長編11
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彼女

竜二に彼女が出来た。

正確には彼女が変わった。

見た目は良いし何気に気が利くため、なかなかモテる。

現に俺の母ちゃんもイチコロだった。

彼女を大切にしてないわけではないんだけど、彼女とのデートより俺達との肝試しを優先するから、よく「冷たい」だの「大切にしてくれない」だの言われ、フラれる。

竜二から別れ話をしたという話は1度も聞いたことがなく、

つい最近まで付き合ってた彼女とは結構長くて良い感じだったので

その子をフってまで付き合った子がどんな子なのか気になった。

俺「美人系?可愛い系?」

竜「可愛い系!声も顔も超可愛い!!」

俺「お前は女に困らなくていいなぁ」

竜「人聞き悪っ!!これで最後だからいいの!」

俺「ほー」

竜「あ。それでさ、悪いんだけどしばらく遊べないわ。来週の肝試しも無しにして?本当ゴメン。」

初めて彼女優先にされた。

どんだけ可愛いんだよNEW彼女。

新しい彼女が出来てからは本当に遊ぶことなく真っ直ぐ帰るようになった。

斗「竜さんいないと車なくて遠くいけないですね」

圭「誰か車買えよ」

俺「先立つものがだな…」

全員免許はあったけど竜二以外は車を持ってなかった。

レンタカー借りてまでは行きたくはないってことで俺達は肝試しに行かなくなった。

圭「平和だねぇ」

俺「刺激が足らんねぇ」

圭「なぁ桃さんや」

俺「なんだい圭さんや」

圭「竜二の彼女、見てみたい」

そういや見たことないなってことで昼飯の時、竜二にお願いしてみた。

人間は食事中に頼み事をされるとOKする確率が高くなると心理学のT先生が言っていた。

圭「彼女見せてー写真でも良いからさー」

竜「だめ。俺のだから。」

圭「とらんよ。てか、とれんよ。」

竜「俺しか見ちゃだめなんですー」

俺「うわ重症」

T先生、断られましたよ。

食べ終わった後はいつも下らない話して過ごすんだけど

竜二は彼女とずーっと電話。

仲が良いのは良いことだけど

竜二とられたみたいでちょっと気に入らなかった。ホモではない。

これはもう絶対に!何が何でも!彼女見てやろうと!

皆が暇な日の放課後、斗馬も誘って竜二を尾行する事にした。

斗「ほっといてあげればいいのに」

俺「竜二が俺達の事ほっときすぎなんだよ」

斗「彼女みたいなこと言いますね」

俺「元カノ達の気持ち理解出来たわ」

竜二の受けてる講義が終わり、教室から竜二が出てきた。

ちなみにこの為に俺は講義をサボった。

バレないように後をつける。

駅前に花とかいっぱい咲いてる所があるんだけど、その近くのベンチに竜二が座った。

俺達との距離は2車線道路1つ分。

ちょっと遠いので横断歩道を渡りバレないように竜二の後ろの木の陰に隠れた。

(高さ1mくらいのモジャモジャした木がずらっとはえてる)

その間3分くらい。

ベンチの方を覗くと頭が2つ。

いつの間にか彼女来てた。

5分くらいして2人はベンチから離れ、歩き出した。

人が多くて会話は聞こえない。

斗「もう見れたし、帰りません?」

圭「正面見てないだろ」

もう少し尾行することになった。

しかしバレないようにつけているので

見られるのは後ろ姿のみだ。

一緒にアイス食べたり噴水でキャーキャー言ったりしてるカップルを俺達はひたすら後ろから眺めた。

俺「虚しくなってきたな」

斗「偶然装って話しかければ良いじゃないですか」

…その手があったな。

もう少し早く教えて欲しかった。

2人がデパートの上のレストラン街に入った。

圭「あっ竜二じゃん!!何してんの?デート?」

一瞬びくっとして竜二が振り向いた。

竜「え…あぁ、うん」

圭「俺らも今から飯なんだよねー。彼女さん嫌じゃなかったら一緒に食わん?」

竜「あー………」

困った竜二の隣で彼女が顔を上げた。

く そ か わ い い

触ってないけど多分サラサラな髪に

くりっとした黒目がちな目で

色白でケバさはなくて品が良さそう!!

