短編2
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娘の霊感

今年5歳になる娘が居る。

娘は生まれた時から、幽霊や霊を呼び寄せたり

人がいないときは、霊と遊んだりしていた。

しかし私が霊は怖いものだと教えてきたので4歳になる頃には

自然と怖さが植え付き、今は幽霊や霊を見つけると「お化けが居る」と

私にしがみついてくる。

ある日。

いつものように海沿いの公園に車で行き

遊ばせてる時だ。

夕日が水平線に落ちかけて来た時、

ジャングルジムの上で娘がさわぎはじめた。

「パパ、お化けが美咲に向かってくる。怖いおばけが来る」と言いかけて

ジャングルジムから急いで降りると私の足にしがみついてきた。

私も霊が見える方なので、娘に聞いた「どこからくるんだ美咲パパに教えて?」

と言うと美咲は「あっち」と言うと海の方を指差した。

私は指差す方を見たが何も見えなかった。

おかしい。娘がいくら霊が強くても、私に見えないわけがない。

そう思うと、娘の指差した方をジート眺めた。

すると夕日を浴びながら堤防代わりに置いてある岩の上に手が乗っていた。

その手は震えながら上がろうと力を入れている状態だった。

私にはその手が生きてる人間が岩にしがみつき救助を待っているかのように

見えた

私は娘の霊感よりも生きてる人間を助けるのが先と考え

娘の手を足からふりほどき、岩につかまっている人を助けるべく、岩の近くまで出向いた。

その時、

娘が泣きだした。それも今までになく大きな声と暴れるような動作で。

「ウワーン~~~ウワーン」まるで、私を呼び戻すように。

娘の周りに人が集まってきた。

私は人を助けるどころでは無くなり、岩にしがみつている手に向かい

「もう少し我慢してくださいちょっとの間です.」と言うと

娘のところに戻った。

娘をなだめると、ひとが居なくなった。娘は元の娘に戻った。

私があの岩の手を助けに戻ろうとすると

娘が言った。「パパもういないよ。帰った」と言うと

またジャングルジムに戻り遊び始めた。

私は信用できなくて、また先ほどの岩にしがみ着いて居た手のところに戻ると

岩の下をのぞいた。誰もいなかった。

しかし岩には両手指の痕が濡れてくっきりと残っていた。

岩の下をのぞくと5mほど下の岩に波が押し寄せているのが見えた。

もう一度戻り娘に尋ねると「知らない怖い、怖い、おじちゃんが岩から顔出して覗いてた。」と言うと何事もなかったようにジャングルジムで遊び始めた。

その男が悪い霊だったことはわかったが、私が霊と普通の人を見分けられなくなるほど、

霊力が衰えている事を感じた。

娘の霊力の強さに驚きました。

私は普通の娘に育ってくれる事を祈りました。そして

一人娘がジャングルジムで遊ぶ姿が夕日に染まってゆくのを見ていた。

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