中編5
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吸魂鬼 X

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全ての始まりは、禁足地から始まった。

鬼は黒曜石で出来た箱に封印され

禍々しい力は世に混沌と死を齎した。

永遠に語り継がれる英雄は、その鬼の餌食となり、その身の内に封印した後、

自ら封印の箱に入った。

その伝説は今もなお、語り継がれている。

現在…2016年1月13日。

超常現象調査委員会は、様々な伝承から英雄伝説の物語に共通して登場する、黒曜石の箱の所在が記された巻物が横浜の骨董屋で、偶然にも超常現象調査委員会のメンバーが発見した。黒曜石の箱は長野の山奥に隠されていると記されていた。

黒曜石の箱を調査してから数日経った時だった。

黒曜石の箱の情報を集めていた、超常現象調査委員会のメンバーである

13名が無残な遺体で長野の山奥で発見される。

遺体は熊に食い荒らされていた痕跡があり、死因が不明。

超常現象調査委員会は、腕の立つハンターと三名のメンバーを加えた4名で調査を再開した。

2016年1月16日…

長野 某山中にて…。

シトシトと冷たい雨が降り出した。

music:7

調査委員会メンバーのリーダーである、陽月華ーヒヅキ。

陽月華の部下の新井、進藤。

超常現象調査委員会の中で

特殊な生物的超常現象を調査するハンターと呼ばれるメンバーの原口を合わせた4名。

13名の遺体が発見されたポイントに向かう。

ハンターの原口が巨大な鞄を持ち

陽月華に護身用の拳銃を持つように促す。

「私には必要ないよ、ただの黒曜石の箱を探すだけだから。まあ熊が出ても君がいるから安心だよ」

原口は拳銃を鞄に戻し地図を拡げる

「俺たちが向かうポイントは、ここから1200メートルも上の山の中だ。熊の出現ポイントでもある。みんな、気を引き締めるように」

万全の準備をした陽月華達は山に足を踏み入れる。

静か過ぎる山の中で尋常ではない視線を周囲から感じていた。

原口は立ち止まり指を差す

「あれを見ろ…木に付いた傷を、最近付いた跡だ、近くにいるな」

陽月華達は周囲を警戒しながら山奥へと進む。

進藤がコンパスで方角を確認していると何かに躓き転ぶ。

「イタタ…なんだよクソ!」

足元を見ると人間の頭蓋骨が転がっていた。

「おい…マジかよ…」

music:2

その言葉が周囲の異変を確実なモノにする

猟銃を構えた原口が一点を見つめる

「人か?あの上だ、見えるか?」

新井は唾を飲み原口が見つめる方を見る

「え?こんな所に人なんているはず………!!!」

こちらに気付いたのか

灰色の肌をした人間が鬼の形相で

雄叫びをあげながら走ってきた。

アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

それは明らかに人間離れした速さで追いかけてくる。

120m、50m、20m。

しかし、それは一人ではない。

気付けば無意識に皆が走り出していた。すると、目の前に突然、武装した人々が現れ叫ぶ

「こっちだ!!」

そこには装甲車が待機しており、銃を灰色の肌をした人間に向けて発砲する。

陽月華達は装甲車に乗り込み

外にいる人々も乗り込んだ。

「大丈夫か!?君達3人だけか?」

陽月華は息を整え新井、進藤を見て気付く。

「いや!あともう一人居たはずだ!」

それを告げると隊長であろう男は

「なら、諦めるしかないな…もう死んでるだろう。」

新井は頭を抱え

「あ、あれは何なんだ!!」

男は装甲車の揺れに揺られ

「あれは吸魂鬼だ。」

進藤は意味不明な答えに

「はぁ?ふざけるなよ!何が鬼だよ!答えになってないし、あんたらは何もんだよ!」

男はため息を零し

「我々は政府の依頼で、あの化物が人里におりてこないようにするめの防衛線を張っていた軍隊だ。私の名は佐々木。」

陽月華は揺れで何かに掴まると、何かを覆う布が落ちる。

そして目に入った物に絶句する。

新井は目を見開いた

「こ、これはなんだ?」

佐々木は

「これが吸魂鬼。生け捕りに成功したんだ。これが何なのかは我々にも分からない。」

music:7

その頃…取り残された原口は未だに吸魂鬼から逃げていた。

「数が多いな…もうここまでくれば動きやすい。」

原口は携帯を取り出し

「もしもし、エリムです。えぇ…超常現象調査委員会の調査任務に同行し潜入しました。」

その間にも吸魂鬼は迫ってきた。

「えぇ…殺さないように気を付けます。行動不能にすればいいんですね?」

エリムは迫ってきた吸魂鬼の頭を掴み上げ蹴り飛ばす。

「私以外にも仲間は、この山に潜入しています。えぇ…容易いですよ。」

エリムは起き上がろとする吸魂鬼の頭を蹴りあげる。

「カフマン様の命令なら喜んで。それでは…引き続き任務にあたります」

エリムは携帯をポケットに入れ

「さて、久々の狩りだ。」

エリムは吸魂鬼を片手で持ち上げ

鋭利な爪で両腕を切り落とし、足をツタで縛り木に吊るした。

「こいつらは、こんなことでは死なんからな。行動不能にするにはこれが丁度いい。」

エリムは血が付いた上着を脱ぎ

陽月華達と合流するために”削除済み”に変身し匂いを頼りに山を駆け抜ける。

その頃…装甲車内では…

「こ、これが吸魂鬼?」

佐々木はタバコを取り出し火を点ける。

「ああ…1963年3月に、ある村で村人が全員が謎の原因で死に、それと同時に村人全員の屍が蘇った。」

佐々木はタバコの煙を吐き

「それがこいつだ。」

吸魂鬼が入ったカプセルを指で叩く

「なぜ吸魂鬼って呼ばれるのかは、色々説があってな…」

陽月華は食い入るように

「説?」

佐々木は陽月華にタバコを勧めるが

陽月華は顔を横に振る

佐々木はカプセルに入った吸魂鬼を眺めながら話す

これはあくまで俺が考える可能性の一つだ。

吸魂鬼は、名前の通り魂を吸う。

だが…魂を吸うだけじゃない。

魂を吸われ死んだ身体は空っぽになる。奴らは、その死んだ身体を使って復活する。

しかも魂を吸い続けた吸魂鬼は複数の魂を持っていて、どんな致命的なダメージを与えても再生しちまう。

保有する魂の数だけ殺さないといけない。例えば魂を一つしか持たない吸魂鬼が死ぬと空っぽの身体に取り憑き復活する。

これはこの地では厄介なことだ。

なぜなら、未だにここら一帯は土葬をしているから身体には困らない。

佐々木が話を続けようとすると

装甲車が急に停車する。

「鏑木?どうした?」

運転手の鏑木が震えた声で

「隊長…囲まれています…」

To be continued…

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