【祭】真実 〜ロビンM様へ〜

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【祭】真実 〜ロビンM様へ〜

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2016年02月02日18:00ーーー

『バゥバゥ!!』

リビングでくつろぎながら、ロビンは缶チューハイを飲みながらスルメを摘んでいた。

隣で何かを訴えるマモルは、恐らく散歩に行けと言っているんだろう。

だが、酒の酔いも手伝ってロビンはリビングを動きたくはなかった。

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『…なんだ、マモル。

腹でも減ってんのか? ほら、スルメでも食ってな。』

ロビンはワザと知らんぷりをしてスルメを渡したが、マモルはそれをクンクンと嗅ぎ、続けてロビンの股間を嗅いでから、少し間を置いてペッと吐き出してロビンの袖を引っ張った。

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『てめっ…今のどーいう意味だっ!?

…ったく、しゃーねーなぁ。』

ロビンは重い腰を持ち上げて立ち上がる。

それを見たマモルは、キラキラと目を輝かせて玄関へと走った。

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ふと時計を見ると、既に18時を回っている。

2月の寒いこの時期は、外はもう真っ暗だった。

マモルとの散歩コースは比較的街灯があるものの、たまに訪れる[マモルの気まぐれ]で散歩コースを外れることも考え、ロビンは念のために懐中電灯を手に持った。

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ザッ…ザッ……

先日降った雪の影響で、まだまだ歩道や路肩には雪が残っていた。

夕暮れ時とはいえ、特に冷えた昨日からの寒波に、雪はほぼ凍っている。

そのため歩く度に、残雪はザクザクと音を立てて崩れていった。

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そんな固い雪にも喜んで、マモルはロビンを引っ張るように先を走る。

この無駄にかかる負荷が、ほろ酔いのロビンを非常に疲れさせた。

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『そんな引っ張るなよマモル!』

そうマモルに言ったところで、ロビンはパッとマモルを繋ぐリードを離してしまったのだ。

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『…あっ!!』

普段、リードを離してもマモルはのんびりと歩く犬だ。

ところが、今日に限ってはテンションが上がっているのか自由になった途端に一目散に走っていった。

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『ちょっ、待てよ!!!マモル!!!』

ロビンの声も虚しく、マモルは少し先の角を右に曲がっていった。

その時、ロビンは自身の酔いがスッと冷めたのがわかった。

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『あの馬鹿…なんだってこんなとこに……』

ロビンは、すぐに酒の影響とは違う鼓動の高鳴りを感じた。

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バイパスが出来たことにより、すっかり人気のなくなった旧道の脇道に、古く大きな病院がある。

病院は既に何年か前に廃墟と化していたが、まだまだ朽ちている訳ではない。

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問題は、この病院を取り巻く森にある。

この病院が廃墟となった原因は、間違いなく数年前のあの事件のせいだろう。

そして、マモルが入った脇道は、まさしくその病院の入り口に向かう小道だった。

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『…おーい、マモル!!』

ロビンは病院の入り口に立つ柱の陰から、マモルを呼んだ。

当然返事もなく、しん…と静まり返る病院は、あたかも自分を誘い込んでいるようにロビンは感じた。

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『はぁ…。』

ふと、柱に目をやる。

あの事件がキッカケで、すっかり心霊スポットとなっているためか、柱には赤いスプレーでこう記されていた。

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【殺人の森】

ごくっ…

生身の人間が書いたものとは分かっていても、考えれば考える程に恐怖はフツフツと沸き始める。

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殺人の森。

この病院を取り巻く森の名称だ。

由来は、数年前の事件がキッカケだった。

当時17歳だった高校生の女子が、この森で惨殺死体として発見された。

これはあくまでも噂だが、死体には首がなく、今でも見つかっていないらしい。

死体は腐り、腐敗した体液で土が徐々に捌けた事で発見された。

ニュースではそこまで報道されてはいなかったが、ロビンは地元なだけあって人伝てにその事を聞いていたのだった。

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『あいつ…帰ったら3日はおやつ抜きだかんな、覚悟しとけよ…。』