素直にうらやましい。

竜「嫌じゃない?大丈夫?」

彼女はニコッと笑った。

圭「やった決まり!何食う?」

竜「×××行こうとしてたからそこで良い?」

圭「おっけ!!」

お洒落なカフェみたいな雰囲気の店に入った。

こんな所女の子無しじゃ入れん…。

圭太が「超可愛い」とか「そりゃ彼女優先するわ」とか褒めちぎってた。

竜二は「寒くない?」とか「多かったら残していいよ」とか超優しい。

彼女は常にニコニコしてた。

俺が話しかけた時もニコッと笑ってくれた。

でも返事はしてくれなかった…。いいけどさ。

誰かに話しかけられてる時以外はずっと斗馬の方を見ていた。

分かりやすくガン見。

斗馬は竜二とはタイプが違うがまぁまぁモテる。

女顔っていうか中性的っていうか、

どちらかと言えば可愛い系。

斗馬みたいなのの方がタイプなんかな?と思い、斗馬を見たら黙々とご飯を食べて携帯でゲームをし始めた。

愛想ねぇな。

食べ終わって、いい時間だったので帰ることに。

彼女、一口も食べてる所見なかったけどダイエットでもしてるんだろうか。

カップルと別れ、むさ苦しくなった。

圭「ちょー可愛かったー」

俺「あれはヤバいな」

圭「お前ガン見されてたじゃん」

俺「略奪か」

斗「俺、あの子あんま好きじゃないです」

俺「なんで!?超可愛かったじゃん!!」

圭「そーだぞ!超良い子だし!!」

斗「何か気持ち悪くなかったですか?よくわかんないけど何か無理です。声とか耳障りな感じだし。目も怖いし。」

圭「ありえねー」

俺「あんな上玉を…」

斗馬の好みではなかったらしい。

そんな声障りな声だったっけ?

覚えてない。もったいねー。

その日以来、竜二が斗馬に冷たくなった。

昼飯誘っても「斗馬いるなら行かない」とか

廊下ですれ違っても斗馬だけ無視とか。

流石にちょっと露骨すぎってか、酷かったので理由を聞いてみた。

彼女が斗馬の話ばかりする。

デートに斗馬を誘いたがる。

↑が、理由らしい。マジか…。

竜「斗馬の事好きなんかな」

俺「でも斗馬と彼女一言も喋ってなくね?」

竜「何回か喋ってただろ。圭太ほどじゃないけど。」

そうだっけ?

