中編4
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”あい” ①

ある夕暮れに、友達の別荘で怖い話を順番に話した後に一人ずつ夜の一日を寝なずに、部屋で一人で起きるという遊びに実行した。

手順はこうだ。

友達の別荘で、昼間は夜のために寝ておく。

一人ずつ怖い話をしていく。すべてオリジナルで聞いたような話はなしという方法で進行する

最後にトイレだけ行っておいて、割り振られた各部屋に一人で朝まで起き続ける

午前6時ちょうどに、怖い話をしていた場所に集合した人が優勝

といった遊びをやった。

友達は全部で6人(自分含めて)。

「怖い話し大会なんて誰が企画したんだか」

そうぼやくのはBだ。運転免許は取り立ててながらも器用に運転をこなし、Aが保持する別荘へ向かう途中だった。Aは先に準備のために別荘へ朝早く出発していた。

「そういや、Cの姿が見えないけどどうした?」

DはCの様子について尋ねた。車に乗っていないからだ。

「CはAと同じよう先に別荘で準備だってよ」

Dの隣に座っているのがEだ。この中でも怖いものは信じないという心強い人だ。

「Fは今回のことで反対はしなかったの」

F(自身)のこと。

「もちろん反対したんだが、Aがどうしてもやりたいというからさあ」

「ああ…」

「なるほど」

「そういうわけか」

仲間が一斉にわかったようだ。Aの性格はこのメンバーの中でも一番問題があるということだ。Aは昔からこれと決めたことは周りが反対していても絶対に実行するタイプだった。そのためAは友達は少ないのだが、やることは他の人がめったにマネできないことをするため、人気者になることもしばしばな人だった。

Aと友達になったのも、1年前の事件からだった。

Fの友人であり、好きであったK。Kは、特別にかわいいというわけではないが、何かにつけて面白そうにすることが目立っていた女性だった。

その事件ではKが誘拐され、どこかの家で女性とは思えないほど性別が判断できないほどひどい状態で発見された。Kは喋れず、ぼくらにあっても一言も口にせず、実家へと帰って行ってしまった。

帰る際にぼくにだけ教えてくれたことがあった。

「あいつのあいをつぶして」

と。あいとは”愛”のことではないかと最初は思ったのだが、Kからしては違う意味だったようだ。

結局、Kからの伝言が分からず、Kは実家に帰っていった。

その時に、見送りしていたのは今いるメンバーだった。

「そういえば、Kてどうしてかな」

Dが窓を見つめながらそう呟いた。

「!!」

突然、場の空気が静けさに変わった。Kとは、いつの間にか発してはいけない禁句となっていたからだ。1年前の事件、Kが発した意味などからして、AとD以外のメンバーはこのメンバーの中に犯人がいるのかもしれないと思っていたからだ。

なぜなら、Kはすでにいないからだ。

Kの変わり果てた姿を最後に見たのはAとDを除いたメンバーだったからだ。

Kは最後までFに言葉の意味を伝えることなく、こと切れて発見された。

「なんでだよ、どうしてだよ、俺らの友達が…どうして」

涙声になりながらあふれんばかりの言葉を犬のように吠えながら泣いたあの日のこと、ぼくらは決して触れてはいけないものも見てしまっていたからだ。

「なあ、これってなんだろうか」

ふと、バキバキに砕け散った木の板の間に濡れた白い紙が挟むかのようにしておいてあった。

その手紙からして、「あいをゆるさないぜったいに」とだけ、殴り書きのようにして書いてあったからだ。

「あい」

この意味が結局わからず、今にわたるのだが、Kのことを耳にすれば、あの日のことを思い出すのはAとDを除いたメンバーだ。だから、Kについて、聞かれても「元気にしているよ」だけ、伝えていることにしている。

Aの別荘についた。Aはすっかりと元気いっぱいで「よう、待っていたぜ!」と、ガッツポーズを送る始末だ。一方で、Cは疲れ切った様子で、ぐったりとしていた。

「お疲れさま」

「大丈夫か」

Cの顔いっぱいには雨の水が濡れたように汗が目に見えるほどの量で、顔は赤くなるほど浸かれている様子だった。それに声をかけたのはFとEだ。

「大丈夫だよ、Aの奴は張り切っちゃっているよ、もうしんどかったよ」

Cはそう口にしながらバッタリと倒れてしまった。

「Cー!!」

仲間の声も浴びるその日は、一睡の時間だけ暮らし、その夜に本来の目的である2つを実行開始した。

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