中編6
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プロローグ

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前置き:

この話はフィクションです。興味がない方は退去してください。

登場する人物名はすべて一文字です。名前は視聴者が加えてください。

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 小さな島には幼いころから言い伝えが父の代も祖父の代も、その前から伝えられていた。その言い伝えは島の外から来た者には伝えるなとも言われていた。

 けれど、ぼくはそのことを無視してまで、友達に教えてしまった。

 結果、最悪な事態の引き金となってしまった。

 あくる日、夏。

 この日はとても暑く、校舎内には木造築であって、風通しはよくなかった。また、ここが田舎でもあるためか、クーラもない。そのため、外の風便りであるため、夏になると教室がサウナのようになるため、ぼくらは授業よりもこの暑苦しい部屋に耐えなければならなくなる。

「今日も暑いけど、頑張っていこう!」

 と、女の先生はそう口にした。額だけでなく肌が露出しているところは汗びっしょり。だが、それはみんなも同じこと。暑いけど、頑張らなければならない。

「実はですね、今日はみなさんに新しい友達を紹介したいと思います」

 先生は「さあ」と、言いながら自室と廊下へとつながる扉に手をかけ開ける。

 そこには、黒髪の男の子がたっていた。見知らぬ制服をきて、もじもじとしながらその男の子は先生の誘いを受け取りにくい状態で、その場から動こうとはしなかった。

 クラスの中でざわめくなか、彼は緊張しているものだと思った。

「あれ、Tくんは緊張しているのかな?」

 と、先生はみんなに告げた後、Tくんに近づき、耳元でなにかをつぶやく。

 すると、Tくんは顔真っ赤で足をふらつきながらも教室の中へ入ってきた。

「では、改めて紹介します。Tくんです」

 Tくん。初めて聞いた名だ。名字の漢字も珍しく、聞いたことがない名前だ。

 相変わらずもじもじと腕をV状にして腹のあたりに抑えながら、顔を真っ赤にしながら「よ…よろひくですにゃ」と、目をつぶった状態で紹介した。

 そこにみんなは爆笑した。

 この可愛らしい限度だったのか、翌日にはクラスの仲間たちと打ち解け、とくに女の子たちがTくんに話しかけるようになった。

 ぼくと話すようになったのはもう少し先のこと。

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 何日かたって、クラスの女の子がふと、漏らしてしまった言い伝えがあった。

 それは、深夜0時には町の外―—つまり、壁の外にいてはいけないというものがあった。

 幼いころから伝えられるその話は、ぼくらを怖がらせるためのものだったのかもしれない、けれど、それを実行したものは翌日、姿を現すことはなかった。

 ぼくらの同級生のWくんも。そんな話をRさんがTくんにこぼしてしまった。

 町の言い伝えでは外の者に話してはいけないことになっている。Tくんは外から来た人だ、でも町の一人もなった。話していいのか悪いのか、ぼくでは判断できないことだったが、一通り話を終えたそのRさんは、突然、泣き出してしまい、そのまま教室の外へと駆け出してしまった。

 話を聞いていたTくんは、意味が分からずきょとんとしているが、Rさんが泣き出すほどひどいことをしたのか疑問だったようだ。

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 帰りの際に、Tくんから声をかけられた。

 それは、街の外に広がる3メートルほどの高さの壁のことについてのことだった。

 この町は代々受け継がれる壁で壊すことも、広げることも禁じられていた。

 この壁についての詳細はよくわからず、市役所や図書館に行っても意味を知ることはできなかった。

 町の言い伝えでは、深夜0時に壁の外にいてはいけないということ。

 この意味することは、外では何か恐ろしいものがあるのか、秘密があるのかもしれない。

 そう思ったのだろうか、Tくんから誘われたのだ。

「ねえ、あの子どうしたのかな。それに、あの言い伝えって…」

 最初に訊いたのは昼間にこの話を終えた後、突然泣き出してしまった女の子のことだった。そのあと、事情を聞くとはなく、女の子は帰宅してしまった。

 他の人に聞いても詳しく教えてくれず、ちょうど一人になっていたぼくにあの言い伝えのことを伺ったようだ。

 ぼくは、ただ一言で「かかわらない方がいいよ」とだけ、助言した。

 けれど、Tくんは女の子が泣き出すほどまで、それほど公言してはいけなかったのかどうか疑問だった。帰宅する準備をするぼくにたいして、Tくんは頼んできた。

「ねえ今夜、壁の外にいてみようよ」

 と。

 ぼくは丁重に断ったのだが、「このままだと、女の子に泣かした転校生と思われたまま」とも言われ、少しだけという条件でTくんと、今晩壁の外で落ち合うことになった。

 壁は町から10メートルほど離れた先にある。

 町から出るには四方から出ることができるが、基本的に西と南にしか出ることはできなかった。北には山の主がいると聴かされ、祭りと行事以外には近づくことはなかった。

 東には豊の主がいるとされ、選ばれた人でしか立ち入ることはできなかった。聞いた話では畑や田んぼがあるだけだと聴く。

 南には週に1回、定期的にやってくる船が商品やお菓子などを積んでやってくるのだ、そこで町の人たちは取引として採れたて野菜や果物を外の世界にあるものと交換する。

 この町では通貨はないのだ。子供用の通貨はあるのだが、大人用の通貨はなく物々交換が今にでも続いているほどだ。

 ぼくたちが行くのは西口である。

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 深夜0時になる5分前、親に内緒でTくんと町の外――—壁の外で待ち合わせした。

 今夜は曇りのこともあって、暗く懐中電灯の明かりさえなければ見えないほどだ。

 壁の外では夜10時を過ぎると、街灯が消灯してしまうため、あたりは真っ暗である。ただ、町の中だけは昼間以外では街灯はついている。

「今晩はなんだか、冷えるね」

 と、半そで一枚のTくんが両腕をさするかのようにして温めようとしていた。

「そう?」

 ぼくはとくに寒くもないし暑くもないと感じていた。深夜0時を過ぎても、特に問題はなく。結局Tくんとなにも話せず終わった。

 というよりも、Tくんに話しかけてもだんまりとしていて何も話せず終わってしまった。

 2人だけなのに、緊張しているのだと思っていた。

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 翌日の朝になって、Tくんと校門の前であった。

 Tくんはなぜか長袖を着ており、昨日のことについて話したいと言ってきた。場所が場所で、校舎の裏にいって、話を聞くことにした。

 Tくんいわく、あの夜。寒くて寒くて肌を温めようとしていたらしく。肌をさすっていたのだが、ふと、目の前に人影が見えるようになったという。

 その人影は人間であると分かるほど形が浮かび上がり、Tくんに近づいてきたのだという。

 その先は、よく覚えておらず、気が付いたころには日がでたころだったのだという。

 Tくんは、露出した肌に異変を感じてそれを親にも見せたくないあまり長袖で隠してきたらしい。

 Tくんとぼくはあの晩、ずっと一緒にいたの訳なのだが、人影というものには出会ったことはないし、見えたわけではない。それに、真っ暗闇のなか、人影が見えるというのも不思議である。

 Tくんがそれだけ伝えるなり、一言ぼくに意味深なことを告げていった。

「この町は不思議な町だ」

 と、ぼくにはいっている意味が分からなかったけど、Tくんのなにかの紐が解けてしまったようで、その日からこの町に伝わる話しを知るようになっていった。

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