長編10
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かごめ。

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かーごーめかーごーめー。。。

かーごのなーかのとーりぃはぁー。。。

いーつーいーつーでーやぁるー。。。

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よーあーけーのーばぁんに。。。

つーるとかーめがすーべったぁ。。。

うしろのしょーめんだーあれー。。。

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「ねぇねぇ、かごめかごめの噂、知ってる?」

「知ってる知ってるー!こうれいじゅつ?だっけ?霊を呼び出す方法なんでしょー?」

「そうそう!なんかさぁ、面白そうじゃない?」

「だねぇ!やってみる?」

「やってみよーよぉー♪」

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誰が言い出したのか。

この時のあたし達は、まだ知らなかった。

自分達が恐怖のどん底に落とされることを。

そして、大切なものを失うことを。

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紀香は放課後の静まり返った学校で、彩乃達を待っていた。

お母さんには、彩乃の家で集まって宿題をすると言って出てきた。

「勉強」という文字を引き合いに出せば、お母さんを黙らせるのなんか簡単だ。

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「のりかー!」

呼ばれてそちらを見やると、彩乃と静と麻衣が走ってくるのが見えた。

「もぉー!おっそーい!」

紀香の膨れっ面を見て、3人がケラケラ笑う。

「「「ごめんごめーん」」」

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「じゃぁ、さっそく始めよっか!」

紀香の言葉に、3人は頷くと、輪になって手を繋いだ。

誰もいなくなった校舎に、4人の「かごめかごめ」が物悲しく響いた___

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くるくると廻りながら、一曲歌い終えると全員が立ち止まる。

「。。。。。」

「。。。。。」

「。。。。。」

「。。。。。」

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「。。。。。ぶっ!」

彩乃が吹き出したのをきっかけに、3人はお腹を抱えて笑い出した。

「え、ちょっとー、何も起こらないじゃん(笑)」

「マジでよー(笑)拍子抜けー。」

「いやなんか起こっても困るでしょーに(笑)」

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「。。。。」

「あれ、静、どうかした?」

麻衣の声に、みんなの視線が静に集まる。

無言で俯いたまま、前後左右にゆらゆらと揺れている。

「え?何、どうしたの静。」

「ちょっと、静?」

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みんなで静を覗きこんだり、軽く肩を揺すったりするも、静は全く反応しない。

焦点の定まらない目でどこか一点を見つめ、ゆらゆら、ゆらゆら、揺れ続ける。

「やだ、ちょっと冗談やめてよー。」

紀香が笑う。

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「そうだよ静ー、シャレになんないって」

彩乃が続ける。

「。。。ちょっと。。。これ、冗談じゃないかも。。。」

麻衣が静を覗き込みながら、震える声で言った。

「「え?」」

紀香と彩乃は同時に麻衣を見た。

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麻衣の視線の先。

静の顔。

二人がゆっくりそこへと視線を移すと___

俯いて、相変わらず焦点の定まらない目で一点を見つめ、よだれを垂れ流しながら薄笑いを浮かべる静。

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「えっ。。。ちょっと。。。静?」

「ねぇ。。。冗談やめてよ。。。静。。。」

涙声でそう呟きながら、おそるおそる静の肩を揺する。

前後左右に、首をガクガク揺らしながら、静は━━。

ふ。

ははは。

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きゃはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは。。。

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全く笑っていない表情の中、口元だけがいびつに歪み、笑い声をあげ続ける。

