中編3
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同窓会

今回は、私が20代後半の当時勤めていた会社の元同僚が体験した怖いお話。

その元同僚、ミホは少し感じる程度の霊感を持っていて、霊体験も少なからずあったとのこと。

そんな彼女が、同窓会で今までで1番の恐怖を味わったそうだ。

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ミホには高校時代、アサコという親友がいた。

アサコは、いわゆるイジメられっ子タイプだったせいもあり、かなり陰湿なイジメを受けていたそうだ。

ミホはサバサバした性格だから、特段、イジメられっ子だからとアサコを避けることはなかった。

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普通に接するミホに、アサコはすぐ仲良くなった。

イジメられても、学校を休むことなく来ていたそうである。

高校を卒業してからも付き合いは続き、忙しくてなかなか会えないこともあったが連絡だけは取り合っていた。

…そんなある日。

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同窓会のお知らせが来て、会えるのが楽しみだと言っていた矢先にアサコが事故で亡くなった。

ひき逃げだったが、すぐに犯人も捕まったそうだ。

同窓会は、アサコが亡くなってから3日後に開かれた。

とあるホテルのパーティー会場を貸し切っての同窓会。

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会場に着くと参加記帳を済ませて、上着をクロークに預けた。

懐かしい顔ぶれが「ミホ!久しぶりね!」と、声を掛けてくる。

それに応じながらも、アサコがいないことに少し寂しさを覚えたそうだ。

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同窓会が始まり、皆、思い思いに酒や料理を楽しんだ。

…と、その時。

「ミホ!いたいた!探したよ!」

高校時代は学級委員をしていた友人が、ミホを見つけて歩み寄ってきた。

「え、何かあったの?」

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ミホの問いかけに、

「アサコ見なかった?」

その言葉に、一瞬固まったそうだ。

「アサコ来てないよ。来るはずないし」

ミホが言うと、今度は元学級委員の子が首を捻る。

「えー、いたよ?参加記帳もしてあったし」

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…そんな馬鹿な。

誰かと見間違えているのではないか?

そんなことを考えていると、同窓会に出席していた高校時代の学年指導の先生の挨拶が始まった。

「えー、先ほど参加記帳を見させてもらいましたが、無事に当時の顔ぶれが全員揃っているという喜ばしい状況に…」

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ミホは背筋が寒くなった。

アサコ…、本当にいるの…?

「アイツ、イジメられてたから同窓会なんか来ないと思ってたけどな」

男子の話が耳に入り、ミホは思わず、

「アサコをイジメてたあんたらが、そんなこと言うんじゃないわよ!」

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「それに、アサコは死んだの!」

ミホの言葉に、今度は周囲が凍り付く。

「ミホ、何言って…」

「そうだよ、参加記帳もしてたし、クロークに上着預けてんのも見たんだぜ?」

そんな風に、ちょっとした揉めあいになった時だった。

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元学年指導の先生が挨拶していた壇上が、急に騒がしくなった。

それから、当時の自分達の担任がマイクを握ると、

「今、カミムラのお母さんから連絡が入り、娘さんが亡くなったので同窓会に参加できなくて申し訳ない、とのことです」

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アサコのお母さんだ、とミホは分かった。

当然、会場は騒然となった。

「参加記帳あったじゃん!」とか「女子トイレにいたよ!」とか、アサコを見たという生徒達が、騒ぎ出したのである。

同窓会に参加していた先生達も、何が何だか…と混乱しているようだった。

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ミホは壇上に上がると、マイクを握った。

「みんな、聞いて!アサコは3日前に、ひき逃げ事故で亡くなっています!」

ミホの声に、会場がシン…となった。

「アサコは同窓会に参加するのを、楽しみにしていました。当時はイジメられたけど、みんな大人になってイジメなんてダサいって言ってくれるような人になってるんだろうなって話していました。だからきっと、そんなみんなを見たくて、そんなみんなに会いたかったんじゃないかと思います」

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ミホが話し終えた時、壇上から一瞬だけだけアサコの姿が見えたそうだ。

その後、会場は落ち着きを取り戻して同窓会は無事にお開きとなった。

ミホは同窓会の帰りに、アサコの霊前に御線香を上げに寄ったとのこと。

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「死んじゃっても、友達は友達だかんねー」

と、後日ミホは私におちゃらけたように言っていたが、確かにそうだなと私は思った。

『死んじゃっても友達は友達』

そう言ってくれる友達を持てて、アサコさんはきっと幸せだったんだろうな。

[おわり]

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初めまして、レイナと言います。
私も昔はイジメられていましたが、
こんな風に庇ってくれた友達は居ません。

この話を読んでいて、羨ましいなぁと
思いました。

内容が素晴らしく、読んでいてとても楽しかったです。

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いじめはださいんです。
ご冥福を御祈りいたします。

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