短編2
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あがっ…

私は6ヶ月ぐらい前から一人暮らしになりました。

それまでは、彼氏と一緒に同棲していたんです。

日々、ケンカなども特にしなかったし、普通に仲良く二人で生活していました。

私は、前向きで頼れて、いつも陰から私を支えてくれる彼のことが大好きだったんです。

ただ1つだけ…彼に対して直してほしいことがありました。

トイレをした後、便座を上げたままにすることです。

本当にたいしたことじゃないんですが、、、

私的に、便座が上げたままになっているのが嫌で…

ちゃんと直してほしくて、直接彼に直すよう言いました。

すると彼はただ笑って話を流すだけで、まともに話を聞こうとしてくれません。

…そんなある日、衝撃的なことが起こりました。

私の彼氏が交通事故で亡くなったんです。

自動車と衝突して5日間意識不明。

その後、一度も意識が戻ることなく、彼は静かに息をひきとりました。

本当にいきなりのできごとです。

私は現実を受け止めることができず、彼との思い出がたくさんつまったこの部屋で、毎日のように大好きだった彼のことを想い泣くばかりでした。

彼が亡くなってから6日後の一人の夜、不思議なことが起こりました。

私自身、別に霊感があるわけでもないのですが…

私が夜中寝ていると、トイレから

「ジャーーー」

と、水が流れる音が確かに聞こえてきたんです。

もちろん、家には私以外誰もいません。

それから頻繁に、毎日のように夜中に勝手にトイレが流れるようになりました。

こんなことが起こったのは初めてのことです。

彼氏と同棲していた頃も、そんな夜中に勝手にトイレが流れることなんて一切ありませんでした。

さすがにそんな頻繁に起こると怖いし…水道代も絶対にヤバイ!と危機を感じた私は、ビビりな自分を奮い立たせて

『今度こそ次起こったら見に行ってやる!!』

と決意していました。

決意した次の日の夜中………

「ジャーーー」

やはり今まで通りトイレは勝手に流れました。

恐る恐るベッドから這い出た私は、一歩ずつゆっくりとトイレに近づきます。

水の流れる音が止まったのと同時に、私は勢いよくトイレのドアを開けました…!

今この話を読んでいるほとんどの方々…展開を予想できてるのではないでしょうか………。

上がってたんですよね。

場所がトイレで、「上がっていた」と言えばもちろん…

便座が。

私は今一人暮らしの状態なわけで、、、ましてや私が便座を上げてトイレをするハズがない。

…私は確信しました………。

トイレを流していたのは死んだ彼だと…。

私が彼だと確信した日から、もう夜中に勝手にトイレが流れることはなくなりました。

もちろん、彼の分もキッチリと水道代が上がっていたことは、言うまでもありません………。

怖い話投稿:ホラーテラー 優奈さん  

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