短編2
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おばさんと肝試し

この話はフィクションです。

ある小学生たちがお寺に集まり肝試しをする事になった。

ルールは墓地の周りを一周して戻ってくること。無論ひとりで。

最初ははしゃいでいた子供たちだったが、いざ不気味な墓だらけの風景を見るとさすがに皆、弱腰になり誰も一番手を嫌がった。

するとひとりの男子が

「これじゃあ、いつまでも肝試しをやれないな!よし!

実は昼間オヤジから一万札をもらって瓶に入れてこの墓地の岩の上に隠してある。それを見つけて帰ってきた奴に、それをくれてやろう!

思わぬ大金を手に入れるチャンス!弱腰だった皆は人が変わったように一番手を競いあった。

仕方なしにくじ引きで順番を決める事に。

皆でわいわいしていると遠くから独りの少しやつれたおばさんが話しかけてきた。背中には赤ん坊。

「あんたたちの話…。私も少し近くで聞いてたんだけど。まぜてくれないかい?子供のミルク代が欲しいんだよ……。

悩むメンバー。結局、おばさんを哀れに思ったメンバーはまぜることにした。

くじ引きの結果。おばさんが一番手に。

「何かあるといけないから。

女子はおばさんに古い手鎌(てがま)を渡した。

ロウソクの火だけをたよりに墓地の奥へ奥へと足を踏み入れる。

とうとう子供たちの声援が聞こえなくなるとシン……とした墓地は不気味な空気に包まれた。

息を殺すおばさん。恐怖感に脅えながらも子供のためにと、突き進んだ。

どれくらい歩いたろうか?以前、墓地の空気は変わらない。まもなく、瓶が置いてあるという地点に近づいた時だった!

ぐいっ…………………。

後ろから何者かが髪の毛をひっぱった!

恐怖心をこらえなくなり、おばさんは鎌を後ろの何者かにふった。

「はなせえっ!!!

ザクっ………………。

異様な音と共に髪の毛が離された。

おばさんは後ろを振り向きもせず走り出した!

あれか!

岩の上に置かれたお札の入った瓶をひったくるようにとると無我夢中で走り、スタート地点へと戻った。

「すごいね!おばさん!どう?瓶は見つかった?

「(息を切らしながら)

ああ見つけたよ。これの事だろ?約束どおり。ミルク代としてもらうからね?

わいわい騒ぐ子供たち。その中の一人の女子が言った。

「おばさん、背中が真っ赤だよ?

ザクっ…………………。

あの時、おばさんの髪の毛をひっぱったのは。

今はすでに首のない赤ん坊だった。

怖い話投稿:ホラーテラー Lさん  

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