自分達が「降霊術」をしていたという事が、今の状況を静の冗談だと思うにはあまりにも不自然で、紀香達は瞬時にパニックを引き起こした。

「ひっ。。。」

「。。。キャーーー!」

「静!やめてぇ!」

3人は腰を抜かして、その場でへたり込み抱き合って泣き出した。

「こらぁーっ!お前たち何やってんだ!」

その時だった。

当直の先生が悲鳴を聞きつけ、校舎から飛び出してきた。

3人は駆けつけた先生にしがみつくと、黙って静を指差した。

静はまだ笑い続けている。

先生は怪訝そうに静を見ながら、

「おい、どうした。何がそんなにおかしいんだ?」

「お前たち、何があったんだ。」

話しかけても反応しない静。先生は紀香達に詰め寄る。

しかし目の前の静への恐怖と叱られる恐怖で、泣きじゃくっていて話にならない。

その間にも、静はどんどんおかしくなっていく。

ゲラゲラと笑い声をあげながら揺れていた静は、ピタリと動きを止めると完全な無表情になった。

無表情な顔で、紀香達を見ている。

ようやく普通じゃないと悟ったのか、先生は更に強い口調で3人に詰め寄った。

「おい!お前たちこれはどういう事だ!いったい何をしたんだ!」

紀香が重い口を開く。

「かごめかごめを。。。したんです。」

「かごめかごめ?それがこれと何の関係があるんだ。」

「こうれいじゅつ?っていうので。。。かごめかごめをある方法でやると、幽霊が呼びだせるらしいんです。。。」

「降霊術?」

「はい。。。それで、試してみたんですけど、最初何ともなくて。。。みんなで笑ってたんです。そしたら。。。静がこんなふうに。。。」

「何やってんだお前たちは!」

先生はそう怒鳴ると、4人の親と、そしてどこかへ電話していた。

しばらくすると、母親達が到着した。

先生が、何かを説明している。

母親達は絶句したり、泣き出したり。

先生は何を話したんだろう。。。

母親達が落ち着くのを待って、先生は切り出した。

これから全員で、先生の父親のところに行くらしい。

先生はお寺の息子で、父親は住職なのだそうだ。

お坊さんなら、静を助けられる。。。?

紀香がぼんやりとそんな事を考えていると、先生は部活で遠征の時に使う小型バスを校門につけた。

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みんな押し黙ったまま、車に乗り込んでいく。

静が、静のお母さんに付き添われてバスに乗る時だった。

「。。。せ。。。は。。せ。。。」

静が何かブツブツ言っている。

「え?何?静。」

静のお母さんが優しく言った、時。

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shake

「はぁ"な"ぁ"せぇ"ぇ"ぇ"え"え"!!」

ものすごいダミ声で叫んだかと思うと、ステップのところで暴れ始めた。

「キャーーー!」

「もうやだぁーーー!」

3人は泣き叫んでいた。

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白目を剥き、口から泡を吐きながら、静とは思えないような汚い声ではなせはなせと叫びながら、暴れ続ける静。

泣きながら静を歯がいじめにする静のお母さん。

口を押さえたまま、声も出せずに絶句する3人の母親達。

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もう、どうしていいかも、どうなるのかもわからなくて、ただただ絶望していた。

shake

「黙れ!!!」

運転席から、先生の怒号が響いた。

静の動きが止まり、ものすごい形相で先生を睨みつけている。

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「お前の自由はない!黙って車に乗れ!」

先生が強い口調で言い切ると、静はガクンと項垂れ、動かなくなった。

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何時間も車で移動して、次の日のお昼前に、ようやく目的地にたどり着いたようだった。

山の中の、とても大きなお屋敷。

バスの中で一晩眠って少し落ち着きを取り戻した紀香達は、その立派なお屋敷を見上げて言葉を失っていた。

駐車スペースに車を停めた先生が紀香達のところに合流した時、

「まぁまぁ、遠いところをよくおいでくださいましたねぇ。」

優しいおばあさんの声に、紀香達は振り返る。

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小さくて可愛らしい、でも気品に満ちた着物の女性が、紀香達を出迎えに門まで出てきてくれていた。

挨拶をしながら先生が近寄り、二言三言やり取りすると、

「さあどうぞ、こちらへ。」

と中へ通された。

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広いお座敷に案内され、紀香達が出された座布団に座ると。

「う。。。うう"。。。」

さっきまで項垂れておとなしかった静が、部屋に通された途端苦しそうにうめき始めた。

それを見て、3人は恐ろしくてまたすすり泣く。

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3人の泣き声に反応するかのように、静のうめき声がだんだん大きくなり、足を投げ出すようにして座っている静の上半身が、円を描くように揺れ始めた。

紀香達は抱き合って、声を押し殺して泣いていた。

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「あららららら。凄いものに気に入られたもんだねぇ。」

そう言いながら入ってきたのは、綺麗な群青色の着物を着た、優しそうなおじいさんだった。

「どれ。」

おじいさんはそう言うと、紀香達と静の間に腰をおろした。

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おじいさんは4人の顔をまじまじと眺めると、

「ふむ、そうかそうか。軽い遊びのつもりだったんだねぇ。」

そう言ってニッコリと笑う。

「え。。。」

紀香達が答えられずにいると、

「興味本位で、降霊術に手を出してしもうたんじゃな?」確かにそう言った。

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え。なんで。あたし達まだ何も言ってないのに。

「うん。何も言ってなくとも、おじいさんにはわかるんだよ。お前さん達の後ろに、見えておる。」

えっ?後ろ?!

