中編4
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~兄の悪気~

あれは昨年のこと。

私は、兄の病院にいた。

夢の中の事だ。

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実際に兄が勤めてる病院は、とても綺麗で大きいのだけれど、そこは今にも崩れ落ちそうな病院だった。

病院の駐車場で、兄と待ち合わせていた。

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兄が到着。

私は点けたばかりの煙草を灰皿に押し込んで外に出た。

「・・兄貴、遅いぞ」

「いや~悪りぃ。じゃ、行くか」

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その病院内は、薄暗く迷路のようだった。

時折、私が迷子になってないか振り返りながら進む兄。

「ほら、こっちだぞ」

「うん。。」

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すれ違うナースさんたちは、忙しそうにしている。

私たちを見ると、軽く会釈をしてくる。

「・・ども・・」

小さく声をかけながら、私も会釈を返す。

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あちらこちらの角を曲がりながら進む。

兄が、ふと足を止めた。

「・・・こっから先が、立入り禁止だ」

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兄の目の前には、透明のビニール素材カーテンが下がってる。

「・・・大丈夫?」

そう聞く私に、兄は頷く。

「くれぐれも注意しろよ?看護師とも目を合わせるなよ?」

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何故か判らないが、そんな注意を受ける。

カーテンをくぐる兄に続いて、私も滑り込む。

空調の関係だろうか。思ったより寒い。

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すれ違うナースさん達は、みんな顔色が優れない。

すれ違うたびに、兄は声だけ掛ける。

「お疲れ様です」

黙ったまま、深くお辞儀を返してくる。

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そして、兄はその度に私を背後に隠すようにしてる。

なので、必然私は誰にも声を掛けないばかりか会釈さえしない。

「・・・兄貴?」

「ん。こっち側は、そういう処なんだ」

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解ったような、解らないような。

変な不安感がやってくる。

いくつかのカーテンを過ぎた。

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いくつもの曲がり角も過ぎた。

・・そして解った。

(ここは・・あの世だ・・)

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目を合わせないように進む時に、ナースさんを横目で見る。

血の気の無い腕に、古ぼけた腕時計。

紺色のカーディガンも、ほつれてたりする。

ガラガラと押していくカートには液体の入ってない点滴の袋。

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そして目指す部屋へ到着。

古ぼけた引き戸の前に兄と並ぶ。

「しっかし。何回来てもイヤだな」

そう呟く兄。

(へぇ。。何度も来てるんだ。。)

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「よし。入るぞ!」ニカっと笑って兄は引き戸を開けた。

部屋の中は・・やはり薄暗い。

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6人部屋らしい。

各ベッドには、やはり血の気の無い・・

元気だけ良い、患者?死人?がいた。

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それぞれが、ベッドに腰掛けていたり、眠っていたり部屋を徘徊してたりする。

「おぅ!兄ちゃん来たかい(^^」

「どうです?具合は?」

「ん~快適!快適!」

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部屋を見渡すと、父もいた。

私の姿を見つけると、手招きする。

「沙羅。おとーさんのTVが映らないんだ」

(へ???)

兄が言う。「だから連れてきたんだよ」

(あ??えーと意味わかんない)

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父が、また言う。

「おとーさんのTV直してくんないかな?」

最初は、お兄ちゃんに言ったんだ。直してくれって。でも直せないって。

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でも、沙羅なら直せるかもって言うから

お兄ちゃんに頼んだんだよねぇ。連れてきてくいよ~って。

ニコニコ笑う父。

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向かい側のベッドのオジサンが言う。

「娘さんかい?もうさぁ~チャチャっと直してやってよ。カンちゃん、うるさいんだよね~」

兄を見やると、頭を掻いてる。

「どゆこと?」

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兄は、私の肩をポンと叩くと、窓際へ行ってしまった。

父は期待満面の笑顔を私に向け、別の人と話し始めた。

「ね。。ドライバーある?」

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「お前、持ってるだろ?」

ん?と手元を見ると、流石は夢。

ちゃんと必要なものが揃ったマイツールがある。

(さて。。皆に迷惑かけないように・・っと)

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ブラウン管タイプのTV。

カバーを外すと、埃だらけ。

その埃を、全て取り除いたら、呆気なく映った。

(をいをい・・・)

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「・・親父?ホコリ取ったら映ったから。次は自分でやりなよ?」

「お~~埃だったのか~そっかぁ(^^」

元、電気屋だったとは思えない台詞だ。

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兄を横目で睨むと、悪びれた様子もなく言った。

「俺は、設備には弱いんだ!」

「埃くらい取れるでしょ?」

「イヤイヤイヤイヤ。そこはホレ」

周りを見渡す兄。

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釣られて部屋の中を見渡すと・・

みんなとても良い笑顔なのだ。

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「いや~カンちゃんがね、娘さんの自慢話ばかりするからね~」

「うん。息子さんは、ちょくちょく来てくれるけども」

「皆して、娘さんに会いたいな~って話してたんだよ」

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「・・そゆ事だ。悪かったな」

全然悪いと思ってない顔をした兄だった。

部屋を出る時には、みんなが笑顔で見送ってくれた。

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部屋の引き戸を締めようとした時に父が言った。

「沙羅。またな。元気でいろよ」

次の瞬間、目が覚めた。

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(・・あぁ。なんだ夢か・・)