マモルが実は病院の敷地内に入っていないのではないかという可能性を探したが、小道は病院まで一直線であり、入り口まで身の丈ほどのフェンスが連なっている。

短足マモルの足では、到底超えられない壁だった。

やはり、マモルは間違いなくこの敷地内のどこかにいるのだろう…

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ロビンは恐怖心をどうにか押し殺し、病院の敷地内へと足を運んだのだったーー。

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2016年02月02日19:00ーーー

廃墟化した影響で外灯には明かりはなく、周りの森によって更に敷地内は深い闇が覆っていた。

病院の森とはいえ、全体的に面積はそこそこ広い。

本来であれば入り口すら検討がつかないが、森の中から聞き覚えのある声が聞こえた。

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『…バウッ』

『マ、マモルか…!?』

病院を正面に見て右側の森の奥、特徴的なマモルの声が響いた。

まだ近くにいる、そんな距離からだった。

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『おい、マモル!早く出てこいよ!!』

ロビンは必死に呼びかけるものの、森は静まり返るばかりで、自分の声だけが木霊して響いていた。

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ロビンは手元の懐中電灯をつけ、森の中へと足を進めた。

少し湿った落ち葉と感触から、昼間もまるで陽が当たっていないことがわかる。

土臭い森の中を、このまま永遠と歩くのではないか?

そんな不安が、ロビンの頭を蝕むのだったーーー。

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…10分程歩いただろうか?

ふと、森の陰に赤い何かが見えた。

『なんだ…?』

ロビンが近づくにつれ、それは段々と暗闇から姿を現していく。

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『な、なんでこんな所にこんなものが…?』

赤い何かの正体は、比較的新しい塗装の【鳥居】だった。

状態から見て、およそ数年前のものだろうか…

鳥居があるという事は、近くに何かを祀るものがある筈だ。

ロビンはキョロキョロと周りを見回した。

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『うっ…!!?』

先ほどまで全く気づかなかったが、一体の小さなお地蔵と祠がロビンの真横に立っていたのだ。

それらの作り物も年数がそこまで経っていない、新しい印象に思える。

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これは推測だが、この鳥居や祠は例の事件の少女の供養のために、病院が建てたものなのかもしれない。

なるべく事件の事は考えたくなかったロビンは、鳥居からすぐに立ち退こうとした。

…その時だった。

ゴトッ…

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shake

『…っ!!!!?』

鈍い音と共に、丸い何かがコロコロとロビンの足元へ転がり、そして止まった。

懐中電灯を足元へ照らすと、そこには供養のためのお地蔵の首がロビンを見るような形で転がっていたのだ。

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shake

『うぁぁあっ!!』

思わず声を挙げる。

それは不気味さ故の行動だったが、同時に不自然さに気づいたロビンは更に寒気を覚えた。

(こ、これ…まだ自然に崩れるような古いものじゃない。

明らかに誰かの手によってもげたんだ…。)

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だが、ロビンはこれを【霊現象】と受け入れる気にはなれなかった。

きっと、誰かがイタズラで首を折ってまた胴体へ乗っけただけなのだろう。

それが、今自然と落ちたんだ。

そう、言い聞かせる他なかったのだった。

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『いや…待てよ。』

だが、それよりももう一つ、ロビンはふと恐ろしい事を考えてしまった。

これだけ広い森の中をひたすら彷徨い、何故この場所に自分が辿り着いたのか?

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(…俺がココに導かれる何かがあったのか?)

あったとするならば、せいぜいマモルと思われる鳴き声くらいだ。

だが、あれを聞いてからかれこれ10分以上は捜索を続けている。

にも関わらず、こんなにピンポイントに鳥居へ辿り着くものだろうか…?

