中編6
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ラブホテル

大学2年生の私は、バスケットサークルに所属している。

毎週、バスケットの活動の後、決まって飲み会が開かれる。

お酒が苦手な私はいつも飲み会には行かず、同じようにお酒が苦手なメンバーで活動後はゲームセンターや一人暮らしの子の家でDVDを見るなどして遊んでいた。

いつもと同じようにA君の家でBくん、Cくん、Dちゃんと私の5人でダラダラしていた。

その時は本当にあった呪いのビデオシリーズを見ていて(私たちは全員ホラーが好きで、そういうのばかり見ていた)、見終わった後にB君が

「今から心スポいかね?」

と言いだした。

実際に行ってみたこともないし、いつもホラービデオを「怖くないね笑」とバカにして見ていた私たちは満場一致で賛成した。

その日B君は車で来ていた為、彼の車で行くことになった。

A君とB君がネットで調べ、私たち女子3人は何も知らずに行こう!ということになり、着いてからのお楽しみということになった。

出発したのは23時。到着した頃には深夜2時を回っていた。

到着したのは、ラブホテル。

ほとんどその面影を残して立っており、もともとすごく素敵な建物だったのだろうと簡単に想像できる、お城のような作りで、ラブホテルとしてはとても大きなものなんだろうと感じた。

人の手が入らなくなった周りの木々が生い茂り、不気味な雰囲気を出していた。

到着すると、A君が、このラブホテルについての話を始めた。

昔、あるカップルがこのホテルに宿泊し、彼氏が彼女の首を絞めて殺害し、火を付けて逃げた、という事件が起こったという。

その火事では、他の部屋に被害もなく、事件のあった部屋を改装し、しばらく営業をしていたそうだが、「幽霊が出る」と噂が立ち、客が寄り付かなくなり廃業したらしい。

ホラー映画ばかり見てきた私たちにとって大して怖い話ではなかったが、現地の雰囲気もあり、私たちは皆興奮していた。

これからみんなでその事件の部屋に行き、お線香をあげて、写真を撮ってこよう!という話になった。

すると、急にCちゃんが気分が悪い、と言いだした。今日が生理中だと知っていた私とDちゃんはどっちかが一緒に車で待っててあげよう、ということになった。

私がB君の事を好きだと知っているDちゃんは気を使って、

「私がCといるから、3人で行っておいで!」

と言ってくれた。

そして、私と、A君とB君で、廃墟に入っていった。

中はとても広くて部屋数も多く、以外と綺麗で、暗い、ということ以外怖くは感じなかった。

それよりも私はB君に少しでもアプローチしようということばかり考えていた。

件の部屋の番号は、A君とB君が調べてすでに知っていて、4階だという。

当然エレベーターは使えないので暗い非常階段で、3人で上がった。

3階のところで、廊下から走っているような足音が聞こえ、私は「キャーー!」とB君にしがみついた。

2人は聞こえなかったようで2人にびっくりしながらも爆笑され、

「お前やめろよー笑」

と茶化された。

よく聞いてみると廊下には水漏れのせいか水が滴る音が連続して聞こえていて、私はそれを勘違いしたのかな、くらいに思っていた。

4階に着くと少し廊下を進んで、2つの角を曲がると1番奥の例の部屋の前に着いた。

「よーし入るぞ」

B君が開けようとした時、後ろからすごい勢いで誰かが走ってきた。

3人とも本気でビックリして振り返ると、

Cちゃんだった。

「なんだよ〜笑」

「お、来れたんだ。」

「Dは?」

と聞いたが、まだ具合が悪そうで、首を振るだけだった。

その時の私たちは特に気にせず、部屋のドアをあけた。

中に入るととてもゴージャスな部屋が広がっており、

「ここ高そうだな笑」

とA君もふざけていた。

みんなでいることもあり、そんなに怖くも感じていなかった。

B君がベッドの枕元にあった灰皿に、買ってきた線香に火をつけて置き、ベッドの上に移動させた。

すると、Cちゃんが

「そこじゃない。ここ。ここ。」

と、窓枠を指差して言った。

みんな

???

