長編14
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タラの芽を取りに…

私がまだ、小学校の一年生くらいだったかと思いますが…。

春の天気のいい日、ばあちゃんと、ばあちゃんの畑仕事を手伝っていると

近所のおばさんご夫婦と、おばあさんが、ゆっくり、ゆっくり、

山に向かって、歩いているのが見えました。

私はこのおばあさんの事を、おばばちゃんと、呼んでいました。

畑から、

「山に行くのかね〜!」と、

声をかけるバァちゃんの声は、耳も遠いおばばちゃんには聞こえていないようです。

近所のおばさんが気づいたようで、私達の方を指差していました。

山へ入る道は、道をくるっと回るような形で、バァちゃんの畑の上の方に伸びています。

どうやら、その地点まで行くから待ってて、と、ジェスチャーしてるようで、バァちゃんも片手を上げて、わかったと合図し、畑仕事を続けていました。

しばらくして、じゃりじゃりと、

頭の上の方で、砂砂利の上を歩く数人の足音が聞こえ、

「おはよう。」と、声をかけられました。

3人で、山菜摘みに行くと言います。

何でも話を聞くと、

おばばちゃん、山に行ってタラの芽を摘みたいと言うので、ご近所のおばさん夫婦がお供を買って出たようでした。

おばばちゃんは、一人暮らしの方で、

目が見えにくい人でした。

バァちゃんは、

「たらの芽なんて、危ないところに生えてるのに、やめとけ。」と言いましたが、

おばばちゃんは、

「去年死んだおじいさんの仏壇に供えてやりたいから。

大丈夫、元々、私らの畑の下ったところに生えてたのを覚えているから。」と言います。

バァちゃんは、少し考えて、

「うちの孫を連れて行け。」と、

私もお供に連れて行くことを勧めましたが、

「それこそ、危ない。それに、怪我でもしたら申し訳ないから、大丈夫だから。

私が無理なら、兄さん(お供のご主人の方)に取ってもらうし、それでも無理なら諦める。」と言います。

本当に大丈夫?と声をかける私に、

「ありがとうね。

にゃにゃみちゃんは、コゴミが好きだから、おばばがたくさん取ってきてあげるね。待っていなさいね。」と、

シワシワの笑顔で、手を振り、また歩き出しました。

バァちゃんは、

お供のご夫婦に、

「よろしく頼むよ?」と言い、

三人の後ろ姿を見送りました。

さて、昼前には畑仕事を終わらせ、昼ご飯の後、

私とバァちゃんも、三人の入った方向とは別の場所に、山菜摘みに行きました。

そこにも、たらの芽が生えていて、

バァちゃんは、

「もし、取れなかったらかわいそうだから。」と言って、

タラの芽を、摘んでいました。

私は下に生えてる、ワラビやコゴミを摘んでいました。

ふと、その山肌から、集落の方に目をやると、

朝、山に入っていった3人が、歩いているのが見えました。

バァちゃん、帰ってきたみたい。

と、言うと、

バァちゃんも顔を向け、

「案外、早かったね、こりゃ、ダメだったかな…。

まぁ、いいよ、後でこれを持って行ってやろう。」と言いました。

その山肌を上がっていくと、少し開けた場所になっていて、小道を下ると小学校や保育所につながっています。

私とバァちゃんは、上がってきた方から言うと、小学校や保育所の周りの山の中を、ぐるりと周った状態で集落の道に降りてきました。

小学校から集落の道を、ばあちゃんの家に向かってまっすぐ歩くと、その途中に、おばばちゃんのお家があります。

バァちゃんは、後手にたらの芽の入った袋を隠し、おばばちゃんのお家の扉をノックしました。

きっと、取れたよ言われたら、

良かったね、と引こうと思っていたんでしょう。

ところが、いくらノックしても、

おばばちゃんが出て来ません。

ノブをひねると、ガチャッと音がして、

