おじさん

子供が通う保育園は、河原沿いにあり土手沿いを通っていくのが一番の近道になる。進行方向、向かって左に河原があり右側が住宅や保育園となる。

最近は日が落ちるのが早くなり、１７時半頃ともなると辺りはすっかり暗く…車のライトを点けないと白いバイクに怒られます。

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土手沿いなんて、街灯がないのでヘッドライトの灯りでもかなり近づかないと「人がいる」と認識出来ない。

私はいつも通り、土手沿いに入っていった。

チャリンコ派のママさんも通るので、速度を落としゆっくり走る…

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１０メートル程走った辺りで、河原とは反対側（右手側）に人がいるのに気がついた。

ベージュ（？）の作業着っぽい服を着た、頭頂部がだいぶ淋しい小太りなおじさん。

少し俯き加減に同じ方向へととぼとぼ歩いていた。

車が近づいても、避けない(ー_ー;)

人一人分もギリギリな道なので、かなり慎重に避けて追い越した。出来れば、少し避けて頂きたかった…

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それから、少し走るとまた人がいた。

ベージュ（？）の作業着っぽい服を着た、頭頂部がだいぶ淋しい小太りなおじさん。

少し俯き加減に同じ方向へととぼとぼ歩いている

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…あれ？他人の後ろ姿空似？

しかも、この人も避けない(ー_ー;)

ゆっくり慎重に避けて追い越した。

近くに整備工場もあるし、そこの人かな？

同じ服装なので、この時はそう思った。この際、同じ髪型なのは無視しよう。

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保育園前にも右折できる道があるけれど、子供も出てきたりして危ない。私はいつももう一本奥の道を曲がり、ぐる～っと迂回して保育園隣のパーキングに停めている。

奥の道を右折してすぐ…今度は街灯があるのですぐに分かった。

人がいる。

ベージュ（？）の作業着っぽい服を着た、頭頂部がだいぶ淋しい小太りなおじさん。

少し俯き加減に…

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って、おかしい！

会社や整備工場なら服装が同じなのも分かる。でも、髪型も体型も同じなのか？

社内規則ですか？

気味が悪くなり、少し離れ気味に追い越していく

通り過ぎてバックミラーを確認すると…

おじさんが見当たらない。

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死角に入ったかな？

そう思い十字路をさらに右折するため、速度をまた落とした瞬間

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shake

…バンッ！！

運転席側の窓を思いっきり叩かれ、体が跳び跳ねた。

見ると、先程のおじさんが窓にへばりついていた。

小太りなのに目は落ち窪み、焦点が合わない目で覗き込んでいる。

何か言っている…

「な・・・で、よ・・・てく・・・」

ん？なになに？

「なんで、避けてくんだよおぉ！」

一瞬にして背筋が凍りつき、慌てて車を走らせる。窓におじさんはもういない。

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パーキングに車を停めてからも、しばらく呼吸が乱れ動くことが出来なかった。

これを、他人に悟られたくはない。

深く深く深呼吸して、私は車を降りた・・・

《終》