中編3
  • 表示切替
  • 使い方

阿部さん?

私が小学生の頃の話です。

多分あれは小学四年生だから四年前。

私はバイクに轢かれ、

病院に来て居ました。

と言っても、

バイクのスピードはそう出て居なかったし、

避けようとして私の自転車と

軽くぶつかった程度でした。

でも一応コケて

地面に叩き付けられて居た事、

バイクとぶつかった事などもあり、

私は大事を取って一日入院する事になりました。

周りはお年寄りばかり、

話し相手も無く消毒液臭く

白いその部屋がストレスになり、

私は一日中水やお茶をグビグビと飲んで居ました。

そんな事もあったからでしょう、

深夜消灯時間過ぎ。

ものすごい尿意に襲われた私は、

トイレに行く為、暗い廊下を歩くか、

このまま気のせいだと自分に言い聞かせ

眠るべきかで激しく悩みました。

しかし、

恐怖と言う意味なら見知らぬ土地(病院)で

四年生にもなって漏らす事、

それが何かの拍子にバレてクラスに広まる事の方が

私には恐怖でした。

ついにスリッパを履き、

意を決して薄暗い廊下を歩きます。

見回りなどは居ないのか、

私のスリッパのペタペタと言う足音だけが

辺りに響きます。

ようやくたどり着いたトイレ、

身体障害者用に作られたトイレは

いずれも引き戸式。

もちろん暗く先が見えない中、

そこだけ煌々と明るいトイレは恐怖でしたが、

ここまで来たのに

用を足さない訳には行きません。

涙目で深呼吸をすると

私は一番手前のトイレを開けました。

ガラガラ、

鈍い音、目に写るのは白い便器…

ではありませんでした。

入院服を来た30代後半のオジサン、

それが用を足して居る訳でも無く、

扉の前に立ち尽くして居たのです。

もちろん私は

男子トイレと女子トイレを間違えるなんて

凡ミスはして居ません。

私は一秒唖然。

もうその一秒は永遠にも感じられました。

しかしその瞬間、

そのオジサンは

私の腕をがっしりと掴んで来たのです。

『わせっ、うわぁぁぁぁ!!!』

奇声を発し、

パニックを起こす私、

そのままの勢いで

運良くオジサンの腕を振り払うと

私はスリッパが脱げた事も気にせず

自分の部屋目掛け走り出しました。

後ろからは明らかに誰かが追いかけて来る音、

足が悪いのか

ズルズルと足を引き摺りながら走るその音は、

逆に言い知れない恐怖を私に与えます。

しかし正直健康体だった私は、

もちろん足が悪い相手に追いつかれる訳も無く

そのまま自分の部屋に滑り込むと、

見ず知らずの隣りのベットに眠る

お婆さんに泣き付きました。

そこから部屋は大騒ぎ、

泣く私を宥めたり

変質者が居るからと次の日には

トイレに看護師さんが見に行ったりと

ちょっとした事件になりました。

その後足が悪い三十代の男性、

という情報から一人のオッサンが捕まり、

私と両親に謝りに来ました。

幽霊話ではありませんが、

人間の変質者も恐ろしいですね。

私、あの時掴まってたらどうなってたんでしょう?

読みにくい文章を読んでいただき

ありがとうございます。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

Concrete
コメント怖い
0
1
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