扉が開きました。

「帰ってるのかァ?」と、

ばあちゃんが声をかけるも、部屋は、シーンとしており、

バァちゃんが、

「にゃにゃみ、中でしんどくなってないか、上がらせてもらって見てちょうだい。」と言うので、

失礼しますと、声をかけ、お家の中を見て歩きましたが、姿がありません。

いないよ?と、言うと、

「帰ってないのかなぁ、長靴、履いてたのに、ないもんね。」と言って、

もしかしたら、お供のご夫婦のお家で休んでいるのもしれないねと、

おばばちゃんのお家を後にしました。

おばさんのお家に居てるだろうから、

あんた、後でおばばちゃんを家まで送ってあげてね、

うん、いいよ、

と、話しながら、

また、家に向かって歩いて行きました。

お供のご夫婦のお家は、バァちゃんちのすぐ横でした。

「採れたんかね〜。」

そう言いながら、開いてる玄関から中に向かって、バァちゃんが声をかけました。

すると、おばさんが顔を出し、

「あー、ダメだったんだよ、タラの芽どころか、木すらありゃしなかった。」と言い、私達に家の中に入るように、手招きしました。

私達は、お家に上がらせてもらおうと土間に足を進めましたが、

バァちゃんが、

「バァさんはどうしたの?」と

おばさんに聞きました。

おばさんは、

「えっ?」と言い、

私もようやく、バァちゃんがそう聞いた理由がわかりました。

おばばちゃんの分の、

長靴がないのです…。

てっきり、おばさんの家で、上がらせてもらって休憩してるもんだと思っていた、

ならば、当然あるはずのおばばちゃんの脱いだ長靴がない…。

ヒュッ…と、

言いようのない、気持ちになりました。

「バァさん、いつ帰ったの?」

バァちゃんがまた、おばさんに聞きました。

「いつ帰ったって…。うちには、寄ってもいないんだよ。

ウチの前の道で、『ありがとね』って帰って行ったんだよ。」と、

おばさんは言いました。

おじさんも、部屋から顔を出し、

『家に入るのを、タバコ吸いながら見てたんだわ。帰ってるはずだよ。』と、

言います。

バァちゃんは、

今、行ってきたけど、家の中にいなかった事、靴もなかった事を伝え、

私に家の中を見て確認させたと、話しました。

…どこに、行ったんだろうか。

バァちゃんは、私に、バァちゃん家に戻って中庭を見て来いと言いました。

鍵がかけてある時、近所の人達は、中庭でバァちゃんの帰りを待っているからです。

走って、中庭に行き、

「おばばちゃん?!」と、大きな声で呼んでみましたが、

姿も、声も、ありません…。

どうしよう…。

私は、また、隣のおばさんの家に走って戻ろうとしましたが、

その手前にもう一軒あるお家にも足を向けました。

その家のおばさんは驚いて出てきて、

「どうしたの?」と言い、

おばばちゃん、来てない?と聞くと、

「今日、朝、顔見たきりだよ?」と答えます。

何か言ってるおばさんにありがとうだけ言って、

バァちゃんの元に戻りました。

「おばばちゃん、いないよ。

横のおばちゃんちも行ったけど、いなかった。」と伝えます。

「どこに、行っちゃったもんだか…。」

おばばちゃんは、目が悪いし、足も丈夫ではなく、腰もかなり曲がっています。

1人で、どこかに行く事など今までありませんでした。

おばばちゃんが行くのは、せいぜい100メートル先にある、バァちゃんの家を含めたこの三軒並びのお家くらい…。

若い頃は、畑をしていたそうですが、

それも、私が生まれる前の話です。

バァちゃんは、父に電話をすると言いました。

そして私に、もう一度、おばばちゃんのお家に行って、本当にいないか、もう一回見て来てくれと頼みました。

わかったと返事をして、すぐ飛び出そうとする私に、待て待て!と言い、

