中編6
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廃病院のレントゲン写真

友達Hの実体験の話。

Hとその友達が、肝試しである廃病院に行ったそうです。「普通に行って帰ってきたんじゃ、そこらへんの奴と一緒じゃないか」という事で、二人ペアになって病院の中を探索し、何か証拠になるようなものを持って帰ってくる…というルールを作って入ったらしいです。

探索をするも特に誰も怖い体験はせず、幽霊の話よりも戦利品の見せ合いに夢中になっていたそうで、注射器を持ってきた人、医療品の入っていた袋を持ってきた人…色々と『病院っぽいもの』をみんな持って帰ってきたそうです。

Hはと言うと、デスクの上に置いてあった誰かのレントゲン写真を持って帰ってきたそうです。戦利品の中で「Hのレントゲン写真が一番リアルだ」という話になって、誰かを怖がらせようぜって話になり、ターゲットはその日たまたまバイトで一緒に来なかったN君に決定。

普段からHはN君のアパートに毎日のように出入りしてたので、翌日Hが実行人としてN君宅に出向きました。N君がラーメンを作ってくれてる間に、持ってきたレントゲン写真をこっそりN君の机の引き出しに入れたそうです。

そのあと怪しまれないように、他の肝試しに行った面子も偶然を装い、N君の家に集まってきました。「いつ、こいつがびっくりするのか見てやろう!」といった感じで、N君のアパートで『いつものように』を装って、わいわいやってたそうです。

そうするとすっかり盛り上がってしまい、誰しもがレントゲン写真のことを忘れていたそうです。そうこうするうちに、N君のケータイに1通のメッセージが入りました。

メールは高校の時の同級生の女の子で、「今から合コンしないか?」との誘いでした。野郎ばっかりでむさくるしいのもあれなので、テンション任せに全員で即効合コンに出向いたそうです。

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カラオケボックスで合コン開始。相手は割と可愛い子たちと、仲の良い同級生の女の子。一行は酒を浴びるように飲んだそうです。

みんなで盛り上がっていって、ふとソファーの横を見ると誰のかはわからないけど大荷物があったそうです。「まあいいや」と気にもとめずに盛り上がり続け、合コン終了。

Hは家に帰るのがだるかったので、そこから近かったN君宅に泊めてもらうことに。そして女の子たちの番号をゲットし「さぁ帰宅!」となった時、一人の女の子が近づいてきたらしいのです。

「ごめーん、あたし今さー、家出してて行くとこないんだけど、しばらく泊めてくんない?」

N君は「仲良くなったばっかりで、そっちが別に俺たちに対して不安とかないならこっちは全然構わないけど」と、快く承知。ソファーにあった大荷物はその子の物だったようです。

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3人でN君の家に着いて、お酒と疲労のせいで3人はコタツで一気に爆睡したそうです。

次の日。

3人が目を覚まして「そういえばAちゃん(家出少女)のアドレス聞いてないね」なんて言いながら、3人でメアド交換をしたそうです。Hはメモリを全部フルネームで入れる奴なので、Aちゃんのフルネームを登録した後「なんか聞いたことある名前だなあ…あ、新人のグラビアアイドルにそんな名前の子がいたような…」と、思っていたそうです。

そのあと、またN君のケータイに合コンの誘いが。

「今夜も3人で行こうか」という話になったのだけど、Aちゃんは「気分が優れないから」と、断ったそうでN君とHの二人はAちゃんに「なんかあったら連絡してねー」と言って合コンに行ったらしいです。

二人がまた深夜に帰宅すると、Aちゃんは当然ぐっすり眠っていたそうです。そして二人もまた、昨日同様爆睡。

次の日、N君はバイトでした。Hは家に帰り、AちゃんだけがN君の家にいることに。

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N君はAちゃんを気遣って、Aちゃんの好きなラーメン買ってきたり、お酒買ってきたり…と一人でも大丈夫なように奮闘したそうです。N君が夜遅く帰宅するといつものようにAちゃんは寝ていたり、Hが友達連れてきてAちゃんも一緒にいたり…

