中編3
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人の念の姿

music:1

わたくしHの昔の話になります

親戚や家族の話を説明しないと話が出来ないので

説明が長くなってしまいます

ご了承くださいませ

今から3年前に

親父が事故でこの世を去った

そのあとしばらく呆然としていた矢先に

親戚から連絡があった

何度も何度も繰り返し鳴る電話

面倒なことに親父の実家は

熱心なある宗教を信心している

生きてる時もしつこく我が子に勧誘をしていたもんだ

しかし、宗教にまるで興味のなかったため

馬の耳に念仏

更には、大学で宗教の概念を研究していたために

釈迦に説法

まるで通用しない

music:4

しかし、親父が死んで分かったことがあった

それは度重なる親父の実家からの

宗教の勧誘である

親父が死んだことにより

それは歯止めが無くなっていた

毎回、怒鳴り合いになって

私が電話を切り

直ぐに掛けてきて

また怒鳴り切る

夜中の3時に酔って掛けてきたこともあった

親子2人で寝れずフラフラ

しまいには電話のコール音が鳴ると

怯えてしまう始末である

さすがに限界だと着信拒否の設定を探し次々と掛けてくる電話は着信拒否にする

それでも掛けれる電話を探して

掛けてくる、着信拒否!

掛けてくる、着信拒否!

年金暮らしでお暇なんでしょうね

さすがにほぼ掛けれる電話は無くなり

静かな日常に戻り

私はスナックでバーテンダーをやり始め

落ち着いてきた頃

家に奇妙なことが起こるようになった

臭い、物音、視線

そんなものを感じるのだ

あの臭い、独特な汗というか加齢臭の酸えた臭い

食事時や寝起き、

何処からか見られてるような

なんとも言えないネットリとした

不快な視線

夜中に家の周りの砂利から

ガサガサと微かな

でも確かに人と分かる足音

物が突然倒れたり、落ちる

被害が全く出ないが鈍器で殴ったような音

不快である

親戚の中でもアイツだ

あのその場にいるだけで不愉快になる

人を常にバカにし

口うるさい

あのババアだ

親子2人で断言できた

そんな現象が何度も起こっていたが

決定的な出来事が起こった

スナックでの仕事が終わり

真っ暗な住宅街を自転車で帰宅中

何か遠くでボソボソと人の声が聞こえてきた

music:6

徐々に何を言ってるのか分かってくる

少しずつ言葉が鮮明になってくる

ペダルが重くなってきた

そして・・・

ハッキリと聞こえた

お経

聞こえていたのは

親父が毎日唱えていた言葉だった

後ろから聞こえていた

ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい

このままどうなるのか分からない恐怖

家が見えた

ついにはペダルが重くて進めなくなる

自転車を降り、押し始めた

それでも今度は足が重くなる

ドンドン近くなる

何人も、何十人もが同時に

唱えているお経

ついには真後ろまできた

もうダメかもしれない

そう思った時、

music:5

sound:20

ケータイが鳴った

身体が少し軽くなり

急いで着信に出る

「もしもーし、牛乳買ってきてー?」

母の声に安堵感を覚えた

私「無理!家が見えてるけど、

足が重くて動かないんだよ」

その言葉に母は直ぐに反応した

母「待ってて直ぐに行くから」

視界に見えてる自宅からの光が

強さを増した

母が飛び出して駆け寄ってくる

music:5

すぐさま

背中をバシンバシンと叩き

身体が少し軽くなった

まだ重いが動けるようになり

2人で安心して家に向かう

あと10メートル

あと5メートル

「Hくん?」

music:6

思わずその声に振り返ってしまった

50メートル先に

人の形をした黒い塊がいた

目の部分と口の部分は更に黒く

ニタニタと笑っている

笑っているが

あれは憎んでる

そう思った

「ヒィィ」

私は、思わず声を上げた

「見ちゃダメ」

急いで家に入る

腰が抜けて思うように

動けない私を引っ張り

母は玄関のドアを閉め

急いで鍵を掛けた

sound:19

ドアのガラス部分にベッタリと顔が付いた

sound:14

バンバンと母が後ろ手にガラスを叩いた

music:5

スゥ〜と消えていく

そして、「お風呂に直ぐに入りなさい」

と母が言った

急いで風呂に入り

あの声を思い出して身震いした

その声は、

独特な訛り

耳障りな質

全てがその親戚でした

これね

残念ながらフィクションじゃないんですよ

そこだけがとても悲しいです

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