竜「まぁ、でも斗馬は悪くないよな」

俺「うん」

竜「取られたら取られたでいいや。今度5人でどっか行こ。」

俺「お前が良いなら良いけど…」

てことで、5人で遊ぶことになった。

斗馬は「行きたくない」と言ってたけど

それじゃ何の集まりかわからない上に竜二が謝る機会がなくなるので無理矢理連れて行った。

月曜の昼から5人で水族館に行った。

竜二が謝ると「あぁ、はい。大丈夫ですよ。」とあっさり許してもらえたようで空気が悪くならずに済んだ。

カップルと来てるので

さりげなく竜二と彼女、俺と圭太と斗馬に分かれた。

立ち止まって魚を見ていると彼女が斗馬の横に並ぶ。

最初は彼女を呼んだり、間に入ったりしていた竜二も途中で諦めたようで

自然に俺と圭太と竜二、斗馬と彼女に分かれた。

男3人で魚を見ても楽しくない。

「あれ何?」「サカナ」くらいの会話にしかならない。

俺達はベンチに座りジュースを飲んでいた。

斗馬がちょこちょここっちに来るが

すぐに彼女に引っ張られて魚の元へ行ってしまう。

竜「なんか…もういいや」

俺「そうか」

竜「女怖ぇ」

圭「女怖ぇな」

俺「女怖ぇわ」

彼氏の前で彼氏の友達の手を引いたり、

彼氏置いてキャッキャウフフしたり、マジ女怖ぇ。

俺らがベンチでぼへ~っとしてる間に

斗馬と彼女はどこかへ行ってしまった。

そりゃずっと同じ魚なんか見ないわな。

好みじゃないみたいだったけど

あれだけアピールされたら惚れるだろう。

人間は好きって言われたら自分も相手を好きになるらしい。

これも心理学のT先生が言ってた。

俺が昔告白した子は俺の事好きにならなかったけどね。

ずっと座ってるのも尻が痛くなるので

気は乗らないけど魚を見ることにした。

じっくりなんて見ないからそのうち斗馬たちに追い付くだろう。

圭「あ、死んでる」

俺「本当だ。死んだ魚ってどうすんだろな?」

竜「ウーパーさんも死んどる」

圭「まじ?管理悪いんじゃね?」

その後も数匹お亡くなりになった魚を発見した。

水族館を1周した。

斗馬たちには会わなかった。

竜「2人で抜け出したんかな」

…コメントしにくいな。

とりあえずメールしてみた。

即返ってきた。エラーメールが。

いや、この短時間でアドレス変えたりしないだろ。

拒否られる理由も特にないし。

3人とも送れなかったので電話してみた。

竜二と圭太は繋がらず。

俺は呼び出し音はするけど出ず。

圭「どーする?」

竜「あいつら車無いのにな。タクシーで移動したのかな?」

俺「斗馬ならメールくらい入れそうだけどな」

圭「女が絡めば男なんてそんなもんだろ。なぁ?」

竜「すいませんでした」

俺達はとりあえず水族館を出た。

駐車場に着くと電話が鳴った。斗馬だ。

斗「何で出ないんですか!!」

俺「は?」

斗「今何やってんですか」

俺「駐車場にいるけど」

斗「は!?なに置いてこうと…!!戻ってきて下さいよ!!」

あれ…超怒ってる。

俺「あぁ、じゃあ水族館の中戻ったらまた電話するわ」

斗「駄目ですよ!繋がらなかったらどうするんですか!!」

それもそうだな。

絶対切っちゃ駄目ですよ、とうるさいので繋げたまま水族館に戻った。

再入場不可とかでまた金払った。

財布が薄くなっていくよ。

移動中もずっと喋ってた。9割斗馬が。

「まだですか?」とか「急いでます?」とか。

水族館でそんなデカい声だすなよ…と思いながらも3人で斗馬がいるとかいうエイのコーナーへ。

『桃さん!!』

電話と目の前からダブルで聞こえた。

エイコーナーの隅に斗馬がいた。さっきはいなかったのに。

俺「一人なの?彼女は?」

斗「知らないですよあんなの!」

竜「ひでぇ…」

圭「なに泣きそうになってんの?」

圭太がからかった。

確かに涙ぐんでる。床に座ってるし。

斗「あれ人じゃないですよ!竜さんどこで拾って来たんですか!」

竜「え…いや、人でした」

圭「うん。人だな。」

俺「俺らにも見えてたしチケット代かかったし、人だな。」

今更何言ってんだ、と誰も斗馬の話を信じなかった。

彼女に電話しても繋がらず、

館内でも見かけなかった事と斗馬の様子から

斗馬と喧嘩にでもなって怒って帰ったんだろうという結論になり、俺達も帰ることにした。

俺「君のおかげて入場料が2倍かかったよ俺らは」

斗「置いていこうとするからですよ!」

俺「お前らが置いてったのかと」

斗「馬鹿じゃないですか!?」

わざわざ迎えに来てやったのに…。

しかしこんなパニくってる斗馬も珍しいなぁ。

斗馬は車に乗るまでずっと俺の背中に手を置いてた。

これが女の子だったらどんなに嬉しいことか…。

車内でも「あれは人じゃない」だの「絶対何かされた」だの、もう彼女ボロクソ。

俺達があまりにも信じないから

「竜さんの従兄弟の家お寺でしたよね?お祓いとかしてないんですか?」とか言い出した。

やってるなら今すぐ行きたいそうだ。

散々無視したり冷たくしたりした後ろめたさからか

竜二は斗馬の希望通り従兄弟の家(寺)に向かった。

一応連絡してからね。

俺と圭太も行くのは初めてだったのでちょっとわくわくした。

着くまでの間、何があったかひたすら聞かされた。

最初は普通に連れ回されて

「この魚大きいね」だの「こんなのもいるんだね」だの言ってたらしい。

竜二が追いかけなくなり、2人きりになると腕を掴んでずんずん先へ進んで行った。

エイを見てるといきなり爪をたててきて爪が腕に刺さったらしい。

あまりの痛さに腹がたって彼女の方を見たら

白目の部分まで真っ黒な彼女の顔が超近くにあってニコニコしながら「繋がったね」と。

そこで人じゃない事に気付いて

振り払おうとしたら抱き着かれ、息が吸えなくなって気絶したらしい。

斗馬の左腕には確かに爪痕が残っていた。

爪痕ってか傷。血出てた。痛そう。

車内が「え?ガチなの?」って雰囲気になった。

圭太も竜二も無言。空気重い。

斗馬が後部座席でやたら俺の近くに座ってくる。

これが女の子だったらどんなに(略)

