中編3
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明日のない家

そこは、世間的には頭のおかしい人が住む危ない家…とされてます。

みな、近くを通る事すら嫌がります。

何がどうおかしいのか?

その家の人たちは、繰り返すのです。一日を。

例えば、私が今日その家に行ったとします。

中にあがり、お茶と菓子をごちそうになったとします。

そして少したわいもない話をして、その家を後にします。

次の日に私がその家を尋ねると、その一日が繰り返されるのです。

本来なら、その日と同じ行動をしたとしても、必ず違っているはずです。

その日とまったく同じになるなどありえません。

ただ道を歩くという行動だけでも、同じ時間をかけ、同じ位置を、同じ歩幅、同じ態勢、同じ表情、同じ速度で…まずありえません。

しかし、その家の人たちの言動は寸分違わずまったく同じです。

同じ事をしている、のではなく、同じなのです。

住んでらっしゃるのは、小学生の娘さんが二人と、今年中学を卒業された娘さん、そしてお母様の四人家族です。

家の外では私たちと何ら変わらない普通のご家族です。

下の娘さん達はかわいらしいですし、上の娘さんはしっかりしたお嬢さんです。

お母様も優しくて素敵な方です。

家の中に入った「誰か」にだけ、繰り返されているのです。

ご家族自身が家の中で普段どうなっているのかは誰も知りません。

一人に対し、繰り返される日は一日分だけ。つまり一度その家に入って過ごした時点で、その後は何度行ってもその一日が繰り返されます。

私を含め私の友達などはほとんどが既に繰り返される一日を持ってしまってるため、私たちでは確認は出来ませんが、中にあがらなければ一日が記録されない…と言う人もいるそうです。

また、繰り返されている日と違う行動をとってしまうと、家には二度と入れなくなるとも聞きました。

例えの場合なら、「その日」私はお茶と菓子を頂いてますね。

どれぐらい食べたか、どれぐらい飲んだか、ではなく、「食べた」「飲んだ」という行動が制約となるようです。

入れなくなるといっても何かしら超常的な力によって…とかではなく、なぜかいつ行っても留守…という状態になるそうです。

この「違う行動をとってはならない」というのが囁かれるようになったのは、ある話が広まってからでした。

繰り返される家の事を知ったある人が、違う行動をとったらどうなるのか、どうしても試したくなります。

(これはかなり以前からある話のようなので、話の中でその家に住まわれてるのは現在お住まいのご家族とは繋がりのない別の方です。)

その人はこういった形でそれを実行しました。

まずその家に自分が飼っていたペットを連れて遊びに行きました。

楽しい一時を過ごし自宅に帰った後、ペットを殺したそうです。

ペットが死んでしまったので、「その日」が成立しない…そうして何日か後に再び家へ行ったのです。

その人は死体を「その日」も持っていたカバンに入れていきました。

生き返るのか?というのが目的だったようです。

それ以来、その人は消息が途絶え行方不明となりました。

事前に計画を聞いていたその人の友人らが問題の家の方に話を伺ったところ、「明日に行った」と言われました。

「ペットがいた・いない」

「ペットが生きてた・死んだ」

何が制約となっていたのかはわかりません。

実際には他に違う行動をとっていたのかもしれません。

ペットを殺したのは家を出てから、だそうです。

当初は違う行動をすると死ぬ…といわれていたそうですが、私の世代よりもだいぶ前の事なので、だんだんと形を変えていき、今では「中に入れなくなる」に変わったようです。

現在のご家族は繰り返す事について聞いても何も知りません。

何の事か分からない、と不思議がられます。

あまりご家族と付き合いのない人たちなどの間では、繰り返す話を単に奇行の話と受け取り、陰で悪く言っています。

私たちのように付き合いのある者、奇行ではない何かだと気付いた者、以前から繰り返しの話を知っている者、これらの者たちの間では、あえてふれないタブーになっています。

違う行動を試そうとする人は、今はいないようです。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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