短編2
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終わったキャチボール

夕方、授業が終わりいつもの場所へ僕らは向かう

校舎の裏 建物と同じ位の高さの木々たちが鬱蒼と生い茂るそこが僕らの遊び場だった

昼間でも校舎と樹木のせいで日は届かない年中ジトッとしているそんな場所だった

いつものように何をするでもなく

木の根を掘り虫を捕まえたり

校舎の壁にボールをただひたすらぶつけてみたり

そんな風にして僕らは遊んでいた

その日は誰かが持って来たボールでキャチボール

ボールは軟式でなく硬式で酷く汚れていた

(またどっかで拾ってきたんだろーな)と、思いながら楽しく遊ぶ

その日はそれで終わりそれぞれ家路に着く

次の日…

いつもの場所へ行く

少し早く来すぎたか仲間はまだいなかった

前日遊んでいたボールが転がっている…

何気なく手に取って壁に向かって投げる

返って来たボールを取るそれをただ繰り返していた…

誰かの気配を感じるまでは…

後ろ?

誰か…来た?

ゆっくり振り返る…

いた…

真っ黒な子供…

大きな木の陰に隠れるように【彼】はいた…

(何故か男の子だとすぐに分かった)

彼を確認したと同時に真っ黒だった理由がすぐに分かった

何かが焼ける臭いがする…

(焦げ…てる?)

全身真っ黒なのはそのせいであろう

歳は10歳位、かろうじて帽子、短パンを履いているのが確認できた

僕は動けずにいた…

(逃げなきゃ…)と、思ったその時…

男の子が膝を着くようにして小さく転んだ…

(目が…見えてない?)

地面に手を当てながらこっちに来る…

何かを…探している?

そう見えました

声が聞こえてくる…

『…なぃ…ボ……ル……僕の……ボー…ル……』

一瞬で理解できました(ああ…コレか…野球ボール…)

ボールを男の子の方に転がしました

この時には不思議と恐怖感はもうありませんでした

右手にコツッとボールが当たります

男の子はボールを手に取りスッ…と、その場から消えてしまいました

ボールもそこにはありませんでした

僕は少しの間その場から動く事ができなかった

仲間が来る

「何してんだ?ボーとして」

「あれ!?ここら辺にボールなかった?昨日の…真っ黒いヤツ…」

「せっかくキャチボールしようと思ったのにぃ…」

僕は一言…「キャチボールなら今…終わったとこだから…」

怖い話投稿:ホラーテラー K&kさん  

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