エレベーターには気をつけテ

短編1
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エレベーターには気をつけテ

その日、夏美は友人宅のマンションを訪ねていた。

「ドアが開きます」

小太りな男と入れ違いに、エレベーターに乗った。

くさっ

思わず片手で鼻をつまむ。

あの男、屁えコキやがったな!

鼻がもげそうなぐらいのどエライ硫黄臭が室内に充満している。

「4階です」

「ドアが開きます」

まずい!今人が乗って来たら私が犯人だと思われちゃうじゃん、やだ!どうしよう!

しかし夏美の心配を他所に、ドアが開いた先にはガリガリに痩せ痩けた女が此方に背を向けて立っていた。

服や髪はびしょ濡れで、雫が地面に滴り小さな水溜りを作っている。

夏美の「霊感センサー」が反応する。

良かった…この女は人間じゃない。

案の定女は次の瞬間、後ろ向きのまま物凄いスピードでエレベーターに乗り込んできて、ビタリと夏美の背後に付けた。

ああ、これが噂の地縛霊ね。

このマンションが曰く付きな事は夏美も知っていた。

度々、エレベーターや駐輪場に女の霊が出没すると友人が嘆いてたのだ。

くっさ

背後から蚊の鳴く様な声がした。

くううっさ

女は鼻を押さえ、憎悪に満ちた恐ろしい表情で夏美を睨みつけている。

「9階です」

ドアが開いた瞬間、女は物凄いスピードで廊下の向こうへと姿を消した。

と、同時に黄色い帽子を被った元気そうな小学生3人組が乗り込んで来た。

「ドアが閉まります」

【了】

Concrete
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