短編2
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動く墓石

大学に行き、初めての夏休み

アルバイトをしながらどこまで行けるかと言う

旅を思いついた。

当てはないが私の育った山形まで行く旅だった。

最初は郡山の山の山林伐採のアルバイトだった。

本当に大木を切り落とすのではなく、

伐採した、木の枝をハラウ仕事だった。

夕方まで働いて、4500円悪くない。そう思うと

身が入り本気になり夢中で枝を刈った。

夕方日当が支払われた。お金をもらうと

親方に「明日も使ってくれますか?」と聞くと

2つ返事で、「いいよ」と言ってくれた。

枝はらいをする場所の近くに古屋があり、

私は「この部屋で寝れば宿代が浮く明日また山に登る手間も省ける」

そう考えると親方や人足が下山するのを見送った。

もちろん親方やそこの職員は、知らない。

私はリュックから、昼の残りの弁当を出すと食い始めた。

古屋といっても荷物が入り伐採の道具が入り、人一人が横になるスペースが

1.2mmほどあるだけだ。

電球もない、真っ暗な物置の隙間から見えるのは

時々月明かりで見える周りの山の影と木の影だけだった。

戸を閉めて寝たのは8時頃だったと思う。

隙間だらけのドアを閉めて、しばらく神経を寝る方に集中すると、

いつの間にか眠っていた。

どのくらい寝たか覚えていない。

フト目が覚め周を確かめると、また目を閉じた。

そして、5分ぐらい「バターン」という音と共に

突然ドアが風でゆすられて開いた。

寝ぼけ眼で、開いたドアの外を見ると、周りは墓、墓、墓,墓

月明かりに映っている景色は、伐採所ではなく

墓の山だった。

私は自分の目を疑り、何回も何回も目を擦った。

「寝ぼけているのではない。現実だ」と思うと怖さが蘇った。

墓のほとんどは、土に半部埋もれているもの、砕けているもの、

完全に倒れているもの、さまざまである。

何か、別の世界に迷い込んだような、錯覚さへ覚える。

「昼間は伐採場で墓など見えなかった。」

自分に何度も言い聞かせた。

我に返るとリックを背負い、この場所から逃げることを考えていた。

小屋を後に墓の間を、擦り抜けるように下山するであろう道を見つけるべく

歩いた。

しかし、いつまで歩いても、足のそばに墓石が残っている。

もう5km以上は歩いた。

どうして墓が?

私に墓が着いてくるように感じた。

ふと、足もとの墓石の戒名を見た。月明かりに照らされて、

読んだ戒名は読めないような漢字が並んでいた。

「もしかすると、ここは地獄か?そうするとおれは死んだのか?」

そう思って、墓石の前で屈みこんだ。

すると、眩しい明りが私を包んだ。

声が聞こえた。

「あなた、何をやってるんですか?」

頭を上げるとパトカーから降りた警察官だった。

「周りに墓が」と言いかけ周りを見ると、

墓は無く国道の真ん中でしゃがんでいた。

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よもつさん
怖いとコメントありがとう御座います。
幻覚と思える体験が多いです。
しかし、文にすると怖くないのが現実です。
よもつさんは霊感0ですか?
でも、あんなに怖い話が書ける。これは色々な本を読み
いろいろな分野屋を調べて書いておられる。
私には真似ができません。というと経験と体験しか書けない。
よもつさんはすばらしいと思います。
私も、冷やかし半分で見ますが、のめりこみますね。
ぜひ来年の色々な大賞に応募してみてください。
私でさえ、入賞は逃しましたが10人の候補に入りましたので、
角川はきっと、大賞を狙えるかもしれません。

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