おばさんの家のカレンダーを破って、おじさんにペンを借りると、

大きな字で、

「電話ください。〇〇(バァちゃんの名字)」と書いて、

その下に電話番号も書きました。

ガムテープを私に持たせて、

もし、家におばばちゃんが居なかったら、

玄関の扉に、外側からそれを貼り付けて帰ってこいと言いました。

走って着いたおばばちゃんのお家の中を、私はそこかしこ、大声で呼びながら探したのですが、やはり、おばばちゃんの姿は無く、

私は言われた通りに、張り紙をして、また、走ってバァちゃんの元に戻りました。

戻りながら、もしかしたらと、田んぼの畦道や、茶畑のあたりを見回してみましたが、おばばちゃんの姿は、私の見える限りでは、どこにもありませんでした。

バァちゃんは、父の他にも、地元の消防団の団長さんの家や、役場、駐在さんにも連絡を入れ、

30分もすると、かなりの人数が、

おばばちゃんの行方を心配して、集まっていました。

話し合いの結果、地元消防団を筆頭に、山の中の捜索がなされる事になりました。

父と、当時まだ健在だった私の叔父も、

山に詳しいと言う事で、捜索班に入っていました。

次の日から、捜索が始まりました。

まずは、前の日に通った道を、お隣のおじさん先導で捜索。

山肌に足を取られていないか、脇道に逸れていないか、その度に捜索班は、小分け小分けに分かれ、山一帯を捜索したのですが、

おばばちゃんは見つかりませんでした。

捜索2日目、おばばちゃんのすぐ裏手にある山に登って行ったのではと、前日と同じ様に探しましたが、やはり見つかりませんでした。

居なくなってから、ほぼ3日…。

いくら春といえど、山の中は、夜にもなるとかなり冷え込みます。

家の様子を見る限り、何か食べる様なものを持って出た様なそぶりもありませんでした。

私がバァちゃんに言われて貼っておいた張り紙は、連絡を受け帰って来たおばばちゃんの娘さん家族の手で外されていました。

娘さんは、泣きながら、

バァちゃんに何度も迷惑かけてすみませんと言い、

私にも、小さいのに何回もおばばちゃんのためにありがとうと、頭を下げていました。

みんなが、おばばちゃんの無事を祈りながらしたことだから、

気にすることはないよ。

バァちゃんは、そう言って、娘さんの頭を撫でていました。

2日目の夜、小学校の体育館に設置された捜索班の会議室で、

父が警察の方と喧嘩になりました…。

警察の方がぽそりと言った、

「探しようがない…。」と言う言葉がきっかけでした。

たった2日探しただけじゃないか!

周り、山だらけなのに!

探してないとこだらけなのに!

探す気あって、ここに居るのか!

警察の方に掴みかかろうとする父を、

叔父と駐在さんが必死で止めて、

地元消防団の方が、警察の方に、

後は自分らでやりますよ、帰ってくれて良いですよと

睨みを効かせる…。

とにかく、明日、もう一度朝から集まろうと、その日は解散したと帰って来ました。

父の怒りは、収まりようがなく、

その話を聞いて、また、泣きながら頭をさげるおばばちゃんの娘さんに、

父は、

「絶対、俺が見つけてやる!」

と、

「おばば、絶対、連れて帰ってくるから!」と。

叔父は、

「腹減ってるやろうから、飯、作っといてあげなよ?」と。

そう言って、娘さんを励ましていました。

そして、父と叔父は…、

真っ暗に日の落ちた山の中に、

2人で入って行きました。

バァちゃんちの番犬で飼われていた紀州犬と

うちで飼ってたビーグルを連れて…。

ここからは、父と叔父の話になります。

真っ暗で、懐中電灯も役にも立たないくらいの山の中を、2人はそれぞれ犬を連れて歩いていました。

何があって道に迷っても、

犬達が連れて帰ってくれる…、

2人共がそう思っていたと言います。

どこを歩く?どこを探す?

