短編2
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不思議な力

俺の兄貴がさ、10歳の時に亡くなったんだけど、凄く変わった変な奴だった。

癖みたいによく、静かにスッと人に向かって指をさすことがあって、

何してんのそれ?って訊いたガキの頃の俺に真っ黒い影がしがみついてるから、って答えてた。

で、兄貴が指さした人間が死ぬんだよな。大体、指さされてから1カ月以内か。

兄貴は道行く知らない人でも真っ黒い影がしがみついてたらもれなく指さしてたみたいで、

指さした時点から二度と会うこともなく、それからその人がどうなったかわからない人が多かったんだけど、

確認できる分にはみんな死んでたな。

近所のじーさんばーさん数名とか、大人も。あと、兄貴の同級生だった奴の妹も。

兄貴は交通事故で死んだんだけど、その3日前に父親を指さした。

俺の目の前で。かーさんはその時いなかった。

父親は知ってたんだ、兄貴が指さした人間が死ぬことを。

指さされた時、本当に血の気がひいて真っ青な顔してて、俺はそんな父親の姿を初めて見たのもあって、恐ろしくて立っていられなくなりそうだった。

何だかんだ大好きな父親が死ぬんだぜ?

それから死ぬ前に兄貴が言ってた。

真っ黒い影がしがみついてるってのは嘘なんだと。

自分が指をさすから人が死ぬんだと。

ある期間に決まった人数や、時には決まった人を指ささなければならず、そうするように生まれてくる前に会った人に言われたと。

俺はもうこれからいつ父親が死んでしまうのかといっぱいいっぱいで、馬鹿にして笑う力もなかった。

まぁその次の日に兄貴が死んだ。

兄貴が死んで落ち込むどころの話じゃなかった父親も、後を追うように亡くなった。

言っておくが、自殺じゃない。

これは俺のただの推測だが、兄貴は父親を指ささなければならず、あの後すぐ自分に向かって指をさしたんじゃないかと思う。

兄貴も父親のこと大好きだったんだ。

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悲しい…運命を背負ったお話しでした。