中編4
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乳母車

乳母車

私に女の子が生まれました。

名前は美咲です。

この子を抱いて散歩するのが楽しみでした。

そうこうするうちに美咲も重くなり遠くに行くときや

散歩のときは腕や腰が痛くなり始め

妻と相談して乳母車を買うことにしました。

色々探しましたが適当なのが見つからず

町をウロウロしてました。

夕暮れが近くなり子供と3人家路に着く途中

廃品回収の置き場に乳母車がホコリをかぶり

捨ててありました。

私はこれ幸いと乳母車を色々な方向から眺め

壊れてないことをいいことに

「タダだ。拾って帰ろう」と妻に言いました。

妻は「新しいのを明日買いましょう」と言うと

子供をつれて歩き出しました。

私もそのときは「そうか」と納得して帰宅しましたが

どうもあの「乳母車」がもったいなくて

もう一度夜出かけて拾ってきました。

次の日の朝。

早く起きて昨日拾った乳母車を丁寧に洗い乾かしました。

洗うと意外と新しくタイヤは新品同様です。

「儲かった」とその時思いました。

次の日から子供を乗せて公園を散歩して歩きました。

乳母車の色は全体が赤と黒い縁取りがあり

遠くから見ると新品のように見えました。

妻は何か不機嫌そうな顔で

「この車またもとの廃品置場に戻しましょう。」と言って考えを変えません。

私は「磨いてこんなに綺麗なのに、もったいない」と言い

妻の言うことを聞きませんでした。

そして夕暮れになり公園から帰宅する途中。

妻が「お腹が痛い」と言い出し道路にしゃがみこみました。

私が乳母車から手を離し妻に近づいた時です。

坂でも無いのに乳母車がひとりでに動き出しました。

手を離したのはほんの1分ですがもう20mぐらい走ってました。

私は道路に伏せる妻を置いて

乳母車を止めようと走り出したそのときです。

道の横から車が出てきて活きよいよく、私を撥ね飛ばしました。

私は思い切り道路にたたきつけられ意識が無くなりました。

気がつくと病院のベットでした。

妻が子供を抱いて心配そうに私を見ていました。

私はベットから起き上がると「どうしたんだ」と尋ねました。

妻は痛いお腹を抱えながら乳母車と私を目で追っていたそうです。

すると乳母車を押して誰かが足早に歩いていくのが見えたと言った。

私は勝手に乳母車が動き出したのを停めようと、駆け寄ったとき

車に跳ねられたと言うことです。

私の目には「乳母車はひとりでに動き出した」としか見えなかった。

妻は「確かに誰かが乳母車を押していた」と言う。

そうこうしてる間に

病院側では「もう心配要らない帰宅して通院しなさい」と言われ帰宅した。

帰宅すると誰が戻してくれたのか乳母車が玄関に置いてあった。

妻は「早くこの乳母車を元の廃品に返したほうが良い」と言い出した。

私も少し怖くなり返すことにした。

夜10時を回ったころ。

乳母車を引いて元の廃品置場に差し掛かったとき

後ろから声を掛けられた。

振り返ると年は70歳ぐらいの男の人が立っていた。

「その乳母車どうかしましたか?」と話しかけてきた。

「こんな夜に老人が歩いてるのは不自然だ」と思いましたが

話しかけられたので正直にわけを話しました。

老人は「やはり」と声を漏らしました。

老人が乳母車を捨てたことを話してくれました。

老人は話し始めた「その乳母車を買い物車代わりに妻が使って

毎日買い物に出かけていました。ある曇り空の日。

帰宅途中、車に跳ねられ死亡した」という事を

話してくれました。

私は「すまないことをした」と思い老人に謝り乳母車を返しました。

するとにこやかに微笑んで引き取り

まるで老人の妻がその乳母車のように寄り添い

暗闇の中に消えてゆきました。

安心した私は家に戻りその夜はぐっすり眠りました。

翌日、昨日帰したはずの乳母車が家の前に置いてありました。

昨日「確かに老人が持っていったはずなのに」と思いまた

廃品置場に戻そうと置き場の近くまで着た時、

また別の若い夫婦から声を掛けられました。

「その乳母車どうしたのですか?こないだ捨てたばかりですよ。」

私は昨日の今日で、私のほうから聞きなおしました。

すると若夫婦は話し出した。

「以前お父さんとお母さんが帰宅途中交通事故に遭い

二人とも亡くなった。」と言うことでした。

私は「昨日確かに老人に会ってこの乳母車を返した」と言うと

若夫婦は「家に来てくれ」という事でその家に向かった。

仏壇を見ると仏壇の脇には夫婦そろってにこやかな写真が飾ってあった。

その写真をよく見ると昨日夜、話した老人が映っていた。

私は「呆然」とその場に立ったままだった。

そして寄り添う脇には、あの乳母車が映っていた。

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はるさん
コメントありがとうございます。
そうです。古いものや愛着を持って残ったものには
人の霊が着いているのです。
工場とか旅館や病院よく都市伝説にでてきますが
誰も買わない。工場は特に創業者念が着いて回るので、
中古を買うと偉い目に遭います。古着もそうです。
私一度古着を買いえらい目に遭いました。
なるべくなら、新品をお勧めします。

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珍味さん
コメントありがとう御座います。
普通なら戻ってきたら、パニクリますね。
でも、私は通常じゃなかったのかもしれません。
それよりも、かみさんが、気がついたと言う事は、この時何かの力が
かみさんに働いたのだと思います。
普段は霊感0人間です。
そばに、霊が居てもわからない常態の人なのです。逆に私が気がつかない。
それも、異常か、その時の場所にももよるのです。
お婆さんが以前私に教えた事を思い出しました。
ある場所、磁気や神聖な場所に行くと知らない間に、霊的能力が落ちると聞きました
これなのかもしれません。

あんみつ姫様
返信遅くなりました。
そうです。古いものに、その人の執着心がやどり
念があると、祟りとかがあります。
私も、よせばいいのに辞められ得ないで、怖い目に毎回あってます。
後の話ですが、老人の息子が家の庭で、乳母車を焼いたらしいです。
しかし、またおじいさんが現れるようになったようです。
私が考えるには、まだ執着しており、焼いた報告を受けてないのではと
考えます。いずれにしろ、私の親戚を通して、供養するように報告しました。

にゃんさん
コメントありがとう御座います。
ネタばれにも書きましたが、その後供養するように
私のほうから、親戚に行ってもらいました。
やはり、乳母車を足代わりに使っていて事故にあうというのは
自分の足をこの世に置いて来たと同じ事ですので、執着心もひとしおじゃないかと
思います。

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