短編2
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デジタル時計

朝10時開店と共に、親子連れと思しきお客が来店した。

ここは小さなレストラン。

ボックス席が3席、あとはカウンター席という狭さだ。

狭さを誤魔化すために、一番奥には鏡がしつらえてあり、偽の奥行きを出している。

父親と小学生くらいの女の子だろうか。親子連れは、女の子が奥に、その真横の通路側に父親が座った。

この平日のこの時間に小学生が何故?学校行事の振り替えかしら?などと思いつつも私は、オーダーをとりにいった。

「いらっしゃいませー。ご注文はお決まりですか?」

暑苦しい格好。まだ暖かいのに、父親と思われる男は袖の長いコートを着込んでいた。

「コーヒー、ホット一つ、それと、カナコはどれにする?」

カナコと呼ばれた女の子は顔色が悪かった。具合でも悪いのかしら?

何故か女の子は、ランドセルにつけていたキーホルダー型のデジタル時計を外し、鏡に向けてテーブルに置きながら、

「オレンジジュース」と小さな声で言った。

「それだけでいいのか?何か食べればいいのに。」

父親は女の子にニコニコ笑いながら問いかけると、女の子は首を横に振った。

「じゃあ、それだけで。」

「かしこまりました。」

私が去ろうとすると、女の子は縋るような目で私を見て、盛んに鏡に向かって目配せをした。

私は、気になり、鏡のほうを見た。

あっ。

私は、声が出そうになるのを押さえて何食わぬ顔で、マスターに注文を告げた。

「お待たせしました。」

私は注文の品をトレーに乗せて、まずは奥にいる、女の子の前に、オレンジジュースを、そして、ホットコーヒーを父親の前に。

そして、私は狙い済まして、父親の前のテーブルにコーヒーをぶちまけた。

「あっちち!」

男は思った通り、立ち上がった。

「あらぁ、お客様~。申し訳ありません!」

その瞬間、脱兎のごとく、奥にいた女の子が席を立ち、私の後ろにしがみついた。

「てんめえ、このアマ!何しやがる!」

父親が私に右の拳をあげ、殴りかかってきた。

すかさず、私はその拳を受け止め、右手をねじり上げた。

そして男のコートのポケットから、ナイフを取り出した。

「あら、嬉しい。アマだなんて。つい1ヶ月前にアマになったのよ。私。でも、お客様?危険物のお持込はお断りしますぅ。」

そう言うと、ナイフを床に投げ捨て、遠くに蹴り飛ばした。

ヒールのかかとで男のつま先を目いっぱい踏みつけ捻り上げた右手をちょいともう一捻りすると、男はぐるりと一回転し、背中から床に落ちた。

「そして、合気道五段。由紀(よしのり)は元の名前。今は由紀(ゆき)って呼んでね♪」

テーブルの上の女の子のデジタル時計は2時02分を指していた。

Concrete
コメント怖い
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ロビンM太郎.com様
暗号まつ・・・ゲフンゲフン
な、なんでもないですよー

済みませんけど。

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光道 進様
コメント、怖い、ありがとうございます。
私のは創作ですが、そちらはノンフィクションですか!
拳銃の無い国に生まれてよかった。

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実の親が誘拐ですか?
アメリカでも良くありますね。
メキシコに居たとき、カリフォルニアに買い物に行く飛行機の中で
同じような、別れた男親が相続権をめぐり、子供を誘拐してポケットに
デリンジャー「小型拳銃」を隠し持っていて、子供が飛行機内のトイレに入ったときに
親はFBIに取り押さえられて、飛行機内は騒然としてました。
メキシコから乗り込むとき、すでに手配書が回っていて、女の子でしたが男の子に男装している
のを確認その上で、拳銃を持っているのも確認していて、機内で捕まえました。
おとり捜査と言ってましたが、もし飛行機内で拳銃を発射していたら、大惨事でした。
FBIは一発や2発の小型拳銃の弾で飛行機は墜落しないと記者会見してました。
怖い国、アメリカです。

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初めまして。
無事解けました(;^_^A
大昔…某TV番組で聞いた曲を思い出しました。
『兄は夜更け過ぎに ユキエに変わるだろう』
多分知ってる方がいらっしゃるかな?と(笑)
気になる方は「ボキャ天 山下達郎 クリスマス」で検索を…。

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