中編6
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エロ動画サイト

ある日の深夜、ムラムラした気分に襲われた俺は、パソコンでエロ動画を見ることにした。

こういうとき、一人暮らしはいい。誰に気兼ねすることもなく自慰行為にふけることができる。

まあ同時に、カノジョがいない我が身の境遇に侘しさを感じるわけだが。

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ネットで適当にエロ動画サイトを検索する。

俺は何の気なしに、画面にずらりと並んだ動画のサムネイルの中から、ひとつを開いた。

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真っ暗な部屋を背景に、ひとりの少女が映っている。

少女の肌や背後のベッドが、淡い緑色に光っている。ビデオカメラの暗視モードで撮影された映像のようだ。

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少女は無地のシャツに、胸元に大きなリボン、チェック柄のスカートに黒のハイソックスという、女子高生然とした格好をしていた。

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やや吊り気味の大きな瞳、すっと伸びた鼻筋、控え目な口元。髪型はショートカット。若干あどけなさを残したその顔立ちは、完全に俺の好みだった。

――美少女じゃん!当たり当たり!

テンションの上がった俺は、そそくさとパジャマの下を脱ぎ、自慰の準備をする。

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カメラははじめ、少女ひとりを映していた。全身像から少女の顔にクローズアップし、緊張気味な表情をねっとりと映し出す。

次に一度引きの画面に戻ると、フレームの外から男が現れた。

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十代後半から二十代前半といった感じの、柄の悪い若者だ。

半袖のTシャツからは筋肉質な腕が覗いている。

男はニヤニヤ笑いながら少女の隣に立つと、肩に手を回す。少女の身体が驚いたようにビクリと震える。

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男はそのまま少女の顔をグイと引き寄せると唇を奪った。

そしてカメラに見せつけるように、少女の口内に舌を這わせる。

――ピチャッピチャッ

水っぽい音をビデオカメラのマイクが拾う。

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画面が急にアップになり、ふたりの口元を大写しにする。

そのカメラ操作は雑な感じで、撮影者の技量の低さを思わせた。それとも素人映像を意識した演出だろうか。

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男は空いた手でシャツの上から少女の胸を鷲掴みにし揉みしだく。

少女は身体を硬直させて、されるがままになっている。

乱暴にシャツのボタンを外すと、少女の肌と無地の下着があらわになる。

男の手は無理矢理下着の下へと侵入し、直に少女の控えめな乳房を蹂躙した。

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――ん…、ふ…っ、んん……っ

――ハア、ハア、ハア、

――カチャ・ガチャガチャ

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少女の鼻にかかった声と男の荒い吐息、撮影者のカメラの手ぶれ音が響く。

男は制服のスカートを脱がすと、下着の上から少女の股間を責め立てる。

その間も執拗に少女の口を吸い、胸をいじり続ける。

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下着姿のまま、少女はベッドに転がされた。

そしてカメラの画面が一度大きく揺れ、床を映したかと思うと、再び少女の顔をアップで映し出した。

どうやらこれまでの撮影者から、少女と絡んでいた男の手に、カメラが手渡されたものらしい。

次いで、少女の股間が大写しになった。

男は乱暴に少女の下着を脱がすと自分の性器を少女の股間に押し当て、こすりつけるようにしばらく前後に動かしていたかと思うと、やがてゆっくりそれを膣へと挿入した。

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その後、撮影者の身体の揺れにあわせてガタガタと揺れるカメラは、少女の上半身、そして苦痛とも快楽ともとれる表情を浮かべた少女の顔を映し続けた。

――ハッハッハッハア

――んっ、くっ、あっあっあっ…はあっ…

――ギッギッギッギッ

ベッドのスプリングがきしむ音、身体が触れ合う音、呼吸音、喘ぎ声。

暗闇の中、青白く光る少女の裸体が、なんともなまめかしく映る。

俺の興奮もいやが上にも高まっていった。

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男はおもむろにカメラをベッドサイドの机に置いた。

画面は固定され、横たわる少女とその上に圧し掛かる男の裸体を横からとらえる。

男の腰がスパートをかけるかのように、高速で少女の股間を打ち付けていた。

少女の声がひときわ高くなった。

――イ、イクっ、イクっ、イッちゃ…っ、

次の瞬間、男は腰の動きを止め、その太い腕で少女の首を締め上げた。

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その力の入れ様は、プレイや演出の範疇を超えているように見えた。