2人は、そう言いながら、

水のある所を探すことにしたそうです。

山の中には、幾つかの沢が流れています。

喉の渇きを癒すため…

空腹を紛らわすため…、

とにかく、水がある所を探すんじゃないだろうかと。

沢に降りていたら、もしかすると、おばばちゃんの足跡が残っているかもしれないとも思ったそうです。

2人は、小さい頃に走りまくって、

体で覚えこんだ感覚を頼りに、

沢を探して歩いたそうです。

どれ位、山を歩いたのか、

水の激しく落ちる音が、徐々に聞こえて来たと言います。

足元に気をつけながら、歩いていくと、

そこは、

地元の山深くにある、大きな大きな滝につながる場所でした。

真っ暗だった為か、全く、

どうやって歩いて、この位置に出たのか?

わからなかったと言います。

父の頭の中で描いた地図でも、叔父の頭の中で描いた地図でも、

その滝には、たどり着きようがないはずでした…。

沢を、2人は左右に分かれて、川上にたどっていく事にしたそうです。

しばらく歩いた時…、

沢に沿う様に…、

風が上から吹き込んできました。

途端、連れて行ってた2匹の犬がそれぞれ、唸り声をあげたのです。

そして、どちらともなく、ウォンウォンッ!と激しく鳴き出し、

川上から見て、左側に、一斉に走り出したと言います。

叔父も父も、

犬のリードを放さない様に…

邪魔になる程、生えまくってる木にぶつからない様に…、

少しでも、犬が走るのを邪魔しない様に…、

必死で、犬が吼えて向かう方に、走りまくったと言います。

必死で走っているうちに、辺りで、

ギャギャギャギャギャ…

ききき、ギギギギギ…

グゥェ、グゥェッ…ギャギャギャギャギャギャ…

声が聞こえて来たと言います…。

あちこち…、方々から聞こえて来たその声に、

連れていた犬がそれぞれ、左右に分かれて走り出したのです。

当然、父と叔父も、左右に分かれてしまいます。

連れてる犬に、託すしか無くなった…

2人は、そう思ったそうです。

走っている間も、ずっと、

気味の悪い声が聞こえてきます…。

クソォ、厄介だな…と思った時、

父の連れていた犬が、ビタッと動きを止め、吠えるのもやめ、

足を突っ張り、低い声で唸り声をあげました。

あっち側から、叔父の連れてる犬が吼えながら、叔父を引っ張り回して走ってくるのが見え、

その犬も、ビタッと走るのを止めると、同じ格好で威嚇し始めます。

犬の唸り声と、父と叔父のカラカラの喉から出るゼェゼェと言う音が暗闇に広がっていく中、

ポツリ…、ポツリ…、

と、

暗闇の中に、

獣の目が光って、浮んで見えました。

ぎゃ…、

ギギギギギ…

ギャギャギャ…、

グゥェッグゥェッグゥェッグゥェッ…

ギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャ…

四方を囲まれていると分かるほどの、鳴き声が湧き上がる様に、聞こえました。

それに対抗する様に、

2匹の犬は、腹から響く太い声で、

吠えまくっています。

父は一か八かで、連れていた犬のリードを外しました。父の連れていたビーグルは離されたと同時に、吠えながら暗闇の中の、声と目に向かって飛び込んでいきます。

叔父の方を向いて、リードを外す様に言い、叔父の連れてた犬もまた、暗闇の中に飛び込んでいき、あちらこちらで、暴れている様でした。

おじと父は、それを聞いているしかなかったそうです。

しかし、

キャキャキャキャッ!

キャキャキャキャッ!

