マジカルえみちゃん 幼少編〜

中編3
  • 表示切替
  • 使い方

マジカルえみちゃん 幼少編〜

私の友人の知り合いに マジカルえみちゃんという人がいます。

過去の作品に出ていますので、ご興味のある方は御覧になって下さい。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

えみちゃんの家庭は母子家庭で、貧しいながらも 母、兄、えみちゃんとの三人で楽しく過ごしていたそうです。

えみちゃんの兄は3歳年上のシッカリ者。

母がいない時のえみちゃんの面倒は お兄さんがシッカリやっていたそうです。

えみちゃん5歳、お兄さんが8歳の時の出来事。

お母さんが夜遅くに帰って来るときは、いつも一緒にお風呂に入っていました。

え「今日も遅くなるの?ママは?」

兄「 そうだね。でも、えみが良い子で居てくれたら 早く帰って来るかもな!」

などお風呂場で話していました。

えみちゃんとお風呂に入っていたある日の事…。

ピンポーン

え「あ!ママ?ママだよね?」と嬉しさの余り、風呂場から飛び出し 玄関の方へ走って行きました。しかし、いつもはまだ帰って来る時間では無いし、おかしいなぁと思いながら お兄さんも風呂場から出て見に行来ました…。

すると、玄関のドアの前を見つめるえみちゃんが居ました。

兄「 ママじゃなかったろ?まだ早いもんな!」と言うと

えみ「……ママはママだけどね、泣いてるの…ママが…ゥゥアーーン!」と泣き出した瞬間、

バチン!!

とブレーカーの落ちた音と同時に真っ暗に。

お兄さんがえみちゃんをシッカリ抱きしめました。その時はお兄さんも 物凄く不安な気持ちになったそうです。

兄とは言えど、小さい8歳。恐怖と不安はもちろんの事、妹を守るのも必死。

妹と一緒にブレーカーの側に向かう…。

バシャン!バシャン!!

風呂場からの大きな音。2人しか居ないのに 音がする筈もありません。流石にコレには参り 泣き出しながらブレーカーの所へ。

椅子に乗り、箒の持ち手を使いブレーカーを上げようとした時に、

えみ「ママだよね?ねー!」と真っ暗闇の中へだーっと走ったんだと。

兄は見てしまいます。薄い桃色の膜かなんかに覆われた母に抱かれているえみちゃんを…。

兄「お母さん?お母さんなの?」と言うと

「ゴメンね…。ゴメンね…。」

と悲しい声で言いました。

思い切ってブレーカーを上げます。

カチン!

電気が付き、明るくなったら そのお母さんの姿は消えて無くなっていましたが、薄い桃色の膜に包まれた えみちゃんは まるで母の手からそっと置かれた様にユックリとフワフワしながら床の上に着地。

えみちゃんはそれから直ぐ、高熱を出し 2日間程 寝込んだそうです。

それにえみちゃんのお母さんも その日は疲労からか 仕事中に倒れ 一週間入院。

命に別状はなかったものの、それまで張り詰めていた気合いが途切れたのか 仕事をするのに一カ月かかったそうです。

えみちゃんは熱が引いた後、こんな事を言いました。

えみ「あの時ね、お兄ちゃんの横に悪い奴がいたモン。でもママがあっちいけ してくれたからいなくなったんだよ。」と。

母が退院した後に色々聞いてみるが記憶にないと。ただ一つ、思っていた事は…

「我が子に早く逢いたい…。心配かけたくない…。泣いている顔を見たくない…」

を一心に思っていたそうです。それからえみちゃんは色んな物が見える様になったと…。

Concrete
コメント怖い
1
8
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