中編4
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仏の足

昔悪い鬼を懲らしめるために、仏があらわれ鬼を一掃するために、

仏様が渓谷の底に鬼を連れて行き鬼を踏み潰したという言い伝えがあります。

その場所は蔵王山の仙人沢というところの谷底に

一枚板の足に良く似た石がありました。

そこを仏の足と地元の人は呼んでます。

仏の足は、別名 自殺岩「死体が良く流れ着く岩」と呼ばれて

地元の人もあまり近寄りませでした。

雪解けの春や夏の始まりになると、

この岩の周辺に冬の仙人沢で自殺した人や遭難して死んだ人の死骸や

動物の死骸が流れ着くことで有名でした。

10月も末のある日。

父とキノコ採りに行き

キノコを採るのに夢中になり二人は道に迷ってしまいました。

時間を見るともう夕方の5時でした。

山の天候は変わりやすく曇り始め、今にも雨が降り出しそうでした。

父は慌ててリックやバックいっぱいのきのこを抱えて、

「母さんやおばあさんが喜ぶぞ。さあ帰ろう」というと歩き出しました。

しかし一時間もしないうちに雨になり渓谷の坂は、

雨の影響でヌルヌルになり歩いても滑って戻される状況でした。

父は「もう上に戻るのは辞めて下に行こう」と言い出すと私の手をとり、

谷の底に向けて歩き始めました。

「体力の消耗は、上に行くよりも下に落ちた方が楽で消耗が少ない。」

父は言うと谷底に向かい歩き始めました。

「底には夜露をしのぐところがいっぱいある。

そこで一晩過ごせば明日は助けが来る」と私を励ましました。

2時間ほどつづら状に歩き、ようやく谷底の川のほとりに着きました。

水を水筒にくみ私に飲ませてくれました。それから川づたいに歩き、

15分ほどすると

岩と岩の間にホコラじょうになった場所を見つけました。

私はホコラの中で一息ついてると、父はその間に焚き木を集めてきました。

私も父に見習い、焚き木を集め始めました。

しかし雨に濡れたところでの焚き木は見つかりにくく、

ようやく一晩過ごせるほどの焚き木が集まり、

ライターで火を点けるころには周りは真っ暗でした。

一面、闇が広がり一歩も歩くことが出来ない状態でした。

父は火をつけると、火の周りに濡れたズボンやシャツを脱ぎ乾かしました。

私は「疲れて2時間ほど寝たでしょうか?」

きのこの焼ける匂いで目が覚めました。

父が採ってきたばかりのきのこを焼いてました。

時計を見るとPM10時でした。もうこの場所から動くことは出来ません。

焚き火の火が消えれば真っ暗闇です。

私は怖くなり父のそばによりました。

父は、「明日になれば谷沿いに歩き村に出る。安心して寝なさい」といいました。

そういうと薪の量を増して燃やしました。

こんな谷底でおまけに自殺の名所に居て眠れるわけがありません。

私は尿意がおこり、近くに小便をすることにしました。

焚き火の火を長い枝に点けると外に出て用を足しました。

終ってふと仏の足の方向を見ると、青白い光がユラユラと10以上動いてます。

私は、捜索隊だと思い込み、火の点いたマキを振り上げて、

「ここだーと叫びました。」

父は私が外で騒いでるのでホコラから出てきて私を止めました。

私は父に「どうして止めるの」と聞きました。

父は「目を凝らしてヨーク見ろ」といいました。

ユラユラと動く光が、上に下に動いてます。

あの動きは捜索隊のライトではありません。

父は「ここは谷の底だ。この時間に捜索隊が着たら2重遭難を起こす。

谷の底は入り組んでる。この時間に光ってるものは、獣の目か人魂だ」

というと私の手を取り、急いでホコラに引き返しました。

すると10分もしないうちに、祠の周りにあの青白い火が寄ってきたのです。

その火の中にユラユラと揺れる、真っ白な人影まで見えました。

私はその影を見ると父に抱きつきました。

父は前より増して火をたき始めました。

朝5時ごろ夜が明け始めて明るくなると、私と父は寄り添うように寝てました。

焚き火の火は消えかかってました。

身支度をして仏の足の方向に歩き始めました。

仙人沢の底はもやに包まれてます。仏の足のそばに来たときです。

足のそばには、大きな熊らしきものの、腐った死骸がありました。

岩の上には、小さな骨や死骸の皮が散乱してました。

