中編3
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ヒラヒラ

高校3年。確か夏の終わりごろ。

駅前のアーケードをチャリで走っていた。

行きつけの喫茶店を目指して。

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何となく視線を感じた。

軽快に風を切ってチャリを漕いでいたのに、不愉快な感じのする視線。

キッ・・

小さなブレーキ音を立てて、チャリを止める。

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周りを見渡すが、自転車の速度に合わせてこちらを見てる視線の元が判らない。

・・・ん~?気のせい?・・

そう思おうとするんだけど、その間にも視線は感じる。

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首を傾げながら、『ん~~?』と考え込む。

考えたって、分る訳がない。

もう一度、周りを見渡す。

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ふと・・駅前大通りの向こう側の空が目に入った。

目をやった場所には、大きな神社があり、ちょっとした森でもある。

繁華街にこんもりと生い茂る杉の木。

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ヒラヒラ・・っと黒い紙くずのようなものが空に舞い上がった。

『あ~。お焚き上げでもしてんだな~』なんて思った。

それは、燃やした紙の類が風に舞い上がったかのように見えたからだ。

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・・・?

アレ、新聞???

真っ黒い紙は、新聞を広げたような形をしていた。

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秋も迫ってきた高い青空には、どうにも不釣合いなもの。

私は、ソレから目が離せなくなっていた。

ヒラヒラと森から真っ直ぐ上へと空中に上がり、ある程度の高さまで来たら、今度は横に流されていく。

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・・・流されて・・・な・・い・・?

真横に進んでいくのだ。

垂直に舞い上がり、水平に進んでいる。

まるで意思を持って動いているようだった。

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ヒラヒラと・・エイが泳ぐように。

黒く四角いモノ。

風向きに全く逆の方向へ向かうソレ。

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多分、私はものすごい驚きの顔をしていたに違いない。

行き交う人が、私の見てる方を振り返ったりしてるのが目の端に映る。

真横に進み始めて、しばらく経つとソレは急に加速した。

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200mほどの距離を移動したと思う。

私は、ソレを追ってチャリを漕ぐ。

交差点の信号につかまり、追うのを諦めた途端、消えた。

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たった今まで空を飛んでいた黒いのが、忽然と消えた。

消えたのと同時に、あの不愉快な視線も消えた。

アレ、なんだったんだろう?

追跡をやめ、本来目的の喫茶店に向かう。

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~カランコロ~ン・・

軽いドアベルが鳴ってマスターが声をかけてくる。

「おっ!タイミングいいねぇ♪丁度、沙羅のアメリカン淹れたトコだったよ」

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「・・ん。サンキュ」

沙羅専用マグに淹れられた香のよいアメリカン。

手渡されたコーヒーを持って指定席へ座る。

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マスターがまた声をかける。

・・どした?珍しく浮かない顔しちゃって

ん~変なモノ見たんだよ。

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マスターは、ウンウンと頷きながら聞いてくれた。

・・まぁ~さ、神社なんだし、不思議なものもアリなんじゃね?

・・そうかもねぇ~~

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コーヒーを何杯か飲んで、ウエイトレスの真似事をしながら適当な時間になったら帰る。

お手伝いしてもらってるから。との理由で、私はいつも無銭飲食だ。

(この際、そんなことはどうでもいいんだけど)

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翌日、学校へ行って友達に話してみた。

「あのさ・・・・」

フンフンと聞いていた一人が急に笑い出す。

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ソレさぁ~メッチャ短い<一反木綿>じゃないの?

別の子も言う

じゃなかったら、<塗り壁スリムver.>とか?ww

(・・妖怪になってるし・・)

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つーか、沙羅?お化けじゃないものも見えるんだね。

また別の子の発言だ。

・・ん~~~(--;)

どう返事していいのか判らない。

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・・ただ、目の錯覚じゃない事だけは確かなんだ。

信号待ちの時に、やはり私と同じ方向を見上げて見送っていた会社員が一人いたんだから・・

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空飛ぶ不思議なものの描写を読んだ途端、

私も、
『一反木綿?疲れて、黒くなったのかな?』と、頭に浮かびました。

人気の妖怪アニメで、
『人間を脅かすのに気づいてもらえなくて、
疲れ果ててヨレヨレになってる』妖怪がいたので、何だか結びついてしまったのだと思います。

気持ち悪かった視線は、
一反木綿の必死のアピールだったのかな…

気づいた沙羅さんに、何もなくて良かったです。

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牡丹さん
いつもありがとうございます~(^^)

あの時、聞きに行けば良かったですね~~
今となっては・・どうにも足が向かなくて^^;

ご心配頂いて、すみません<(_ _)>

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宵闇さん
いつもありがとうございますぅ(*^^*)

やはり?やっぱり~~~?
実は、『一反木綿』の指摘された時に、ビミョーに納得してたりするんですよwww
焼かれて、メッサ短くなっちゃった『一反木綿』。そっか~!なんて。

楽しんでいただけて、良かったぁ♪

鏡水花さん
あ・・あ・・ありがとうございますwwwww

な~んか、ホント結婚しちゃうまでは、ありとあらゆるモノが見えたり聞こえたり・・
結婚を機に多少、少なくなって安心していたんですけど。
バツになって旧姓に戻ったら・・またイヤな感じに近づいてるよ~な気が(T◇T)

小さい時は『小豆磨ぎ』ならぬ「コメ磨ぎ」に遭遇してみたり
福の神だか貧乏神だか判んないモノみたり・・
つくづく・・自分がイヤんなりますww

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妖怪にも頼られる女…その名は『沙羅!!』

なぁ〜んておふざけは止めて…
前作の異次元に続き、今回は妖怪…ですか(;゚д゚)

でも、何となくですが…

妖怪って言うと、何だか可愛い感じがしてしまう(*^^*)

でも、それを体験してしまった沙羅さんは、何だかモヤモヤしちゃいますよね(^_^;)