そんな生活が一週間経過して、また週末がやってきました。

Hは「そういえばAちゃんはまだいるのかなー、今週も合コンあんのかなー」なんて思いながら、N君の家に向かいました。

するとN君は留守。Aちゃんもおらず、荷物もなかったため「あー、Aちゃん家帰ったんだー」と思いながら、N君が帰ってくるのを待つことに。するとまた、肝試しに一緒に行った友人たちがN君のところにやってきて、主のいない宴会を勝手にいつものごとくはじめてたそうです。

ところが、N君が待てど暮らせど帰ってこないそうです。バイト中のためか、ケータイもつながりません。

そして誰からともなく肝試しの話になり、またしばらくの間時間をおしゃべりで暇を潰していたところ、ようやくN君帰宅。N君は帰ってくるやいなや「あれ?Aちゃんいないの?」と言ったのです。

「俺たちが来たときにはもういなかったよ」

「あれー?俺バイト行く前までいたんだけどなー?」

…おかしい。ちょっとの外出にしては、あの大荷物が綺麗さっぱりありません。メールも入っていないし、置手紙もない。

どうやら様子が変です。心配になってN君は合コンに誘ってきた同級生の女の子に「Aちゃんって家に帰ったの?」と聞いてみることに。すると女の子は「は?Aちゃんて誰よ?」なんて言うそうです。

「合コンにいたAちゃんだよ!俺んちについてきた子いるじゃん大荷物持って!」

N君は必死です。N君は電話をHに渡し、Hも必死に説明しました。

その時、N君がキッチンからみんなの方に向かって言うのです。

「おい、あの子この一週間何も食ってねーぞ…」

外食ばかりのN君は今まで気づきませんでしたが、N君がAちゃんに買ってきた食糧はすべてそのまま。ジュースの缶すらあいていません。ゴミすらないのです。

一同静まり返ります。そして、しばらくするとこんな声があがりました。

「そういえば俺、あの子がトイレに立つとこ見てねーよ」

「そういえばあの子、ぜんぜん酒飲めなかったよな。ていうか…飲んでるとこ見てねーよ!」

「やめろよボケが!んな人間いるわけねーだろ!俺らが酔ってて気づいてねーだけなんだよ!」

Hは必死にまだAちゃんのことを説明していましたが、同級生の女の子は「そんな友達いないし大荷物を持った子なんて見かけてもない」と言い張るんだそうです。

気持ち悪くなって一旦電話を切り、今度は直接Aちゃんに電話をかけてみたそうです。

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『お客さまのおかけになった電話番号は現在つかわれておりません…』

その場にいた全員が焦りを覚えました。

メールしても送れない、何度誰のケータイからかけても繋がらないのです。昨日まで繋がっていたAちゃんの電話が…

その時、Hは思い出してしまったのです。身の毛もよだつ事実を。

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「おい、N!お前引き出しの中見たか?!」

「は?なんだよ、見てねーよ。何言ってんだお前、こんな時に?」

「俺らお前のこと脅かそうと思って、合コンに行く前にお前の机に入れたんだよ!廃病院で取ってきた、レントゲン写真!」

「んなもん見てねーよ!気味悪いもんもってくんじゃねーよボケが!」

「これだよこれ!」

Hが引き出しを開けた所には、レントゲン写真はもうありませんでした。部屋のどこを探しても見当たりません。

レントゲン写真は、Aちゃんとともに消えてしまったのです。

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Hが思い出した事実とは、Aちゃんの名前がレントゲン写真の右下に書いてあった患者さんの名前と一緒だったという事。

男全員にAちゃんは見えていたし、話もしたのに、合コンに来ていた女の子たちは口を揃えて「そんな子はじめからいなかった」と言い張るのです。

レントゲン写真の名前の横には「87歳」と表記されていたそうです。一週間一緒に過ごした同姓同名の女が、レントゲン写真とともに消える…

自分たちと同年代に化けて、怖がらせないようにレントゲン写真を取り戻しに来たのだろう…とH達は話していた。

その後廃病院へ行き、H達は全員でごめんなさいと言いに行ったそうです。

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