と思っていたと思う。

B君が「なんで?」と聞いても

「ここ。ここ。」

としか言わない。

「なんだよ笑 メンドクセーな笑」

と言いながらもB君が移動させ、みんなで形だけ手を合わせた。

Cちゃんは手を合わせずただ見ていた。

と思うと部屋を歩き回り始め、急に涙を流し始めた。

「なになに?!笑」

みんなで驚いて駆け寄っても首を振って

「ごめん、ごめん、ごめん、ごめんごめん。」という。

みんな始めは笑っていたが、明らかに様子のおかしいCちゃんを見て、憑依されたかもしれない。と思い、

「早くここ出よう。」

と言った。

2人も同意し、Cちゃんを連れ出そうとしたが動かない。

ただ涙を流し立ちすくしている。

「おい、Cいくぞ!!」

B君が怒鳴っても動こうとしない。

しびれを切らしたB君が無理やり引っ張ろうとしたが動かない。

「やばい」

直感でそう思った。

A君とB君が2人で無理やり引っ張ると、Cちゃんは直立した形のまま倒れてしまった。

しかし、倒れてもなお微動だにせず、涙を流して「ごめんごめんごめんごめんごめん」と言っている。

「とにかく運び出すぞ!」

B君とA君が2人でCちゃんを担ぎ部屋から運び出した。

担がれてる間もCちゃんの体は直立したままの形でピーーンとなっている。

相変わらず泣きながら謝り続けている。

必死で外まで出てくると、その様子を見たDが車から降りて、駆け寄ってきた。

Dちゃん「えっ!Cどうしたの?!」

A君 「お前車で一緒にいなかったのかよ!」

Dちゃん「吐きそうって言って降りて行ったから…」

とにかくこの場から離れたほうがいい

ということになり、みんなで車に乗り込んだ。後部座席の私とDちゃんの膝にピーンと固まったままのCを乗せるようにして。

すぐに車を出した。

ただ異様に固まり、泣き続けるCの姿に、私とDも恐怖と不安で泣いていた。

しばらく車を走らせ、明るい街に出て、コンビニに止めた。

すると、Cが眠りから覚めるように起きた。

「えっ私どうした?」

さっきまでの様子を教えても何も覚えてない様子である。

なんとかCも正気を取り戻していたので、私たちは状況を整理することにした。

まとめるとこうだ?

CとDを車に残し、私たち3人は廃墟に入った。

私たちが入ってから5分ほどたった頃に

「吐きそう…」と言って、Cが車から降りて行ったという。

廃墟の入りぐちの少し横の茂みに入っていったという。

しばらく様子を見ていたが、Dは携帯に気を取られていた。

遅いなーと思っていると、Cを担いだ私たちが出てきたのだという。

するとA君が

「Cが俺たちを追ってホテルに入ってきたとして、どうやって部屋まで分かったんだろう…」と言い始めた。

確かにそうだ。部屋はA君とB君しか知らず、4階だ、と知ったのも廃墟に入ってからだ。Cが知るはずはない。

しかも、4階まで上がって、かなり歩いて、わかりづらい位置の部屋だった…

後日、このメンバーで当時の事件について詳しく調べてみた。

図書館に行くと、当時の新聞記事も出てきた。

女性を殺害した男は、ホテルから逃走してすぐに確保された。

「口論になり、交際相手を首を絞めて殺害し、ベッドのシーツに火を付けて逃走した。」

と証言したらしい。

しかし、検死の結果、死因は煙を、大量に吸ったことによる一酸化炭素中毒死で、首を絞められたことによるものではなかったとのことだ。そして、遺体は窓の下で倒れている状態で見つかった。

男が逃走した後、まだ女性は生きており、首を絞められたことで気絶していたが、部屋が燃えていることに気づき、窓を開けようとしたが、ラブホテル特有の二重構造のため、開けることができず、そのまま絶命したと見られているらしく、その後のラブホテル等の建設法の見直しにもつながる事件だったらしい。

そして、その女性は

お腹に赤ちゃんがいたらしい。

お腹の新しい命を助けることができなかったことに、死の間際まで、涙を流し謝っていたのだろうか。

ごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんね

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ゆうき様
怖いけど、つい続きが気になって読み進めてしまいました…!
何も起こっていないという事ですが、こんな体験をしたら、
私だったらお祓いへ行きます。怖いので…(´;ω;`)

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ネタバレ注意

お祓いの必要は無いと思いますよ。
その女性の霊はたぶん今もホテルの部屋で子供に謝り続けてるだけだと思います。
まぁ~霊感零ですから読んだ感じでは悪意を感じないと思っただけなので、気になるなら信用できる霊感のある人を探して見て貰う方が良いと思います。
ただ探すにしても気をつけて下さいね・・・最近は色々な詐欺が流行ってますからね。

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