後日のクリスマス。

沙羅宅に兄家族も来て、クリスマスパーティをした。

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その時に「兄貴に嫌がらせされた夢みたよ」って話をした。

いや、話をしようとした。が正解だ。

兄の行動が変だった。

「こないだ、兄貴に嫌がらせ・・むぐっ」

口を押さえられた。

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そのまま部屋を引きずり出され、元沙羅部屋へと連行。

「ぶわっ・・はぁ~・・なんなの?一体!」

「あの話は、するな。この通りだから」

合掌され、頭を下げる。

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「え??何のことだか判ってるの?」

「俺が、親父のトコにお前連れてった話だろ?」

「うん」

「だから、その話はしないでくれ」

「まさか兄貴、意図的?」

「・・・スマン。これ以上言えない」

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・・・

どうも、兄は変な力を持ってるようだ。

そして誰にも内緒にしてるらしい。

気になって仕方が無いのだけど。

ホント。

すっご~~~~く気になるけど。

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・・ぜったい、悪気があるよな。

そう確信だけはしてる。

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にゃにゃみさん♡
いつもありがとうございます(*^^*)

本日は・・・ネタを仕入れてきましたのでww
コレの続編が書けることになりました( ̄ー ̄)ニヤリ

またまた怖い要素は無いのですが、楽しんで頂けたら良いなと思いながら
パタパタ入力し始めますね♪ あ。でもまだ内緒ですよ~続編♡

会いたくてサラさんを呼んで欲しいとお願いする父上と、
じゃあ、呼んじゃおうかと行動するお兄さんに、なぜか笑顔になりました。
何だか、ほっこりして気分になりました。ありがとうございます。

鏡姐さん(^^
おはようです♪

親孝行・・ではナイと妹のワタクシが断言しますww
他の方々(同室の方)からの、評価を重んじたんだと。

兄を愚弄するのは、どうかな~とも思うんですけどね・・
マジ、外面だけ良い兄と父ですから、身内の自慢話は大袈裟にでも言ってのけ、
裏付けを強要する辺りが、どうにも好きじゃないんですよねぇ・・

でも、目覚める直前の父の顔は、目に焼きついてます(^^
笑顔でもなく、真剣でもなく、どこか切ないような寂しいような。変な顔でした。

りこさん♪
いつもありがとうございます(^^

いやぁ。。内緒にしてる辺り、悪気しか感じないですよぉぉおお(T∀T)
でも、りこさんが仰るように、嫌な思いはしなかったので大目にみてやります(上目線)

商売・・・多分、自分の場合と重ねて言えば、お金が絡むと何も出来ないと思うんですよね~
あくまでも、私と同じであれば。の話なんですけどね(^^

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あん姫様♪
いつもありがとうございます(*^^*)

ねぇ~~。一体、なんなんでしょうねぇ?^^;
父も、自分が体験した話は、少ししか話してくれなかったし。
兄は兄で、こんな奴ですしねぇ~~www
私も、父や兄とは少し方向の違うナニカがあるようですし。。。

こんな集団も、世の中にはあるんですね(^^;
両親のどちらの性格等も受け継ぎたくなかったんですが、似るんですね~。
良いトコ取りなら文句ないんですがwww

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世の中には、いろんな家族がいらっしゃいますが、沙羅様のご家庭は、皆様とても不思議なご縁で結ばれているような気がいたします。
夢とはいえ、あまりにもリアルな病院の情景が目に浮かんできて、とても、怖いお話ですが、どこか底の底で救いがあるといいましょうか。お兄様を介して家族の絆のようなものを感じさせます。
怖いだけでは終わらない深いお話でした。

まりかちゃん(*^^*)
ありがとう♡

やっと、ここ数年の間に母も祖母も気付いたようだけど、兄は父に似てますwww
現在、祖母は認知も進んでしまったけど、ある晩、祖母は母と話してた(^^
祖母:「アレ(兄)は、ほんと親父に似てるよなぁ?」
母:「うん。子供叱る時なんて、そっくりでイヤだわぁ」。。と(^^;
で、それ聞いてた私が・・
「え~~~!?今更ぁ~~~~??」ってwwww

外面の良さと、頭ごなしの叱り方、家族自慢。ほぼパーフェクトで父に似てるww
だったら、仲直りしても良いのにね~
似てるが故に、許せない部分があるんだろうね~。。

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番長♪
どうも怪しげなコトが出来るらしいんだわww
いつの間に・・・(--〆

番長の「ドラゴン玉」ぢゃないけど、小さな元気玉なら作れるよん♪
何の武装にもならんがね(T T)

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ぇえー!?
お兄様まさかの特殊能力者…!
こ、これは沙羅お姉様も武装するしかありませんよ!
新たな能力の確保のため、修行に参りましょうぞ!!
ちなみにどんな能力がいいですかね?

あ、こんなのどうですか?
両手を空に向けて
『みんな!私に元気の源をわけてちょうだい!』
と願ったら
世界中から沢山のお菓子とミルクティを分けてもらえるみたいな…

あ、誰だ~今ドラ○ンボールとか思った人~。
ちょっと話し合おうじゃないか~。

それにしても、やはりお父様…w
可愛らしく感じてしまいます…w