ロビンは、この頃から薄々感じていた。

気づかないようにしていても、奇妙な事が考えれば考える程に現実と遠ざかる。

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【この森には、やはり何かがある】

ロビンは竦む足を何とか動かし、再びマモルの姿を追って奥へと進む。

先程の地蔵の顔が頭から離れない。

まるで、少女が【私はまだ供養されていない】と訴えているようだった…

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それでも、まだロビンは比較的冷静だった。

これから始まる【惨劇】に、既に片足を踏み入れている事も知らずに………。

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2016年02月02日20:00ーーー

この森へ入って、約1時間程が経過していた。

相変わらずマモルの姿はないものの、時折どこかで『バウッ』という声が聞こえていた。

間違いなく、マモルはこの森のどこかにいるだろう。

…それも、さほど遠くない位置に。

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…その時、ふとロビンの前に不自然な程にえぐれた地面が現れた。

そう、まるで意図的に何かの穴を掘ったような…

shake

『はっ!!!!!!?』

(お、おいまさか…

ココがあの、少女が埋まってたっていう穴…なのか……?)

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…確証は無い。

だが、ちょうどすっぽりと人一人を埋めるのには丁度良いサイズの穴だっただけに、ロビンはどうしてもそう思えてならなかった。

…だが、そんな事よりもまずマモルを探す事が優先である。

ロビンは【奇妙な穴】に背を向け、立ち去ろうとした…。

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カチャ…

『…なんだ?』

ふと、何か金属を踏んだような音がした。

ロビンが足元を照らすと、錆ついた小さなキーホルダーが落ちていた。

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キーホルダーの先には小さな写真のようなものが括り付けられており、ロビンは写真部分に被っている土を払った。

『…え?なんだ、これ……?』

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写真には、小さな犬と10代くらいの少女が写っていた。

少女は恐らく、事件の被害者の子に間違いないだろう。

…だが、問題は犬の方だ。

『なんで…マモルが……?』

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今よりも痩せて小さな子犬だったが、間違いなくそれはマモルだった。

左足にある特徴的な斑点模様が、それをマモルだと証明していた。

ロビンがマモルを拾ったのは、確か数年前のこの時期だ。

当時、ロビンが友人と飲み会に行った帰り道、この廃病院前の旧道の脇をトボトボと歩いていたマモルを見つけた。

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『…なんだ、お前。汚ねーなぁ…』

確か、初めての会話はこんな感じだったろうか。

マモルは全身を土で汚していて、それは見るからに【可哀想】な犬だった。

拾う気などさらさらなかったロビンだったが、不思議とマモルの事を放っておけず、今まで面倒を見てきた。

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そして、当時はその因果関係を気にもしなかったが、マモルを拾った直後だ。

…少女が発見されたのは。

『まさか…。』

何故、当時マモルが土だらけだったのか?

何故、マモルを拾った直後に少女が発見されたのか…?

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(…少女は体液による土の腐化で見つかったんじゃない…?

マモル…お前が当時いなくなった【ご主人】を探して、そして掘り起こしたのか…!?)

shake

…急に、背筋に寒気が襲った。

その事実を知ってしまったからではない。

…今、何かが背後にいる。

そんな寒気が………

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(…う、、嘘だろ…?)

ロビンは恐る恐る振り返った。

(…?誰もいない…。)

背後の風景は、変わらず森の静かな木々だ。

ロビンが、ホッと肩を撫で下ろした…その時だった。

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『っ…!?』

ふと顔に、蜘蛛の巣が引っかかった。

ロビンが糸を拭おうと顔を払ったが、何故か糸は手に絡みつく。

そしてロビンは、懐中電灯の光を自分の手へと当てた。

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『!!!?』

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…それは蜘蛛の巣ではなく、長く黒い髪の毛だった。

何故、髪の毛が急に…?