平日だからか道は空いていて割とスムーズに進めた。

赤信号にはかなりの確率でひっかかったが。

寺に着くと竜二の叔母さんが出迎えてくれて

そのまま12畳ほどの和室へ案内された。

5分ほどでお坊さんの格好をした叔父さん(住職)が来た。

斗馬を見るなり

「うわー…よく逃げれたねぇ」と。

竜二と圭太もお祓いするとかで前の方に座らせられてた。

俺は「君はいいよ。声聞こえてないでしょ。」とあっさり仲間外れにされた。

意味があるのか無いのか分からないが

背中を軽くはらうようにポンポンとされた。

部屋には弟子みたいなお坊さんが2人、

部屋の左右に座ってた。

住職は斗馬の傷口に塩をかけた。

斗馬悶絶。そりゃ痛いだろ。

その後弟子と一緒にお経(多分)を唱え出して

住職が3人の背中を順番に叩いていった。

ものすごい勢いで叩くもんだから皆痛そうだった。

そして斗馬の前に行き、斗馬の左腕に数珠をかけた。

普通のじゃなくてやたら長いやつ。

さっきはあんなに叩いたくせに今度は背中を優しくさすってた。

かと思ったらまたすごい勢いで叩き出した。

4回くらい叩いた時、数珠がバラバラになって落ちた。

住「もういいね」

お経が終わった。叩くのも終わった。

圭「あ、ありがとうございました」

住「ん。気をつけてね。」

皆ポカーン。

弟子がバラバラになった数珠を拾ってる間に住職が斗馬にお守りを渡した。

よくある形のやつだけど

模様も文字もなくて、ただ真っ白なだけのシンプルなやつだった。

住「君ね、これあげるから常に持ってなさい。」

斗「ありがとうございます」

住「結構見えそうなのに気付かなかったの?」

斗「あ…嫌な印象はあったんですけど、人だと思いました」

住「そう。あんまり騙されないように気をつけてね。」

斗「はい」

住「今回はラッキーだっただけだよ。逃げれて良かったね。」

斗「はい」

その後しばらく肉魚は食べるなとか

寝る時はどうしろとか色々言われてた。

肝試しとかで肝心の出る部屋に斗馬が入らない理由が何となく分かった気がした。

危ないの気付いて避けてたのか。

俺らには行かせるくせに…。

住職とお弟子さん、叔母さんにお礼を言って俺達は帰った。

3人とも背中が真っ赤になっていた。

斗馬に至っては内出血してた。

どんだけ本気で叩いたんだよ…。

斗馬は貰ったお守りをかなり気に入っていた。

元々まじない系好きだから嬉しいんだろう。

その後は皆異常なく、背中の腫れも引いた。

竜二にはまた彼女が出来た。

彼女途切れないイケメンが腹立たしかった。

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コメント有難うございます!

そうっ‼︎そうなのですっ♫

子熊さんのおっしゃる通り、なつのさんシリーズを思い浮かべました…(*^^*)
(子熊さん…いきなりスミマセン💦)

桃太郎さんの作品は、第一弾も拝見させて頂きましたが、ホント、軽妙なタッチで大好きです♡面白い‼︎‼︎

これからも四人の物語、楽しみにしてます(o^^o)

おおう…第三弾もう既にありましたね…
早とちりすみません。
怖い押させていただきました。

なつのさんシリーズを彷彿とさせます。
テンポの良いやり取りが気持ちよくて、楽しく読ませていただきました。

紺野さんの過去作や、なつのさんシリーズに見られるような、学生たちが主人公の和気藹々とした物語は、私のストライクゾーンだったりします。
怖話の楽しみがまたひとつ増えました。
第三弾も心待ちにしております。

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