中編5
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山小屋

山小屋

人には色々な波長がある

特に怖いのは霊的波長である。

私は、いつもこの波長に怖い思いをさせられる。

お化け屋敷、お墓、物が集まるところどこでも

波長が合う。

その中でも怖かったのは、山の上で、遭難者の波長に

合ってしまった時だ。

私は友達2名と一緒に奥羽山脈の宮城側の蔵王から登り

山形県側の西蔵王に抜けるコースを2日がかりで

登山する計画を宮城側の登山事務所に提出して

出かけた。

コースはハイキングコースを抜け登山道に昇り、

その後お釜を通り地蔵岳に抜けるコースでした。

一日目は地蔵岳の山小屋に一泊する事にした。

私は地元だったので、コースは何回も抜けていたので

そう疲労はたまらなかったが、仲間2名は不慣れもあり

疲れ切っていた。

山小屋には、この日は誰も居ない状態で、3人はのんびり気を使うことなく

ゆっくりした。

持ち込みのアルコールで、火をつけて山小屋の近くの乾いた薪を集め

燃やし炊事の支度をしている最中だった。

山小屋の窓を誰かが横切ったような気がした。

私は仲間に「今、窓の外を誰か通らなかったか?」と仲間2名に聞いた。

二人とも「お前の気のせいだ。」と口をそろえて言った。

しかし、夜更けになるにつれて私の周りに誰かの気配が一人ではなくて

大勢の人が、山小屋の周りにいることを感じ始めた。

そんな心配とは裏腹に、

二人は寝袋に入るとぐっすり寝てしまった。

私はその気配で眠るどころではなかった。山小屋の部屋の周りを

私は気配がしない所を探すためにうろうろし始めたが

囲まれているかして無駄だった。

だんだん、疲労がでてきた私は腹立たしくなり、戸を開けて外に向い

叫んでいた。「眠らせてくれ」その声とは裏腹に

気配ではなく、モヤは大勢の死人であろう姿になり戸の入り口にいる

私の目の前に現れた。

それは、数十人に及んだ。

私は震えあがり、戸を閉めた。しかしもう遅かった。

山小屋の中には、すでに5人ほど死人が入っていた。

私は金縛りにあい、突然硬直し動けなくなった。

その私の1m離れたところで、仲間2名はすやすやと寝ている。

私だけどうして?

そう思うよりも先に私の体に「ドーン」という衝撃を受け

死人の一人が入ってきた。

その途端、私の体は凍りついたように冷たく感じた。

私の体の中で,誰かが話した。

「何て、温かいんだ。この温かさは答えようがない」

私は驚き動けなくなった体の中に話しました。

「私の体から出てください、お願いします。」と拝む様に頼むと

「ドーン」と言う衝撃と共に私の体から離れてくれた。

死人に心の中で「ありがとう」とつぶやくと、

私の金縛りが解けた。

しかし、足が地面に吸いついたようになり私は相変わらず動くことが出来なかった。

その足元を見ると地面から手が出ていて、私のくるぶしの上を掴んでいた。

私は、どうすれば、助けてくれますかと頼んでみた。

すると、先ほど私の体に入った男が答えた。

「家の中の5人も外の大勢も、みんなこの蔵王で遭難したり、事故で死んだ人だ。

みんなともらいもしてもらえず、この山の中や谷底をさまよっている。

私はもう15年以上さまよい続けてきた。もう疲れてどうしようもない。

助けてくれないか?」と言うと外の闇に、5人を連れて出て行った。

足首をつかんでいた死人も

「きっとだよ」と言うと足を放して消えた。

窓の外を見ると大勢いた死人も見えなくなった。

私は一息つくと仲間を起こした。しかし、眠りについた

仲間2名は眠りが深く全然意識がない状態だった。

揺すっても眠りから覚めない。

私の頭の中はパニック状態だった。

「神様助けて下さい」と祈ったが無駄だった。

東の空が明るくなり始めた。

私は、気を取り直して助けを呼びに

山形側に下山することを決めた。

仲間を残し一人下山はさみしいし

心細い。

しかし、仲間を助けなくてはいけない。

そう思うと、下山の足も速まった。

もう蔵王のロープウェイもまじかに見えた。

周りには登山客が少しずつ増えてきた。

蔵王神社のあたりまで来ると住職らしき人が

門前を掃除していた。

私はすかさず、歩み寄ると住職に話した。

仲間のことや死人の事を細かく話して

一緒に同行してほしいと頼んだ。

住職は快く引き受けてくれて一緒に

山小屋目指して、歩き始めた。

私は往復するのに、疲れを忘れていた。

ただ、一審に仲間の事が気になっていた。

4時間住職と蔵王山に登りようやく地蔵岳の山小屋が見えてきた頃には

夕暮れになっていた。

住職と二人小屋に入ると、二人は眠ったままだった。

寝袋の中でスヤスヤ寝ていた。

住職も起こしたが起きない状態だった。

住職は「私にどうしろと言うのか?」と私に聞いてきた。

「とりあえず、夜になるのを待って、死人を見てください。」

二人は住職が用意した握り飯を食べ夜が来るのをまった。

8時を回ったころ、表にまた、あの騒がしい音がし始めた。

住職にも聞こえるらしく、表をガラス越しに見ていた。

私は「もうすぐきますから、お経をお願いします。」と言うと

身構えて待った。

部屋のランプが風も無いのに消えた。

住職は、お経を唱え出した。

私は、住職の後ろの方に身を寄せた。

戸が開き、また5人が入ってきた。

住職が驚いて途中でお経を辞めた。

私はすかさず、「住職お経を辞めないで」と言うと

私も一緒に拝み始めると、

死人はわたしに向い「本当に約束を守ったな」と言うと

寝ていた二人に一人が頭に手を触れた。

その直後、二人は目を覚ました。

しかし二人には、今の状況が全く分かってない。

それに死人が全然見えていない。

住職と私は、そんな二人を置いて

お経を唱え通した。

私は外に出て、送り火を作り火をつけた。

住職とまたお経を唱えること1時間

死人は徐々に一人また一人と消えていった。

最後に一番、霊が強いであろう死人が、残された。

住職とその死人をはさみお経を唱えること10分

徐々に死人の体は消えて行き

やがて、送り火が消えかかるころ

蔵王山の東側が明るくなり始めていた。

私たちは、明るくなった山小屋を後に

下山した。

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