指がギリギリと少女の肌に食い込んでいく。

少女は細い腕で男の腕を掴み、なんとか振りほどこうと暴れるが、男の腕はびくともしない。

万力のようにゆっくり、そして確実に、少女の細い首は締め上げられていった。

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そして、少女の口元からブクブクと濁った泡のようなものがあふれ出たかと思うと、男の手に縋りついていた少女の腕が、まるで糸の切れたマリオネットのように全ての力を失くし、ぼとりとベッドの上に落ちた。

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――ハアー…ハアー…ハアー…っはは…はは…

男は少女の上にまたがったまま、荒い息に合間にかすかな笑い声を漏らしていた。

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しばらくして、男の身体は少女から離れ、画面の外へと消えた。

――ガチャガチャ

――チャリ

――ドン

――ギイ、バタン

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画面の外から複数の人間が動き回る音がして、最後にドアが閉まった音がした。

カメラはベッドの上に裸のまま横たわった少女だけを映し続けている。

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俺はあまりのことにしばらく呆然と画面を眺めていた。

――なんだこれは?素人映像っぽい演出の、企画ものAVだったのか?

――それとも…まさかモノホンの犯罪動画ってことは……。

――いや、それなら何でこんなエロ動画サイトに普通に混ざってんだ……?

――いや、ホントに本物か?

俺の頭はループする思考に支配されていた。

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ふと見ると、動画のフレームの下にあるタスクバーは、全体の1/3程度の位置にあった。

この動画は全体で90分弱となっているので、あと一時間ほど何か「続き」が映っていることになる。

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俺はのろのろとマウスに手を伸ばすと、タスクバーをスライドさせた。

そして、適当な位置で手を離し、動画を再生させてみるが、画面に変化はなかった。

暗い部屋。

横たわった少女の裸体。

ベッド。

これだけ。

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――ジー…

イヤホンから流れてくるのはカメラが拾っている停滞した空気の音だけだ。

他には何の物音もない。

かすかな息遣いさえも。

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さらに時間を進ませてから再生をする。

変化なし。

さらに先。

変化なし。

さらに先。

変化なし。

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相変わらず少女はベッドの上に横たわったまま微動だにしていなかった。

荒い画面ではあるが、少女の胸が上下しているようには見えなかった。

俺は青ざめながらも動画の終了間際の位置にタスクバーを動かした。

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画面の中に変化があった。

それまで仰向けのままぴくりとも動かなかった少女が、ゆっくり、ゆっくりとこちらの背を向け始めたのだ。

――体勢を変えている。

俺は安堵した。やはりそういう演出だったのだ。

少女に約一時間もじっとしたまま動くことも許さないとは、有名映画監督ばりに厳しい演技指導だが、とにかくそういう指示だったのだろう。

いや、実はただ眠っていただけかもしれない。

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とにかく俺の勘違い。真面目に怖がって損した。

だいたい、こんな電気を消して真っ暗にした部屋で怪しげな動画を急に見せられたら、誰だって怖くなるもんだ。

とんだ笑い話だ。今度友人たちとの話のネタにするか。

そんなことを思ったまま画面を見ると、少女はじつに緩慢に、まるでナメクジが這うような速度で身体を完全に横にすると、

――ドサッ

画面に映らない、ベッドの向こう側に姿を消した。

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今の音。

ベッドから転がり落ちたようだった。

なにか変だ。なにか。

いかに性行の後で身体が怠かろうが、ベッドから転がり落ちるなんて、そんなことはしないだろう。

普通は。

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――ズ…ズ…ズ…ズ…ズ…

なにかが這う音。

それがベッドの裏を移動して、やがて遠く、小さくなって消えた。

動画が終わった。

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俺は息を飲んでいた。

なんだろう。

なんなんだろう、これは。

わからない。いやわかりたくない。

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俺は足元からひやりと寒気が襲ってくるのを感じた。

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それは、俺が下半身素っ裸でいることが原因であると思いたかった。

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ふと視線を落とすと、俺の脚の間にさっきの少女の顔があった。

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来道様、お気をつけあそばせ。

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今夜から観れないじゃない……(。´Д⊂)

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