と、弱々しい鳴き声が聞こえた途端、

それまで、見えていた

きみの悪い、光った目が消え、

ザザァッー!と一斉に山の奥に走り去って行ったのです。

犬2匹は、それを追いかけて行きましたが、

呆然としている父と叔父の元に、

しばらくすると戻ってきました。

そして、さっきまでと違う吠え方で吠えたかと思うと、少し進み、

まるでこちらに来いと言ってるかの様に、誘導する様に、

父と叔父の前を歩いては立ち止まり歩いては立ち止まり、

そうやって着いたところは、

倒れた木と、むき出しになった山肌の岩が重なった様になっている、少し開けたところでした…。

犬2匹は、その倒木と岩がうまく重なり合ってるところをじっと見ています。

よく、目をこらすと…、

その倒木と岩肌でできた隙間に…

落ち葉を、足にかけて、小さくなってる…

おばばちゃんがいたのだそうです…。

父と叔父が交代でおばばちゃんを背負って、山から戻った時には、

もう朝が来ており、

私も起きていました。

夜中に山に上がった2人もまだ、帰らない…、

警察は頼りにならない…どうしようかと大人たちがヒソヒソ話している時に、

ガラガラッ!

勢いよく開いた扉の音と共に、

叔父の

「帰ってきたぞッ!」

という声が聞こえて、

私は、走って2人の元に行きました。

おばばちゃんは、父の背中に背負われていました。

少し顔色が悪く、体が冷え切っているのか、手を触るととても冷たかったのを覚えています。

私は、バァちゃんに言われて、おばばちゃんのために布団を引きました。

バァちゃんは、おばばちゃんの家に電話をして、娘さんに帰ってきたよと伝え、

村のお医者さんに電話をして、すぐ具合を確認してやってほしいと連絡していました。

家の中は、活気付き、

捜索隊のための炊き出しは、お祝いの準備に変わりました。

おばばちゃんは、

電気毛布を入れた布団に横になると、

少し、顔色が良くなって、

スースー、寝息を立てて寝ていました。

診察に来てくれたお医者さんは、

特に目立つ外傷もなく、他も心配はないと思うが、念のため、入院しましょうと言い、娘さんご夫婦が病院に連れて行くことになりました。

おばばちゃんは、車に乗せようとしても、

起きないので、

また、父が背中に背負って車に乗せてあげていました。

父は、昨日の事もあり、警察の方に

無謀だ!とか、

なぜ、相談もなしに!だとか、

怒鳴りちらされていました。

父は、涼しい顔でそれを聞いていましたが、

叔父が、

「ガタガタ喚いて、諦めかけてたくせに、

かっこ悪いからって、今度は行動したこいつを責めるのか?」と、

静かな声で、諌めていました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

おばばちゃんをあの場に止めていたのは、

どうやら、キツネの様でした。

おばばちゃんの話では、どうやって家を出たのか、果たして家に戻ったのかも覚えていないと言います。

気がついたら、山の中の沢で、水を飲んでいたのだそうです。

ふと、顔を上げると、

少し奥の方に、白い服を着た女の人が立っていたと…。何人も立っていて、

お腹が空いているでしょう?こちらにどうぞと招かれたと言います。

着いて行くと、大きなお家があって、

おばばちゃんは、飲めや食えやともてなされたのだと…。

それが突然、犬の鳴き声が聞こえ出し、

今まで、立派なお屋敷の中にいたのに、

気付いたら暗がりの中、ポツンと自分1人が座っていることに気づいたと…。

それまで、くっきり見えてた目も、

また、元に戻ってすぐ目の前で曇って見える様になったと言ってました。

おばばちゃんは、

「もう少し、しっかり目が見えたら、

おじいさんにタラの芽を見つけてあげられたのにって、

そればかり思って、あの日はとても気が沈んでいた…。」と、病院から戻ってすぐに話してくれました。

「よそのお家の大事なお孫さんにまで、迷惑かけてしまって、本当に申し訳ない。」と、泣きながら。

おばばちゃん、元気でよかったよ。

帰ってきてくれて良かったよ。

どこかに行きたい時は、私を呼んでね?

