中編5
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数え歌

「ひふみよ いむなや こともちろらね しきる ゆゐつわぬ

そをたはくめか うおゑにさりへて のます あせえほれけ」

この神歌は天照大神が天の岩戸に隠れたとき「天鈿女命」が

岩戸の前で楽しげに神舞を舞うときに謡われた歌です。

清音で謡われるように構成されており、

「神霊を慰め万の災いをして幸いに返さずということなし」と言い伝えられ、

神話とされていた、学説を覆し童謡の原点とも言われていた。

色々な解釈が展開して、

宇宙創造の原理を要約したものとの説もあるようです。

数え歌

私は小さなときから、おばあさんに「ひ、ふう、み、よー、いつ」

と言う数え方を教えられて小学校に上がるまで

この数え方が正しいものと考えていた。

しかし小学校や幼稚園では、現代数字の数え方に変わり、

私もその数え方を次第に忘れていった。

18歳の大学受験のときである。

試験勉強は毎日夜中の2時までに及んだ。

毎日、毎日の受験勉強の中、英語や国語が頭の中で

渦巻いて、頭痛の現因を作り出していた。

しかし、時々母や祖母が運んでくれるおにぎりや

お菓子が楽しみでした。

ある時、頭痛が頂点に達して机に向かい

気を失っていました。

発見されたのは朝方で、

救急車で運ばれる羽目になりました。

父や母は一人息子でも在り,猛勉強はしないようにと

大学のランクを下げて受験をする願いを高校に提出しました。

しかし私には不満が残りました。

親は「家業の旅館や飲食店を継ぐのにそれほどの頭はいらない。

安定した収入があれば問題は無い」という事を考えていたようです。

私は大学のランクを下げた事でかなり楽になり

勉強もさほどしなくても入れるレベルで対応してました。

そしてこの日を境に、私の体や回りに異変が置き始めた。

そんなある夜。

おばあさんの歌声らしき歌が、私の部屋に聞こえてきました。

私は、懐かしくその歌を聴きながら転寝を始めていました。

「ひい、ふう、みい、よー、いつ、むう、やー」その声は

軽やかに時には荒々しく、私の耳に響きました。

私はいつの間にか深い眠りに着いてました。

何時間寝たのか私の脇には、一人の女性が立っている

気配が感じられました。

それは、誰なのか追及するまでにはいたらず

朝を迎えていました。

そんな日が2日間続きました。

3日目になると私は落ち着かなくなり

夜中に現れる女性を確かめてやろうと考えてました。

明くる日の午前2時。

電気を消して私は寝ないで待ってました。

またあの「ひい、ふう、みい、よ、いつ、むう、なな、やー」

という歌声がかすかに私の耳に聞こえてきました。

私は「来た」と思い、布団の中で待ち構えました。

障子が開き人の気配がします。

私を捜すように畳を摩る足音が聞こえます。

私の寝てる布団まであとわずかと思い

私は布団を自分ではがしました。

と、そこには赤い着物姿の真っ白い顔の少女が立ってました。

少女の様子からすると、今現在の服ではありません。

その容姿はどう見ても江戸時代かそれよりも後の時代でした。

片手には手鞠を持ち、私の様子を見ると驚いているようでした。

そして5分ぐらい私と少女は何も言わないまま

布団の脇で見つめていました。

私が行動に出ようとすると耳鳴りと金縛りが同時に来て、

少女を見つめているのがやっとでした。

そしてようやく私を見るのを辞めたとき少女の頭のところに、

目が行きました。

頭の髪の毛が三分の一ほど無くて割れていたのです。

脳みそが見えました

頭の静脈が波を打ってる姿が目に入りました。

私は布団からのけぞるように転げ落ちました。

その直後に少女は消えました。

親やおばあさんにそのことを話すと

親は「頭が昔の頭でまだつらい受験を思ってるのか?」

と慰められました。

しかしおばあさんに「ひ、ふ、み、の歌が聞こえた」

と言うと黙って、自分の部屋に引き返しました。

その日を境に毎日私の部屋にその少女は現れては

朝まで居て消えました。

少女が部屋に来ると耳鳴りと頭痛が起きるので、

すぐわかりました。

お経を拝むのですがお経はその少女にはまるで通じないのです。

今まで色々怖い目に合いましたが、お経を拝むたびに

対外の霊は退散してゆきました。

私は毎日寝る事が出来ない為に、目の下にはクマができて、

半病人のようになりました。

おばあさんはそのつど着て、慰めてくれましたが

この幽霊を追い払う知恵は無いようでした。

しかし、孫が苦しむのが見てられなくて、

どこかで聞いてきたのか、あることを教えてくれました。

「もしかすると一二三祝辞の経を唱えると

退散するかも知れない」と教えてくれました。

おばあさんは「しかし、どうしてお前の前にだけ出るのか?

この家には呪われる様な事は過去に一回も無い。

だから、その少女に聞いてみなさいと教えてくれました。」

「私が力を貸せばいいのだが、見えないものには

手助けは出来ない。一人でがんばるしかない」と

教えてくれました。

その日の夜。

また「ひ、ふ、みー,よ、いつ、む、なな」と

あの数え歌が流れる中

現れまた女の子は消えてゆきます。

私は昼に図書館に行き、「ひふみ祝辞」を勉強しました。

と言うか、あの幽霊と対決する為に。

「ひふみよいむなや、こともちろらね。しきる、ゆゐつわぬ、

そをたはくめか、うおえ、にさりへてのますあせる、ほーれーけー」

この呪文を3回唱えると悪霊は退散すると言うものでした。

おそらく、あの少女は頭の傷から考えると

投身自殺をしたか鉈のようなもので、殴られたのではないかと

思えるようになりました。

後は、どうして私のところに出てきたかです。

私は、呪文を唱える前にこの疑問を少女に投げかける事を考えました。

その日の夜。

私は、布団をかぶり起きてました。

そうして、午前2時が過ぎたころ

また、音楽が流れて私は耳鳴りと頭痛が始まりました。

その日は、なぜか今までよりひどい痛みでした。

少女は知ってか知らずか,

何時もより穏やかな顔立ちでした。

私は布団をはがし、少女と向かい合う形になり、

私は心の中で、「どうして私にだけ現れるのか」と問いました。

すると少女は「お兄さんだから」と小さな声で答えました。

私は、面識もないはじめての幽霊なのにお兄さん???

もう一度確かめました。

「本当に私がお兄さんですか?」と。

すると少女は私を見つめて、

また私の頭に頭痛を浴びせてきました。

私はたまらず、あの祝辞を唱え始めました。

目をつぶり少女に言い聞かせるように

3回目の経を唱え終わると少女は消えていました。

私は「2度と出てこないように」と願いました。

翌朝、おばあさんの部屋に行き報告しました。

おばあさんは「お前は本当にたいした孫だ」とにこやかに

ほめると、仏壇に向かいお経を上げて、少女の冥福を祈りました。

しかしあの少女は、私を「お兄さん」と言った。

本当の真相は判らずじまいでした。

色々なお経がある中で、

「一二三祝辞」は特別な新興宗教の経だと感じました。

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トドさんコメントをいただきありがとうございます。
おばあさんは、良く言ってました。
(自分で拾って来たものは、自分で始末しなさい。そうしないと、成長しないと)

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