしょうか??
私なら、絶対・・ンな処でバイトなんぞしようとも思いませんけど(TT)

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ロビンM子さん
いつもありがとうございます(^^

ガタイの良い兄ちゃんの迫真の演技に、確かな演技力を感じましたが・・
それを上回る恐怖でしたwww

ワイヤー系の演出とかの類なのか確認したくて、『アレ』って言いましたが・・
モノホンとわ(((;゚д゚)))

・・でも、一度体験されてみたらいかがでしょう( ̄ー ̄)ニヤリ

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牡丹さん
いつもありがとうございます(^^

「戦慄迷宮」って言うんですね~
何度も名前が変わっているようなので、思い出せませんでしたww

確かに、当時「本物の廃病院をリフォームした」とか「本物が出る」という噂はあったんです。
だーかーらー行きたくなかったんですよねぇ~~
例の『黒い紗』も掛かってましたし・・。

その後、娘も夫も全然何の影響もなく、無事です(^^
リベンジ編も、そのうちUPしますので(あんまり怖くないんですが)楽しみにしててくださいね!

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