3人が一斉に振り返る。

「はっはっはっは。お前さん達には見えんよ。」

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「おじいさんはな、お前さん達には見えないものも、よーく見えるんじゃ。もちろん、あの子にひっついておるものもな。」

そう言ってまたニッコリ笑う。

「さて。どうしようかの。」

おじいさんは自分の太腿をパン!と叩くと、

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さっきまでの優しい笑顔をスッと消して、厳しい顔になると静の方へ向き直った。

静はぐるぐる廻りながらうめいている。

shake

「おい!」

おじいさんは大きな声で怒鳴ると、グゥっと静の顔に近づいた。

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回転をやめた静は、顔を斜め上にだらしなくあげ、口からよだれを垂らし、生気のない目でおじいさんを見ている。

「お前さん、いったい何がしたいのじゃ。この子に憑いておっても、何の得にもならんぞ?」

おじいさんは静に顔を寄せたまま、無表情で話している。

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声は優しいけれど、その言葉には、「文句は言わさない」という強さがあった。

「。。。んだ。。。。。が。。。。だ。。。」

静の口からダミ声が喋っている。

やめて。静の体を返して。

紀香の頬を涙が伝う。

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「ご。。。ら"が。。。。んだあ"。。。

ごい"づら"あ"があ"。。。」

「何を言っとるんじゃ。」

「ごい"づら"があ"っ、よ"ん"だん"だろ"う"があ"あ"あ"っ!」

こいつらがよんだ。

こいつらが呼んだって言ってる。

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そうだ、あたし達が呼んだんだ。

あたし達のせいだ。

紀香達の頭をそんな考えがかすめた時。

「いかん!」

おじいさんが3人の方に振り返り叫んだ。

「こいつの言葉に耳を貸してはいかん!気持ちは強く持つんじゃ!」

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気持ちを強く持つって。。。

どうやって。。。

「この子の体は渡さないと、強く思っていなさい!」

そう言うと、おじいさんはまた静の方へ向き直った。

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おじいさんが静(の中にいるもの)と対峙している間に、先生や母親達はおばあさんに案内され、別の部屋へと行かされていた。

広い部屋の中に、紀香達3人と、おじいさんと静だけが残された。

おじいさんは懐に手を差し入れると、大きな透明の丸い石がたくさんついた、数珠を取り出した。

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そして紀香達の方を向くとただ一言、

「これから何が起きても、けっして目を逸らしてはいかんぞ。自分達のしでかした事の尻拭いを、この子だけに被せてはいかん。わかったな?」

そう言った後は、もう紀香達を振り返る事はなかった。

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おじいさんは何か呪文のような言葉をずっと唱えながら、指で空中に線を引くような仕草を繰り返している。

時間が経つに連れて、静が苦しみ始めた。

ものすごい形相で、この世のものとは到底思えないような声で、おじいさんにも紀香達にも罵声を浴びせてくる。

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仰向けに寝そべってバタンバタンと手足をばたつかせて暴れたかと思うと、ゴロゴロとのたうち回る。

時々何かを嘔吐したりしているが、誰もそれを片付けるものはいない。

異臭の立ち込める部屋の中、紀香達3人は見守る事しかできなかった。

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おじいさんは尚も何か呪文を唱えながら、空中に線を引いている。

そして。

おじいさんの手に握られていた、大きな透明の石がたくさんついた数珠を、のたうち回った末にうずくまった静の背中にビシッ!と当てた。

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「う"ああ"ああ"ああ"お"お"おお"あああ"ああ"ああ!」

