中編2
  • 表示切替
  • 使い方

伊藤さん

このお話は私が地元の企業に就職して二年目に起きた出来事だったと思います。

その日、私は一人で取引先を回っていたのですが、同じ部署の先輩女性で私の教育係でもある黒川さんから携帯に着信がありました。

携帯に出てみると、自分が行く予定だった取引先に行けなくなったから、代わりに行ってほしいということでした。

その取引先には行ったことはありませんでしたが、場所は知っていたので了解しました。

そして、そこでの打ち合わせの内容もメールで飛ばしてくれるということで私はそのままその取引先に向かいました。

nextpage

郊外のコンクリイトウ製の壁に囲まれた事務所に着いた後、駐車場に車を止めて黒川さんからのメールを待っていたのですが、その敷地の中で何か違和感を覚えました。

実は黒川先輩はいわゆる霊感のある人でこれまでも一緒に仕事をしてきた中で心霊的な事件に何度も遭遇していました。

私はどうも少々感じる体質らしく、霊的に良くないところというのは何となく雰囲気で分かるようになっていました。

確信は持てませんでしたが、この会社の事務所からも何かそのような良くない雰囲気が感じ取れました。

その時、黒川さんからメールが届いたので、打ち合わせの内容を確認するとメールの最後に一文添えられていました。

nextpage

「あと、そこの事務所、自殺した伊藤さんが彷徨っているから意識しないほうがいいわよ」

nextpage

誰、伊藤さんって!

nextpage

そして、このメールのせいで逆に意識するようになってしまいました。

案の定、打ち合わせが終わってその会社を出た後、体が妙に重く気持ちも沈んでしまいました。

今までの経験上、明らかに何か憑いてきています。

うちの会社の事務所に戻ると、私はさっそく彼女のところに行きました。

nextpage

「うわっ、あんた本当に憑かれやすいなあ」

私の姿を見て呆れた様子で言われました。

思った通り、メールに書いてあった伊藤さんという自殺した従業員が憑いてきているようでした。

nextpage

訝しげに唸りながらも、彼女は右手の指をすっと二本立てて、私に向かって空中を切ります。

そして、私の胸を手のひらでぽんぽんと二回叩きました。

途端に気持ち悪い重さが消えていきます。

どうやら憑いてきたものを追い払ってくれたようでした。

nextpage

「ちゃんとメールに意識するなって書いてあったでしょう、気にすると憑いてこられやすいんだから」

あのメールのせいで逆に意識したんじゃないですかと文句を言いたかったのですが、怖いのでやめました。

多分こういう精神の弱さが憑かれやすさの所以なのだなあとしみじみ感じました。

Concrete 59189e6fb4d79119a63e92183ffb92aeb8f46031afd97d5db060811ce15c35e6
閲覧数コメント怖い
1,69535
26
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ
表示
ネタバレ注意
表示
ネタバレ注意

まりか様、こんばんわんこです。
コメントと怖いありがとうございます。

いえ、私もまりか様のこんちくわにちくわ入りキャベツパスタが出てきたのは前のお話ですよと普通に思ってしまいました。
恥ずかしい・・・頭固いです。
だから、私、意味が分かると怖い話とかはほとんど意味が分からないのです。

マガツヒ様、こんばんはでございます。
い、一発で覚えられることがないとはどんな苗字なのでしょう、気になります。

苗字リレーはいつの間にか振られていたのです。
そして、ロビン様の起爆で炎が付きました。
マガツヒ様もぜひ。

あれ、火の玉様?桃太郎様?
ロビン様の舎弟なのですか?コメントと怖いありがとうございます。

見捨てるなんてとんでもない、あれだけ大胆な企画と尚且こまめなケアができるマネージャーはいないと思っています。

表示
ネタバレ注意
表示
ネタバレ注意
表示
ネタバレ注意

龍田様、コメントありがとうございます、私もまさかの新エピソードです。
エピソード番号も100番近く飛んでしまって110番になってしまいました。
誰も突っ込みませんけど、これも駄洒落ですよ。
え、わかってる?
そ、そうですよね、ばかばかしくてだれもつっこみませんよね。

清水白桃様、コメントありがとうございます。
ちなみに普通ですが、後輩君が取引先で出されたお茶菓子はコンペイトウです。
あえなく文中からは削除となりました。

番長様、お話の流れを不自然にしたくなかったので、自然な感じで入れてみました。
え、全然自然じゃない?・・・あわわ、すいません。

あんみつ姫様、大人の対応と言っていただいてありがとうございます。
でも、無茶ぶりに後先考えずに睡眠時間を削ってしまったおバカさんです。
この苗字リレーまだ続くんでしょうか、ふっふっふ。

綿貫様、そうです綿貫様は悪くないです。
そして、私も悪くないです。
え、悪ふざけに乗ってしまったじゃないかって・・・本当だ!

よもつ様、お互いにお疲れ様です。
よもつ様の言われた通り炎が点火されているようです。
あの方の場合はその悪ふざけが大火になるからほおっておけないのでしょうか、ふふふ。

鏡水花様、毎回楽しみにしていただいてありがとうございます。
本当に全く予定のないエピソードの執筆と投稿でパニックでした。
でも、幸運だったと言っていただけるお姉様がいることで私もまた良かったと思えます。

ロビン様、げーへっへじゃないです。
昨日の無茶ぶりをされた時の私の狼狽ぶりをロビン様にもあじあわせてあげたいです。

・・・でも、いい企画ですよ、ありがとうございます。

りこ様、黒川先輩には特に悪意はありません。
誤解されやすいですが、普通に後輩君を心配してメールを送っているんです。
だから憑かれて帰って来た時にびっくりしたのです。
そういう、ちょっと残念なところもあるかわいい先輩です。
これからもよろしくお願いしますね。

にゃん様、はい、短いお話ですが先輩も普通に登場していて、無駄に豪華です。
うへへ、次に魔の連鎖に巻き込まれるのは誰かな(ヤケクソ)

さえ様、やりました、そうなんです、「怖い話」なんですよ。
「怖い」と言っていただいてありがとうございます。
え、ダジャレ?・・・そ、それは・・・

ピノ様、ええ、魔太郎様の毒牙が・・・
怒りのポイントはそこですが、魔太郎様の高笑いがまた聞こえてきそうで・・・