岩の周りには、もやがうっすらとかかってます。

うわさではなく本当にこの場所は、この世のものではない場所であることが

判りました。

私と父は線香がないので父はタバコに火をつけ供え合掌しました。

その後2時間ほど歩くと、遠くに人影が見えてきました。

捜索隊です。私と父は手を振りました。

捜索隊と合流すると、いろいろな質問を父が受けてました。

父は人魂のことや仏の足のことは一言もしゃべりませんでした。

後で私は「どうして言わないのか?」聞きました。

父は、「誰も信用しないのに言う必要はない。

あそこは入った人でないとわからない。それに言えばまた良からぬ出来事が

起こる。」そう言うと、

私にもしゃべらないように言いました。

そして下山すると父は夜中に起きたことを忘れたかのように

お婆さんや母、みんなに心配を掛けたと誤っていました。

私は忘れていたリックを思い出すと開けました。

二人のリックサックには昨日採ったはずのきのこが一枚も入ってませんでした。

きのこではなく、水を含んだ枯れ葉が山ほど出てきました。

父はそれを見ると仏壇で拝みました。

私はどうしてきのこではなく、枯葉が入ってたのか理解できません。

父に近づき聞くと父はそっとつぶやきました。

「きのこはお前と私の命の代償だ。仕方ない。」と言うと、

また仏壇を前に拝み始めました。

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僕たちは読者なんだからただ面白ければそれでいいその作品を作った人がどんな人でも構わない応援してます

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あれ、この人逃げちゃったんだ
証拠も残ってる中でどんな言い訳するんか朝から楽しく見てたのに残念

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マガッちの事もブロックされてるんですねー
伝言承っておりますので、貼り付けて去ります

以下マガッちから。

光道 進様

マイページ訪問失礼致します、マガツヒです。
なぜ自分が突然このような訪問をしたか?多分お分かりかとは思いますので割愛致します。

光道様がどのような行動をして、そしてそれにどんな結果が出たのかも触れずに本題にはいりますね?

まず最初に、自分はそんな大層な人間ではありません。
能力も容姿も怖話での文章力も並以下の路傍の石です。

そこをしっかりと自身で把握してる上で自分の経験則と申しますか、学んできた事を伝えたい。

この世の中の真理の話です。

因果応報、自業自得

この世はこれで成り立っています。
自身の起こした行動には必ず結果が伴いう、当然の事ですが頭で理解はしていても心でそれを把握してる人間は多分少ないかと思います。

このマガツヒの人生で学んできた真理です。基本、他者の意見は柔軟に取り込む自分ではありますがこれについては誰にも異論は挟ませません。

今、光道様の起こした行動によって姉達から批難をされている事でしょう。
自業自得とはいえ批難されれば内心穏やかではない、それも人間のサガですので
光道様の心中お察し致します。

ですが先程も申したとおり
この世の中は因果応報、自業自得で成り立っています。
一体何が原因だったのか今一度考えてみてください。

これでも光道様の事は尊敬していたマガツヒです。
結果が伴わないとはいえ、作品を怒涛のごとく投稿する姿勢には尊敬の念を抱いていました。
お婆さんシリーズも楽しまさせていただきました。
だから今回の件、非常に残念です。

このメッセージを読んだあと削除されると思いますが自分もブロックしますか?

構いません。自業自得、自分は自分の起こした行動の結果は例えどんなものであれ受け止めます。
それが路傍の石として生きてきた自分がただ1つ他者に誇れるものです。
アカウントが消されようが今迄仲良くしてきた方々から批難を受けたとしても自分はそれを甘んじて受けます。

このメッセージを読まれて少しでも何か感じる事があることを祈ります。

長文失礼しました、マガツヒより

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仏の足で沙羅さんのコメントを読み、火の玉さんやマガツヒさんが追コメしてましたね?