ものすごい叫び声をあげながら、静の体はこれ以上ないくらいに仰け反った。

その時、紀香達は見たのだ。

いくつもの禍々しい物が重なりあい、既に原型を保つ事ができなくなった、それを。

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静の口から、這いずるように出てきたその黒いものは、消えていく時、確かに言ったのだ。

「コイツハモラッテイクゾ。。。」と。

おじいさんはソレが消える瞬間まで、何か呪文を唱えていたが、やがてソレが完全に消えると、がっくりと両手をついた。

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「あの。。。おじいさん。。。」

麻衣がおそるおそる話しかける。

静はぐったりとしたまま、目を見開き、微動だにしない。

「すまん。。。申し訳ない。。。アレは既にこの子を取り込んでおった。。。」

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「。。。え?。。。」

彩乃が震える声を出す。

「最後までなんとかしようと踏ん張ったんじゃが。。。取り込まれて、溶け込んでしまっておった。あれでは、もうどうにもならん。。。」

力なくおじいさんが言う。

静は動かない。

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「そんな。。。おじいさん、静は死んじゃったの?」

彩乃の言葉に、おじいさんは真っ直ぐに見つめながら、

「すまん。本当にすまん。わしの力が及ばんかった。」

と、力なく頭を下げた。

その瞬間、3人は声をあげて泣いた。

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あんなこと、しなかったら。

あたし達のせいで。

そんな思いが頭を埋め尽くし、先生や親達が来たのも気付かないほど泣き続けた。

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その後の事は、3人ともあまり覚えていなかった。

気が付くと、それぞれの家に帰宅していた。

しかし、あんな事件があった後で、平気な顔をして会えるはずもなく、3人の家族は、それぞれ違う土地へと引っ越してしまった。

その後、3人が再び会うことはなかった。

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大人になった紀香は、十数年ぶりに母校へと足を運んでいた。

何か用があったわけではなく、ただ、なんとなく。

だいぶ大きくなった頃に、静は廃人になったと聞いた。

あの時、なぜ、静だったのか。

自分や麻衣や彩乃ではなく、なぜ静だったのか。

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そしてなぜあの短時間で、静は取り込まれ、溶け込んでしまったのか。

今となっては、知る由もなかった。

夕焼けに赤く染まった校舎を、校門の外から眺めていると。

ふと。どこからか。

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かーごーめかーごーめー。。。

かーごのなーかのとーりぃはぁー。。。

いーつーいーつーでーやぁるー。。。

よーあーけーのーばぁんに。。。

つーるとかーめがすーべったぁ。。。

うしろのしょーめんだーあれー。。。。。。

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-FIN-

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番長wwwまずコメに一回必ず吹くよねwww

お母さんの作りかけの手料理に手を出して火傷www腰に蹴りwww

さすが番長のママン♡裏切らないね♪

そして無理くり作るとやっぱり「え。。」って反応が返ってくる事を身を持って勉強した姉ちゃんだよwww

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こんばんは!まりかちゃん。
私も、子供の頃に何気に歌って遊んでいた童謡が、実は意味が深く…と、聞いてからは、興味津々で調べまくったり、怖がったり…
かごめ…本当に色々な説がありますよね…
昔ながらの物を、現代の怖さとマッチングさせて、見事な作品を作り上げるまりかちゃんの才能に…
今からビール2本で乾杯です。

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まりか様
おはようございます(*´▽`*)ノ))
カゴメは色々諸説があって面白いですよね。
人柱を決める為の説、死者を呼ぶ説
確か
カゴメカゴメ籠の中の鳥はいついつ出やる→籠に入れられた者。死者の比喩で死者はいつ出て来るかという意味、もしくは生贄が見てる景色。出る時は殺される時
夜明けの晩に→死者の国とこの世が混ざり合う時
鶴と亀が滑った→長寿の生き物が滑った事により逆の意味、すなわち死の意味となる

後ろの正面、誰?→後ろに立ってるのは誰?
こんな意味だったかしらん(うろ覚え)

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私が小学校低学年ぐらいの時に見たテレビ番組で
「かごめかごめ」?(だったと思う)は埋蔵金の在りかを歌にした。と特番で言ってたんですけどね~(記憶曖昧)(°Д°)シ最近では降霊術って言われてるし・・・真実はどうなんでしょうね~(°Д°)

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