嘘しか言えないお姫様の話

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嘘しか言えないお姫様の話

拾った話です。

昔々ある国に嘘しか言えないお姫様がいました。

お姫様は何も悪いことをしていないのですが、気まぐれな魔女によって『嘘しか言えない呪い』をかけられてしまったのです。

しかしお姫様は何一つ不自由することはありませんでした。なぜならお姫様の周りの人たちは皆呪いのことを知っていたからです。

お腹がすけば「食欲がない」、眠たければ「眠くない」、愛を告白したければ「あんたなんて大っ嫌い!」と言えばいいのです。

こうして健やかに成長したお姫様は隣の国の王子様と結婚しました。

王子様は呪いを含めたお姫様のすべてを愛しました。二人の結婚生活はそれはそれは幸せなものでした。

そんなある日、ある魔法使いが王宮を訪ねてきました。この魔法使いは旅の先々で数々の奇跡を起こし、若くして天才と呼ばれる有名な魔法使いでした。

魔法使いは王子様にこう言いました。

「私にはお姫様にかけられた呪いを完全に消し去ることができます。私におまかせください。」

「ななんと、そなたに姫の呪いが解けるというのか…。それは本当か?」

王子様は驚いてたずねました。

「もちろん本当でございます。呪いをかけた魔女以外でこの呪いが解けるのは世界で私だけです。」

魔法使いは誇らしげに答えました。

「ほぅ、それは良いことを聞いた。」

そう言うなり王子様は腰の剣を抜き魔法使いの首をはねました。

ひどく驚いた表情で転がった魔法使いの首に王子様はこう言いました。

「まったく愚かなことを言う奴だ。呪いが解けてしまったら私はどうやって彼女の本心を知ればいいのだ。」

こうしてそれからもお姫様と王子様は末永く幸せに暮らしましたとさ。

おしまい。

怖い話投稿:ホラーテラー アローナさん  

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