短編2
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誰も知らない同居人

幼い頃、今の家に越して来る前、近所でお化け屋敷と揶揄される家に住んでいた。その家での体験。

私にしか見えない同居人がいた。顔は思い出せないが、いつも同じ柄のセーターを着ていた。というのも、いつも鏡越しにしか見えないのである。ギリギリ顔が写らない距離に立っているため、どうもハッキリと顔を見たことがない。ただ、鏡を見ると、ほぼ必ず後ろに立っている。

特にそのことは怖いとも思わなかったし、両親が、その人のための食事など用意するのも見たこともないので、「そういうものなのだろう」で済ませてしまっていた。確認した事もない。

ただひとつ怖いのが、たまに両親はヒステリーを起こす時があった。その時は私を殺そうとしているとしか思えないくらいの暴力を振るわれたものだ。そして、その時の両親は、いつも知らない顔になっている。

その顔はいつも違っていて、何人かの顔がローテーションしていたように記憶している。

一度、母親が、知り合いのつきあいで、霊能者と呼ばれる方を連れてきた事がある。その時私は幼かったため、難しい話は分からなかったが、以下のような意味の事を言われた。

「この家では人が死んでいる。恐らく一家惨殺か心中か。そしてその事が、その時の家族を縛り、また多くの霊を呼ぶ結果となっている。今まで何か引っかかる事はなかったのか?引っ越すしかない。」

直後に、今までの暴力と暴言について、なぜ自分がそうしていたのか分からなかった。本当に今まで済まなかった、と謝罪され、すぐさま引越しとなった。

引っ越してからも色々とあったが、両親は嘘のように穏やかになり、初めて親に怯えず暮らせる日常を謳歌できるようになった。

そして、いつの間にか、あのセーターの人はいなくなっていた。その事を伝えた時の両親の怯えた顔が忘れられない。

Concrete
コメント怖い
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幼い時の事でもあり、支離滅裂な文章となってしまいましたが、読んでいただき、ありがとうございます。

今思い出せばゾクッとするのですが、当時は当たり前だったんですよね...

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