風に乗ってくるようなモノではない筈だ…。

……そしてロビンは、自身の真上を見上げた。

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shake

『…あ…う…ぅぎゃぁぁぁあああ!!!!』

生い茂る木々の枝の隙間から、真っ白な少女の首がこちらを向いていた。

身体はなく、髪の毛が異様に絡んだ首だけが、ロビンの事を見下ろしていたのだ。

首の口元が開き、ニタァァと笑った瞬間、ロビンは本能的に一目散に逃げ出していた。

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(ヤバイヤバイヤバイッ…!!)

走っても、走っても、首の気配が背中を覆う。

振り向かずとも分かった。

少女が…首が追って来ている…。

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『ハァッハァッハァッハァッ!』

ロビンは、とにかく出口へ全速力で走った。

まるで永遠に続くのではないかと思うほど、出口までが遠く思えた。

そしてようやく木々の間から、廃病院の姿が現れた。

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『ハァッ…ハァッ…あと…もう少し…!!』

…だが、あと一歩のところでロビンを追う首から伸びる髪の毛が、ロビンの足へ絡みついた。

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shake

バターンッ…!!

ロビンはその拍子に倒れてしまった。

ロビンはもがいた。

全身の力が尽きるまで、ロビンは足に絡む髪の毛を解こうともがき続けた。

…そしていよいよ体力の限界が来ようとした時、廃病院の出口付近に、一匹の犬が立っていたのだ。

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『マ…モル……?』

マモルはこちらをじっと見つめ、相変わらずだらしない舌を出して息をしていた。

『…マモ…ル…助け……』

その瞬間、ロビンの顔まで侵食し始めた髪の毛の間から、耳元で【首】が呟いた。

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『ありがとう…。』

その言葉を聞いたマモルは、嬉しそうに『バウッ!』と吠えると、病院の出口へと走った。

(あぁ…そうか……そうだったんだ…)

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ロビンは全てを察した。

マモルは決して、本当の【ご主人】を忘れてはいなかったのだ。

一人孤独に死んでいった大好きなご主人に、自分を拾ってくれたロビンを一緒にしてあげようとしたのだろう…。

一人で寂しいだろうと…。

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……そして、ロビンは森の暗い闇の中へと消えていった。

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『…バウッ!』

街には、今日も元気に一匹の犬が彷徨っている。

いつか拾ってくれる、次の【生贄】を探して………

……

………………

…………………………………

『…あら、どうしたの?ワンちゃん、こんなに汚れて…

私の家に来る?』

『…バウッ!!!』

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え…えええーっ((( ;゚Д゚)))!?

裂久夜ちゃんΣ(`艸´*)

マモルの次の犠牲者が私((( ;゚Д゚)))?
それとも…ロビちゃんに襲いかかった方((( ;゚Д゚)))?

今、裂久夜ちゃんのコメ読んで、心臓がバクバクしてます((ll゚ω゚)))ww

やあやあやあやあ、NAOKI先生!お久しぶりです、ロビンM改め、ロビンM子改め、ロビンM太郎改め、ロビン魔太郎.comです!ψ(`∇´)ψゲコ

いやあ、お仕事、育児と忙しい中、俺の事を覚えていてくれた事が何よりもまず嬉しいです!ありがとうございます!

冒頭のイカ臭いアダルトジョークで思わず度肝を抜かれてしまいましたが、息を呑む臨場感溢れる話運びの腕は健在ですね!

皆様も仰られている通り、俺も先生の復帰を待ち焦がれていたファンの一人です。

「さいこん」の続編と共に、これからもどうぞ末永く宜しくお願い致します♪

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NAOKI様、お忙しい中ありがとうございます。
暫くぶりで益々怖さ倍増に感じられました。
お名前を見つけて嬉しくて舞い踊りました〜*\(^o^)/*
また、続きも更新されるという事で…待っています。首がこれ以上伸びない位長くして待っています!
あっ無理なさらないでくださいね。 寒さもまだまだ厳しいのでご自愛くださいませ。

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NAOKIさんだ!!
ひーーーーーっやっほう!!

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