それを削除なさって、今度は沙羅さんのマイページで【人違いだ】ですか?

そして、まりかちゃんのメッセージ…

ごめんなさい。

金輪際、私の投稿した画像は使わないで頂きたい。

貴方がどれだけ立派な、お偉い作家さんかは私は存じ上げません。

ですが、人の作品を誹謗中傷すると言うのは、人としてどうなのでしょう?

それだけご立派な作家さんなのであれば、もう少し広い心で皆さんの投稿を受容して頂きたく存じます。

同年代の仲間として、恥ずかしくなります(T_T)

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仏の足にあった沙羅ねぇや火の玉さんやマガッちのコメ消されたんですね。
失礼とは思いましたがこれらを読んでからTwitter覗かせて頂きました。
沙羅ねぇのメセボにはTwitterで人の批判なんてした事ないから人違いではないかと書かれていましたが、以前他の人のメセボに「稲川さんは自分の作品を選考から外して貶したから嫌いだ」と書かれていましたし、Twitterにも同じ内容の事が書かれていますし、更にTwitterにご自分が怖話に投稿された作品のURLも貼り付けて、「自分が書いた小説だ」と書かれてますよね?
それにTwitterの光道進さんも「タイ住み」だと書かれておりますしお子さんのお名前も以前怖話でお見かけしたのと同じですもの。人違いではなく、光道さんご自身のTwitterアカウントですよね?
相容れない人にムカムカするのはわかりますが、ネットというのはいつでも誰でも閲覧できるという両刃の剣なのですから、あまりご自分の価値を下げるような書き込みはするべきではないとアタシは思いますよ。
気に入らなくても、見る人が見れば誰の事を言っているのか特定できてしまうような事は、ご自分の心に留めておく方が良いのではないですか?
妊婦時代の沙羅ねぇの作品へのコメント、アタシも以前拝見しましたし、人違いとは到底思えないのですがね。

そして、沙羅ねぇをソッコーでブロックされたらしいですね。
仲良くしてくれてると思ってたので削除と「人違いコメ」、更にブロックされた事にショックを受けてました。
沙羅ねぇから伝言を預かっているのでお伝えしておきますね。
ここから沙羅ねぇのメッセージです。

【光道さん、それは無いでしょう〜?
身に覚えがなくて、人違い?

なら何故昨夜の私のコメ消しましたか?
身に覚えないなら消す必要ないでしょうし、火の玉さんやマガたんのコメまで、一気に消すとは、信じられない行動!

Twitterでも、怖話に登録してタイに住んでる。とか同姓同名ですか?
書いてる内容まで同じなんて有りえません。

人の批判や陰口はするけど、ご自分はされたくないから、コメ消すんですね?

自分がされて嫌な事は他人にもしない。って、敬愛するお婆さんから教わりませんでしたか?

このコメも消すのでしょうから、スクショして画像残しておきます。

いつか【人怖】として作品にしますから楽しみにしててくださいな。

一番残念なのは、仲良しさんだと思ってた光道さんが、平気で裏切り、嘘まで言える人だった事。

私も人を見る目がないですね〜】

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ニャンさん
コメントありがとうございます。
父は、控え目なタイプでしたので、
物事を考え、見つめて、行動してました。
やはり、婿でしたので、控え目になっている
ところがありました。
それが一番良い方向に向いたようです。

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珍味さん
父は言われ通り現実的な人でしたが
お婆さんの影響と武田信玄の末えいでした
ので、両方をかけ備えていたようです。
大戦中は、レーダーなどの情報将校でしたので科学的知識あったようです。

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はるさん
昔の話なのでアイマイな点が
有りますね。
でも、驚いたのは、キノコが木の葉に
なっていた事です。
いつすり替えられたかわからない。
今でも不思議です。やはり
山や海や自然には、不思議な事が多いですね。頭に根が生えるくらいですから(^_^)

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