中編3
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御神木

 視覚障害者を支援する団体で活動しているFさんから聞いた話。

Fさんの親友にRくんという高校生の息子がいた。Rくんは素行に問題があり、学校にもろくにいかず同年代の友達とバイクを乗るサークルを作り毎夜走り回っていた。このことにはFさんの親友も大変に困っていたという。

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 ある日、Rくんが友達と集まり度胸試しをするかという話題で盛り上がっていた。そして隣町のM神社に伝わる龍神が生まれ変わった御神木を見に行こうということになった。

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 夕方頃にM神社に着き御神木を探したところ、それは一目でわかった。

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あまりにも大きく、また年齢を重ねたことも一目でわかる巨木は誰が見てもこれが御神木と思わせるような雰囲気があったという。

皆がこの木に圧倒されている中でRくんはこう呟いた

「ただ見てるだけじゃ度胸試しにならないだろ、俺が見本を見せてやるよ」

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 皆、Rくんが何をするのかと黙って見ていたら、ナイフを取り出し「これで木にサークルの名前彫るんだよ、俺らのサークルも龍の名前入ってるから龍神の生まれ変わりのこの木に名前彫るのは縁起がいいはずだ」

 流石にこれにはRくんの友達も全員で猛反対したが、Rくんはそれを聞き入れず御神木にナイフを突き立てた。

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shake

 

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突き立てた瞬間、ナイフが刺さった個所から水が飛び出して勢い良くRくんの顔にかかった。

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Rくんも突然のことに驚きすっかり怖くなり、もう帰ることにした。そして問題はその後に起こったのであった。

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 次の日、Rくんの両親は突然に絶叫にかなり驚いたという。出所はRくんの部屋から、慌てた両親がRくんの部屋に入ったところ、そこにはRくんが両目を抑えてうずくまっていた。

shake

 「目が!!目が痛くて開けられない!!」

 すぐに救急車を呼び病院で医者に診てもらった、酷い炎症を起こしているので薬を付け安静にしてなさいということであった。

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 しかし少しは良くなったものの何時まで経っても完治はせず、これには両親も何かおかしいと思い始めRくんに目が痛くなる前に何をしていたのかを詳しく聞き出すことにした。

Rくんもあまりの痛さにこれは御神木にナイフを突き立てた罰だと思うようになり、度胸試しで友達と一緒に隣町のM神社に行き、そこの御神木にナイフを突き立てたことを全て正直に喋った。

 この罰当たりな行為にはRくんのお父さんもかなり怒り、Rくんと度胸試しに行った友達全員を連れてM神社に向かった。

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 M神社の御神木の前に着いた早々お父さんが「お前らこの御神木に謝れ!!許してくれるかどうかは分からないがまず謝れ!!」と怒鳴った。

 普段なら親への反抗的な態度を見せるRくんも素直に従い、友達も一生懸命御神木に向かい謝ることにした。

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 それからしばらく皆で謝っていたとき、何処からともなく黒い背広で髪もきっちり整えている、真面目なサラリーマンといった風体の男がRくん達に話かけた。

 「次はないからな」

 それだけを言い残すとその男はフラッと他の方へ去って行ってしまった。

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 Rくんのお父さんも何だったんだと呆気にとられていると、うずくまりながら謝っていたRくんが何も喋っていないことに気付く。これは何かあったのかとRくんに駆け寄りだしたところ、

shake

 「目の痛みが引いてきてる!!」

 と言い出してRくんが急に起き上がった。お父さんや友達もみんなRくんが治ったことに泣いて喜んだという。

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 この話をしてくれたFさんが言うには、先ほどのサラリーマンのような男の人は龍神様の仮の姿でRくんは何とか許して貰えたんじゃないかということであった。

もっと詳しく話が聞きたかった自分はRくんに会ってみたいとFさんに頼んでみた。するとFさんは非情に困った顔をしてこう呟いた。

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 「Rくんね……今うちの団体のお世話になっちゃってるし、詳しい話は聞けないと思うよ」

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