短編2
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渓流釣り

これは大学時代の友人から聞いた話です。

友人は大の釣り好きで暇さえあれば、いつも釣りに出かけるほど釣りが大好きでした。

そんな彼が、僕にこんな話をしてくれました。

友人「なぁ、お前さ聞いてくれる?」

俺「なに?」

友人「いやさ、この前久しぶりに休みが出来たから釣りに行こうと思ってお前誘ったけどでなかっただろ?電話」

俺「あー、あんとき急に仕事になちゃってさ」

友人「んで他のやつ誘うのも面倒だし、一人で釣りに行くことにしたわけ。」

俺「うん」

友人「たまには違うポイントで釣ろうと思ってな、この前から目つけてた山にいったわけよ。」

俺「ほう」

友人「しばらく進むと獣道みたいに道が険しくなったから途中から車降りて歩いて行ったんだよ。」

友人「そしたら獣道抜けたとこに渓流沿いの川があって、一先ずここで釣ることにしたんだ。」

俺「うんうん」

友人「餌はたくさん良いのがとれたよ。やっぱ現地の餌は食いつきがいいからな。」

虫嫌いの俺にとって餌を店で買わずに現地でとるのはかなり酷だ。

少し想像してしまい気持ち悪くなった。

友人「んで、さっそく釣り始めたんだけど面白いぐらい釣れてな、ものの2時間に15、6匹くらい。人生最高の一時だったね。」

俺「いいとこみつけたな。」

友人「んで、しばらくすれば朝まずめが終わって爆釣りモードも終わると思ったんだが、相変わらず釣れまくり。本当にいいとこみつけたなと俺も思ったよ。」

知ってる人も多いと思うが、釣りは朝と夕方の「まずめ時」に最もよく釣れる。

友人「バケツ一杯に魚が釣れたころ、ふと当たりを見回すともう薄暗くて、身の危険を感じたからさっさと片付けて帰ろうと思って後ろ振り向いたら、赤い服きた女の子がこっちに背向けて立ってんの。」

俺「!!」

友人「こんなとこで何してるんだいって声かけたらさ、振り向いた顔がお婆さんだったんだよ。しかも満面の笑みだった。ひきつるくらいの。さすがにゾッとしたね。」

俺もゾッとした。

友人「でも病気かなんかだと思ってまた同じ質問をしてみたんだよ。今度は丁寧語で。」

友人「そしたら「いつまで?」っていってきたんだよ。」

俺「……」

友人「何度質問しても「いつまで」っていうから、さすがにキチガイかと思って軽く会釈して帰ろうとしたらお婆さんの声が合成音声みたいになって」

「いつまで生きる?」

友人「ていったんだよ。ひきつるくらいの満面の笑みのままで。この世のものじゃないと悟った俺は急いで山をかけおりて車のとこまでいったんだ。その途中も背後からあの婆さんの声が聞こえてきて気が狂いそうだったよ。まあなんとか車で下山できたんだけどな。」

友人「いいポイントだったんだけどもういけねぇなぁ〜。」

そう言う友人の顔は、ひきつるくらいの満面の笑みだった。

それから4日後、友人は自殺した。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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