おばばちゃんは、私のお友達だからね。

寂しいから、勝手にどっかいったら嫌だよ?と、私は、おばばちゃんの横に座って、言いました。

バァちゃんは、

「頼ればいいのよ。何も言わずに何処かに行って、うちの孫、心配させるくらいなら、うちの孫に頼ればいい。」と言いました。

おばばちゃんは、

ありがとう、ありがとうと

手を合わせて、お礼を言ってくれました。

おじいちゃんを想う、おばばちゃんを

からかったのか、助けたかったのか、

キツネの思うところは、定かではありませんが、

嘘の様なホントの話…。

同じ山に住む者だから、

助けようとしてくれたんじゃないかなと、

今でもそう、信じています…。

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hmaさん、コメントありがとうございます。

また、楽しんでもらえれば光栄です。

mamiさん、コメントありがとうございます。

本当に、無事帰ってきてくれたのが嬉しかったです。

おばばちゃんは、大騒ぎの意味が,すぐには理解できず、少し気の毒でしたが…笑

不思議な出来事に、 全員で挑んだ!と言う一体感があり、その中の一員だった事がとても嬉しかったのを覚えています。

すごく面白かった。

どれをとってもいいお話し・゜・(つД`)
おばば様を気づかったお婆様やお隣のご夫婦も。
皆さんの優しさに感謝していた娘さん。
集落の方々もしかり。お父様や叔父様の夜中でも『一刻でも早く救いたい』のお心。
子供ながらに、一生懸命走ったり、優しい言葉をかけてあげたにゃにゃみさん。
自身の危険も省みず、向かって行ったワンちゃん達…

《浦島太郎》や《おむすびコロリン》などの良き昔ばなしを思い出してしまう素敵なお話しでした。
おばば様が無事で何よりでした。

沙羅さん、コメントありがとうございます。

誰もが、何とか、おばばちゃんを連れて帰ってこようと一丸となっていましたねぇ。

おばばちゃんは、
「怖いとも、寒いとも感じたりしなかった。
時間もそんなに経ってるなんて、思わなかった。」と、
自分が3日間の間、行方知れずだった事に1番驚いていました(´Д` )笑

山に入っちゃったおばばちゃんを見かねたキツネが、何とか雨露しのげるところに連れて行ってくれて、見つかるまでを、せめて、不安にならない様に…と、気遣ってくれてたのではないかなと、(そうだったらいいなと願望もありますが)思っていますが、
本当の事は…、
誰にもわからない、不思議な出来事です(^-^)

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カケルさん、コメントありがとうございます。

おっしゃる通りで、人と人との繋がりは、とても大切で深いものだと!幼心に焼き付けられる様な出来事でした。

おばばちゃんとおじいさんは、見た目、いつも喧嘩をしてる様なご夫婦だったのですが、
おじいさんを想い、山に入ったおばばちゃんと、護ってくれたんだろうおじいさん…。
退院後、おじいさんのお墓参りに行って手を合わせていたおばばちゃんの姿を思い出します。

マガツヒさん、コメントありがとうございます。

警察の方には、私も小さいながら、
がっかりしたのを覚えています笑。
ただ、駐在さんだけは、
「大切な、村の1人がいなくなったんです。
そんな言い方ないでしょう!」と、
言い返してくれていたのも覚えています。

父と叔父の行動力に、
やっぱり、この2人、すごい!と、単純に誇らしく感じたりもしました(^-^)

何より、おばばちゃんが、その後もあの集落に変わらず住めたことが、私はとても嬉しかったです。

一体、なぜ、おばばちゃんだったのか、という謎は、
謎のままですけどね〜。

りこさん、コメントありがとうございます。

おばばちゃんの歳や、その時の服装、持ってたものを考えると、
もっと衰弱しててもおかしくないのですが、
何とも不思議な事で、
3日入院しただけでした。
一度、家に入るのをおじさんに確認されているので、その後の行動が全くわからないのです。
とにかく、見つかって、それ以降、いなくなることがなかった事に、
今さらですが、本当に良かったとしか言えない出来事でした。

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